水木しげる著/佐野史郎編
を昨日読んだ。
約束
小雨の降る夜、締切を遅らせてしまった漫画家が徹夜で仕上げようとしていると、足音が近づいてきて自分の部屋の前で止まった。
それは小学校のときに共に漫画家になろうと誓いあった友人山本だった。
しかし山本の様子がどことなくおかしく・・・。
オチが全然オチてなくてびっくりしたが、昔の怪奇物はだいたいこんな感じかも。
魔石(W・W・ジェイコブス「猿の手」より)
奇妙な男が落とした3つの願いを叶えるという石を拾った次郎は、その石に30万円もらえるように願い、学校へ。
しかしその後家に天国交通の使者が現れ、次郎が交通事故で亡くなり、お詫びとして30万円持ってくる・・・。
また丸パクリ(笑)
元作品のことも書いてあるのは、許可をもらっていると言うより版権が切れているのだろう(笑)
なんか他の水木作品でも猿の手をパクった話を読んだ気がするのだが見当たらない。
気のせいだろうか。
はかない夢
留守番をしていたカン太の隣に、いつの間にか奇妙な男がいた。
実はそれは隣の神社の神様で、カン太は家を間違えたのを言いふらさないという条件で願い事を1つ叶えてもらうことにする。
カン太の願いは自分をもう一人出してもらい、それに勉強させて自分は山で遊んで暮らすというものだったが・・・。
神様が例によってねずみ男そっくり(笑)
オチは呑気に描かれているがなかなか過酷である。
空想石
貧乏な農家の息子である茂作は、奇妙な男が落としたと言って探していた石を拾った。
それは石というより卵のようで、茂作が懐に入れて温めると奇妙な生き物がかえった。
その生き物は不思議な能力を持っており、茂作の言うことを何でも聞いてくれたが・・・。
相変わらずオチがオチてない(笑)が、そもそもあれで食べた気になっていたらそのうち死ぬのでは???
奇妙な男のデザインはもちろんねずみ男(笑)
空のサイフ
江戸時代のスリの少年は余裕のありそうな奇妙な男(ねずみ男デザイン/笑)のサイフをすろうとするが、捕まってしまい男の奴隷にされることに。
そもそも男の持っていたサイフは空で、男はそれを捨てる。
その後そのサイフは持ち主を変えていくが、持ったものは例外なく不幸に・・・。
拡大したらホコリに混じってあれが寝ているのが見えるというシーンを他でも見たことがある気がするのだが、思い出せない。
鳥かご
東京の郊外の森の中の一軒家が部屋を貸し出すことにしたところ、大きな鳥かごのような荷物を背負った少年が気前のいい前金で借りることになった。
少年は部屋に鍵をかけ、その荷物を誰にも触られないようにしていたが・・・。
少年の未来は暗い(笑)
河童膏
江戸時代。打ち身切り傷に効く河童膏という評判の薬があったが、その材料は河童の皿だったので、薬屋は専門の「河童の皿とり」を何人か雇っていた。
その一人の鈍太は全然皿を取ることができず、今月中に取れなければクビだと言われる。
頑張って沼で河童を探す鈍太だったがおぼれてしまい・・・。
切ない・・・。
人の業を思うのと、なんだか現状では日本人が河童になりつつあるとも思う(汗)
剣豪とぼたもち
先に注文したはずのぼたもちを雲助たちに食べられてしまい、最初は我慢していた剣豪だがそれが繰り返されてとうとうぶち切れ・・・。
ラストで語られる品位とか貫禄というものがなにによってそなわるものかというのが真理すぎる。
錬金術
江戸時代。錬金術に熱中する一家。
息子だけはそれに懐疑的で、指導した丹角先生に疑問をぶつけると・・・。
丹角先生のお言葉が重い。
そして丹角先生のデザインは例のあれである(笑)
宇宙虫
宇宙飛行士の身体にくっついてきた宇宙虫の卵が流れ流れて日本の凡太のところに。
生まれた宇宙虫2匹を、親の指示に従って池の中の島に捨てる凡太だったが、その島で宇宙虫は目まぐるしく進歩し・・・。
