mixiユーザー(id:462499)

2023年09月04日19:31

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八甲田山死の彷徨

を読んだ。新田次郎著
 本を持ってくるのを忘れてしまったが、こんなこともあろうかと会社が社員教育用に確保していたと見られる本書をちょろまかしておいたので、読んだ次第。
同じパターンで前に「新書太閤記」も読んだ(笑)
 日露戦争直前。ロシアの艦隊が津軽海峡及び陸奥湾を封鎖した場合、鉄道や道路が艦砲射撃によって使用不能になることが考えられる。
そうなったら連絡は八甲田山を越えるしかなくなるが、冬の八甲田山を踏破するのが可能なのか皆目分からず、陸軍は研究目的も含めて1月の厳冬期に八甲田山を越える訓練を行うことにした。
それはただでさえ過酷なものだったが、旅団長が第5聯隊、第31聯隊を競わせるようなことを言い・・・。

 登場人物の名前は微妙に変えてあるが、基本的にはわかっている限りの史実にドラマ的な味付けを少々施したものになっている。
予想はしていたがその内容は悲惨の一言で、悲惨な小説といえば思い出す「女王陛下のユリシーズ号」よりはるかに悲惨と言えばその悲惨さが伝わるだろうか(笑)
読んでいると山田少佐をぶっ殺したくなるのだが、もちろんわざわざ手を下す必要もないのである(汗)
開国してまだ世界の事をよく知りもしないうちに日清戦争に快勝し、押せ押せムードだった日本軍。驕りと精神主義がまん延する陸軍上層部。
現在のように誰でも情報を入手できるわけではないので、ある程度は仕方がないとは言え、八甲田山での死はあとから見れば必然としか言いようがないのがなんとも切ない。
その経験を活かして日露戦争の勝利をつかんだと考えることはできるが、それらの経験が太平洋戦争での悲惨な結果を招いたとも考えられ、とにかく切ない。
 それはさておき、本書はまあまあ古いことだし内容も内容なので読みにくさを覚悟していたのだが、全然そんなことはなく、非常に読みやすい上に描写が実に巧みでぐいぐい惹き込まれてあっという間に読んでしまった。
実は読みやすくて盛り上がる冒険小説という見方もできると思う。冒険小説にしては結末が悲惨すぎるが(汗)
そうそう史実を基にしているだけあって、ラスト近くは普通なら蛇足以外の何物でもない内容がしばらく続いたのもなかなか新鮮だった(笑)

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