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2024年03月04日17:11

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熱狂が冷める電気自動車(EV)のミライ

情報として気になった記事を残す日記です、転載許可を取っていません、リンク不可です

***********************以下、コピペ
熱狂が冷める電気自動車(EV)のミライ「イメージで環境にやさしいとか言ってくれんなよ…」
山本一郎 2024.3.4. 文春オンライン

私が片足を突っ込んでいる産業廃棄物業界では、最近ようやく廃棄太陽光パネルの処理でみんなノウハウが溜まってきて少しは効率的に処理できるようになってきたかなと思ったら、今度は廃棄された電気自動車(EV)の中古バッテリーどうすんの問題が勃発しておるわけですよ。ぶっちゃけ、安売りしてる電気自動車(特にBEVなど)は、処理費が制度的に乗せられていないため、処理が大変なゴミの山になりつつあります。

欧州では、先駆けてこれらの電気自動車に搭載されているバッテリーに使われている希少金属(レアメタル)の再利用比率が義務付けられ、再資源化しろというお達しが出ています。日本でも、おそらく同じような制限がこれから出てくるとは思うのですが、例えば2027年までにリチウムは約5割、ニッケルなどは9割を再利用できるようにしろ、31年までにリチウムは8割、ニッケルなどは95%回収し再利用しろという話であります。

 ちゃんと取り出せて再利用可能なレアメタルをバッテリーの再生に使うんだよとしても、バッテリーを作る側は中国やチリからリチウムなどを持ってこようがリサイクルで引っ張ってこようがリチウムはリチウムなので使えるのは間違いないのです。ただ、ゴミになった電気自動車からバッテリーを取り出し、使えるものとそうでないものをより分け、リサイクル材として再利用できるところまで持っていくのは割と困難です。簡単に言いやがって。

■「EVは環境にやさしいから」という謎の前提条件

もともとあった有害使用済機器保管等届出制度の上に、改正された「危険物の規制に関する政令」が追加されて23年12月から施行されたものの、コストに見合う処分方法や資源回収方法が未確立なところがあってこれマジどう対応すんのってのが課題になっておるわけです(消防法第4類危険物により平成29年改正廃棄物処理法で規定)。

 その割に、なぜか「EVは環境にやさしいから」と謎の前提条件が積み上げられて、規格もよく分からない格安な中国製EV軽乗用車やEV大型バスなどがどんどこ投入され、エコだと信じ込み値段に釣られたユーザーがたくさん購入されるなどして短期間で使い潰された結果、ビシバシ廃棄されてこっちに押し寄せてくるんですよ。

 お陰でどう処理していいのかよく分からないリチウムやニッケルなど含有の廃棄バッテリーが、設備投資の必要な屋内廃棄ヤードの中にどんどん積み上がっていきます。処理できるスピードに比べて、壊れて廃棄され持ち込まれる廃バッテリーの量が多すぎねえかって話なんですよ。誰か助けて。

まあ、一言で言えば「イメージで電気自動車を環境にやさしいとか言ってくれんなよ」ってのが本音でしょうか。大変なんだもの。

 大容量バッテリーの処理がなかなかスピード感を持って進められないのは、各社によって、酷い場合は同じ会社でも車種によって、リチウムやニッケル、マンガン、コバルト、さらにはごく少量含まれている高価なパラジウムなどの金属がどのくらいの割合で含まれているのかよく分からないのです。取り出すための触媒や工程をどこまできちんとセットアップしなければならないのか慎重に作業しなければならないことに尽きます。

 そして、謎に安い処理業者は、どっかの山中に処理費だけもらってそのまま埋めてバックレてるんじゃないかと心配になります。「山本さん、真面目にやるだけ損だよ」って言われるんですよね。

試行錯誤して研究開発するしかないじゃんと言われますが、現状の廃棄で得られる引き取り料に見合った工数で捌かないと利益が出ないんですよ。

■でっかい溶解炉に入れてボタン一発で解決…してくれるワケではない

 太陽光パネルのように、ある程度知見が溜まったらサッシ部分、ガラス部分、基盤部分と工程を分けて流れ作業で対応できる会社も増えてきましたが、バッテリーの場合は危険な重金属は鉛だけだとか、出てくる有害なフッ素化合物に気をつけろというレベルではなく、ほとんど開けてみないと何が出てくるか、どのくらいの割合なのかも分からないような爆弾処理班的なことをやらないといけなくなります。

 謎の中華製EV車に乗っていた安価なバッテリーが、どういう理由か水銀みたいなのが入っていたのでびっくりして輸入元に問い合わせたら製造した中国企業がすでに潰れていて中身が何か分かりません、みたいなことも稀に起きます。やめてくれよ。

 こういうの、EV車の輸入や販売に適切な規制がないか、リコール対応も含めた責任ある販売元がきちんと立って、バッテリーのリサイクルまで面倒を見てくれる法制がないと太陽光パネルのクソ仕事を超える大変な事態になる、ってことが分かっていないのかなと思います。

 なんかでっかい溶鉱炉みたいなのに全部ごちゃ混ぜに入れたら比重で溶け出してきてくれるようなボタン一発で解決するようなものではないのです。そして、うっかりマンガンでも飛散しようものなら中間処理工場は大規模汚染の巣になり環境事務所に立ち入りされ怒られが発生するわけであります。つらい。