味わい深い。
凡太のお父さんがなかなか聡明で物わかりがよいのもいい感じ。
机
昭和35年頃、水木しげるが持っていた古い机は、なぜか使う者に親愛の情を抱かせた。
水木しげるは部屋を貸していた男にその机にまつわる昔のできごとを話す。
なんだかよくわからないが、水木しげるにとって愛着のある机だったらしい(笑)
古道具屋の怪
古道具屋の主が倉庫になっている2階の大掃除をすることになり、そこで「ある怪物の日記」という古いが妙に活き活きとした本を見つける。
それは自由に姿を変化できる怪物が、古代から人を食ってきた記録だった・・・。
滅茶滅茶かっこいいストーリー。ラブクラフトもびっくり。
絶対なにか元ネタがあると思う(笑)
不思議な手帖
市役所に勤める山田は45になっても平だったが、なんとなく満ち足りた雰囲気を持っており、いつも古ぼけた手帖になにやら書き込んでいた。
そんな山田を気にかけていたオールドミスが山田のあとをつけると山田は神社で賽銭に1000円も払っていた。
その後不倫の仲になった2人だったが、彼女は山田をぐでんぐでんに酔っ払わせ、手帖の秘密を聞き出すことに成功する・・・。
デスノート(笑)
もちろんパクリではないが、もっと前に誰かがそういうアイデアの作品を書いているのも間違いないだろう。
ちなみにオールドミスはなんとねずみ男の妹である(笑)
群衆の中に
漫画家の花森は、同じく漫画家の長井に最近元気がないねと言われるがその理由を話そうとはしなかった。
そこで花森をぐでんぐでんに酔っ払わせて聞き出した秘密は、花森の妻が人間に見えるがそうではないということだった・・・。
なかなか恐ろしいストーリー。
そのまま仲良くしたらどうなるのかは少し気になるが(笑)
不思議町三番地
小さな製薬会社に勤める山田は、そこで不死の薬を開発しており、とりあえず10年は寿命を延ばせる段階に達していた。
帰りが遅くなり、タクシーに乗った山田は運転手と話をし、2人でその薬を飲む。
しかしタクシーは道に迷ってしまい・・・。
もう一つの世界物だが、ある意味あの世でもある片方の世界はもう片方の世界を認識しているなど、工夫があって面白い。
しかしなにより山田だけではなくタクシーの運転手までまきこまれているところが楽しい(笑)
深夜のバス
終電も無くなり、歩いて帰るしかないと思った男は、なぜか通りかかったバスに乗るが、そのバスには誰も乗っておらず、運転手さえいないのに走っていた。
やがてたどり着いた奇妙なコロッセオのような建物で・・・。
入れ替わり。
皮を剥がされるのが恐ろしい。
目ひとつの神 新・春雨物語(上田秋成「春雨物語」より)
病床に伏せる母が止めるのも聞かず、少年は都を目指して旅立った。
母は庭先の奇妙な一つ目の石地蔵に息子が帰ってくるようにお祈りし・・・。
設定は少々異なるが、おおむね原作(?)通りの内容っぽい。
まとまりがよく、なんだか味わい深い。
丸い輪の世界
久太の妹は肺炎になって死んでしまった。
久太は大雪の日には重いだろうと妹の墓の上に積もった雪をはらいに行った。
ある日久太が草原でれんげ草をつんでいると、奇妙な丸い我が空中に浮かんでいるのを見つける。
輪の向こうには妹が・・・。
あまりにもドラマツルギーからかけ離れており、なんだか実体験を語っているような雰囲気があってすごくいい感じ。
笠地蔵
前に読んだ「ゲゲゲの鬼太郎(少年マガジン版)12」に収録のものと同内容。
この本で唯一の鬼太郎登場作品である。
ねずみ男っぽいのはやたらと出てくるが(笑)
佐野史郎が水木しげるを愛しているのが伝わってくる味わい深い作品が集まっている。
とてもよい。
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