を読んだ。池波正太郎著
白い猫
いつになく上機嫌に見える小兵衛は、おはるに優しい声をかけて家を出たが、実は真剣での果たし合いに向かっていた。
ところが道中昔飼っていた白猫にそっくりの猫が、酔っ払った浪人に斬られそうになるのを見てしまい・・・。
なかなか切ない展開だが、小兵衛に手傷を負わせる雑魚がいるとは意外。
密通浪人
碁敵の小川宗哲が留守だったため、鬼熊酒屋でやわらかい叩き牛蒡と酒を2本飲んでうたた寝をしていた小兵衛だったが、木の衝立で隔てられた隣の座敷にいる30前後の男2人の話し声で目を覚ます。
どうやら片方が寝取り自慢をしているようだったが、相手が文房具舗の文敬堂の女房だと聞いて小兵衛の目が見開かれた。
文敬堂の主人は小兵衛の義理の弟なのだ。
そもそもあの女が変な偽名を使ったのが全部悪い(笑)
それにしてもお米に対する旦那の評価がすごすごる(汗)
浮寝鳥
乞食だが見るからに人柄のよい老人の惨殺死体が見つかる。
旅から帰ってきてそのことを聞いた老人のことを気にかけていた大治郎は、老人が殺された日に、老人が若い娘と仲良さそうに歩いているところを目撃しており・・・。
現場を縄張りにしている御用聞きの清蔵が頼りになる上に非常にいい人で、その責任感の強さから規格外の夫婦に翻弄される様が滅茶苦茶面白い。
なにしろ賊は大治郎と三冬がそろっている道場のすぐ近くで襲撃してしまっているのだ(笑)
このシリーズは賊の「よりによって」そのタイミングで襲撃するかという展開になると俄然盛り上がる(笑)
また件の少女のキャラが滅茶いい感じでとても可愛いのもよかった。
十番斬り
年が明けて65歳になった小兵衛はおはると小豆粥を食べ、再戦の意気に燃えながら小川宗哲先生のところへ。
そこで診察されていた男を只者ではない剣客と見たが、彼は見るからに内臓の病気で余命は長く無さそうだった。
その男は村松大九蔵という名だったが、小兵衛はその名前に聞き覚えがあった・・・。
スッポンのだし汁を背負って走る徳次郎がかっこよく、徳次郎がかっこいいところを見せてくれると無条件で嬉しい(笑)
そして小兵衛が強敵との勝敗を決めた技がこれまたかっこいいんだ(笑)
同門の酒
小兵衛を含めた辻平右衛門の弟子たちは毎年2月10日ごろに弥七の妻が営む武蔵屋に集まっていたが、今年は一番若い矢村孫太郎が連絡もなしに欠席した。
翌日孫太郎の住まいに行ってみると、昨日小兵衛たちの寄り合いに行くために出たきりだという。
そこで弥七がいつも孫太郎は来る前に佐野六の饅頭を買ってきてくれたというので、佐野六に行ってみると、確かに孫太郎は来ていたがなんと女性を連れていたという・・・。
毎年同門で集まって飲み語らうのがものすごく楽しそう。
それにしても原因であるミスがあまりにも・・・(汗)
逃げる人
大治郎が帰路で出会った老人は、身も知らぬ娘が乱暴されそうになっているのを命がけで助けた。
その後何度か偶然顔を合わすうちにすっかり仲良くなった2人はちょくちょく一緒に蕎麦屋で飲む仲になる。
ところが老人を住まわせている寺の和尚から小兵衛が聞いた老人の本名は、大治郎を究極のジレンマに突き落とすものだった・・・。
とりあえず誘われてキャッキャと喜んで飛んでくる和尚が可愛い(笑)
酒の愉しみ方を覚えてきた大治郎が、蕎麦掻きをちまちま食べながら呑む様子もとてもよい。
罪ほろぼし
女の胸から顔を上げた永井源太郎は、仕事の時間が迫り、頭を切り替えて職場に向かう。
源太郎が出てきたのを見ていた男が背後からこっそり斬りかかろうとするも、それを見ていた小兵衛が阻止する。
源太郎は小兵衛の名前を聞いて土下座し、父親の犯した罪を謝罪した。
なんと源太郎は永井十太夫の息子だったのだ。
永井十太夫は剣客商売二 の「辻斬り」の主犯である。
あのどうしようもない親からなぜか生まれた宝石のような男(笑)
ちうわけで源太郎のあまりの好人物振りと修練を積んだ弓矢の腕前が印象的なエピソードで、源太郎にはぜひとも再登場してもらいたいところである。
今回も粒選りで面白かった。
前から思っていたが読んでいる間の化夢宇留仁のリアクションの多さではこのシリーズは出色で、ニヤニヤしたりフハッとなったりじ〜〜〜んとなったり、読んでいる様子を近くで見ていた人からしたら完全に不審者である(笑)
それくらい感情移入しやすく、面白くできているのだ。
ちうか感情移入という点ではこの著者の作品に並ぶものはそうは見つからないだろう。
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