 で、最近になって、東京大学の生産技術研究所所長を務めておられる教授の岡部徹さんや、海外メディアなどからも「電気自動車、言うほど良くないんじゃね」とか「ニッケルなどレアメタルの採掘や精錬には有害物質の排出が伴うから微妙やんけ」などの議論が出てくるようになりました。そりゃそうですね。

 採掘も精錬も廃棄も滅茶苦茶環境負荷が高いバッテリーを載せている電気自動車が、確かに走ってるところや充電では環境にやさしいからという一点で優れていると言われてもなあ…って感じです。

 ただ、ガソリン自動車においても、過去100年以上の歴史において古自動車の不法投棄からSOxやらNOxやら環境汚染物質を撒き散らかしてきて、自動車メーカー各社の努力もあってようやく一台当たりの環境汚染がかなり減ってきたことを考えると、電気自動車もこれからの普及で成功と挫折を繰り返して成長していくものなのかもしれませんが。

 現状では欧州の規制予定も日本の動向も含めて考えると「各種希少資源(希土類)の回収割合を定める大風呂敷は広げているが、コストに見合うリサイクル料が取れない限り、EV車廃車時の引き取りはむつかしくなっていく」ので、最悪のケースでは中古EV車か資源ごみとしてインドネシアやアフリカ諸国に売られて、現地でひっそり埋められることになるでしょう。欧州から日本に偉い人が視察に来ていたようですが、正直規格も分からないバッテリーのリサイクルで希土類の高い回収率を求められても、すぐにはなかなかむつかしいのが現状です。手詰まりになる前に、適切な法規制やリサイクルの仕組みを構築しないと無理じゃないかと思います。

■電気自動車がもたらす“現実”を見つめざるを得なくなってきている

 それでも大容量バッテリーは日本を含めた各国の電力供給・発送電インフラの上にガッツリ乗っかったうえで、経済合理性や科学的根拠を無視して「環境にやさしいから」とかいう宗教がかった補助金行政で無理矢理普及させてみたら、思った以上に大規模なボトルネックを環境面でもリサイクル面でも引き起こすようになってきて、いよいよ現実に目覚めざるを得なくなってきつつある、というのが現状ではないのかと思います。

 そして、普及期にあたってまだまだ高価な電気自動車が国家や都府県など行政のエコカー補助金を受けてたくさん走ったところで、今度は充電ステーションをたくさん作らないといけない、寒波が来ると走らない、事故ると軽度な損傷でも廃車になり、バッテリーが駆動のすべてなので中古車にしたら値段がつかないなどのハードルが待ち受けます。

 ガソリンを使うエンジンの自動車が良かったのは一日の長があるからとはいえ、電気自動車は抱えるハードルの高さだけでなく、その処理における複雑性や不透明性は群を抜いています。

 環境対策に熱心だったアメリカ西海岸や環境保護庁が電気自動車、特に完全に電気で動く車への推奨政策を取り下げようとしているのは、電気自動車の心臓部的なパーツやレアメタルなどの枢要な原料において、中国が適切な環境コストを支払わずに非常な安価で電気自動車を戦略的に製造し、世界にばら撒いてることも一端にあります。

 要は、電気自動車を日本やアメリカ、欧州など先進国が理想論で増やす方針で推進しても、中国の製造業を利するだけでなく現地の環境破壊ががっつり進んで本来目指している持続可能性とはまったく違う着地点になってしまいそうだ、という話に繋がっていきます。

 中国製造だけに責任を押し付けるつもりは毛頭ありませんが、適切な規制のないEV車の拡大は、使い物にならないので売れない中古EV車の市場崩壊とともにバッテリーのリサイクル問題に直面して崩壊するのではないかと怖れずにはいられません。

■二酸化炭素削減に成功したが環境破壊は凄く進んだ」になりかねない

 裏を返せば、大容量バッテリーを積んだ車を大量生産するにあたり、貴重な各種レアメタルをどんどん消費するようなサイクルが地球の環境において持続可能なはずがないのです。もちろん二酸化炭素の排出は削減しなくてはいけないのは当然としても、レアメタル乱採や廃棄・処分コストも含めてトータルで見たとき「二酸化炭素の削減には成功しましたが環境破壊は凄く進みました」という、手術に成功したが患者は死んだぞ的なことになりかねません。

 環境破壊を不退転な形で抑えるには、結局は大量生産大量消費の経済に歯止めをかけると同時に極力車で移動しない都市社会に移行してお前らは電車と徒歩で移動しろという仕組みにするほかないんじゃないのと思ったりもします。

 環境破壊は人間が経済活動を推進するから起きているのだとすれば、究極人間が移動しないかみんな死ねば環境問題は解決するじゃねえかという、安っぽいSFで人工知能が支配する社会で目覚めた人工知能が人類を皆殺しにするパターンじゃないのかとすら思ったりして。

 そう考えると、私たちがずっと疑問もそれほど持たずに掲げてきたSDGsも、割とご都合主義的な環境対策に突き進み過ぎて面倒なことになってきているのではないかと思う次第でございます。やれやれ。
***********************ここまで

今まで見なかった視点の記事だったが、廃棄物処理の業界、電池製造&性能試験の関連業界に居た身としては、実に腑に落ちる内容だった。
この記事が、この時期に「科学誌」ではない、この手の媒体に載ったのは記録すべきと思った。

まぁSDGsは、EUとかのルールを独り占めしたい「国や団体」が掲げた「旗」だから
元々クソ見たいなもんだが、その根本の精神には「一分の理」は有る。
間違っている部分を見直しつつ、変わっていければ良しとは思っている。

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