を読んだ。
アイザック・アシモフ著/伊藤哲訳
USロボット・アンド・機械人間社のロボット心理学者だったスーザン・カルヴィン博士が、インタビュアーに思い出話を話して聞かせる。
ロビー
グロリアは子守ロボットのロビーが大好きだった。
しかし彼女の母親はグロリアが機械に夢中なのをよく思わず、夫を説得し続け、とうとうロビーを追い出すことに成功する。
ところが彼女の予想に反してグロリアはロビーのことを忘れたりはしなかった・・・。
ほろりとさせられる好編。
堂々めぐり
グレゴリー・パウエルとマイク・ドノヴァンは、最新型のロボットのテストのために水星基地にいた。
ところがセレニウムを取りに行ったロボット「スピーディー」が戻ってこない。
セレニウムが無いと光電池が破損してしまい、基地内の環境制御が動かなくなり、2人は干物になる。
なんとかスピーディーの居場所を突き止め、旧型ロボットに乗って行ってみると、スピーディーはセレニウムの貯蔵所のまわりをぐるぐると回り続けていた・・・。
この話より本格的に「ロボット三原則」が絡んでくる。
面白いが、よく考えてみるとこのループは非常に簡単に発生するので、こんな状況になるまで発見されないというのは考えにくい。
それはさておきスピーディーもいい感じだが、この話ではむしろ旧型ロボットの方が面白く描かれていると思う。
理性
宇宙ステーションの管理用ロボットのテストにやってきたパウエルとドノヴァン。
彼らが組み立てたロボットQT1号はこれまでにない高度の知性を備えていたが、宇宙ステーションという環境しか知らない彼は、2人の人間が彼を組み立てたとは信じず、やがてステーションのエネルギー変換機を創造主だと言い出し・・・。
これまた面白いが、なぜキューティーがロボット三原則の第2原則を無視できたのかわからない。
あの兎をつかまえろ
今度は小惑星で鉱石採掘ロボットのテストを行う2人。
ロボットDV5号、通称デイヴはサブロボット6台を操る監督ロボットだったが、なぜか2人が見ている間はちゃんと仕事をするのに、見ていないと全然鉱石を発掘せず、その間の記憶を失うということが頻発した。
原因を探るため遠隔カメラでその様子を監視するが、全然原因がつかめない。
なんらかの緊急事態が起きるのがそのきっかけらしいということでロボットの近くで爆発を起こそうとするが・・・。
ちょっと落ちがしっくりこなかった。
人間が見ていると異常動作に陥らないということは第2原則が生きているわけだが、そのへんの説明は見当たらなかったし。
嘘つき!
偶然できてしまった読心ロボットRB34号。
スーザンは彼と話をする内、彼女が想いを寄せていた年下の男性も彼女のことを愛しているとRB34号に聞かされ、有頂天になる。
またロボット工場の副所長のピーター・ボガートは、現所長ラニング博士がすでに退職しており、現在の状況が完了次第ボガートにその座を譲る気だと聞いてこれまた有頂天になる。
しかし・・・。
非常に面白い。
アシモフはこういう奇妙な現象が、大本をたどれば起こるべくして起こった通常の流れにすぎないという理屈をトリックに使うのがうまい。
迷子の小さなロボット
ハイパー基地から1台のロボットが逃げ出した。逃走先はわかっていたが、そこには同じNS2号ロボットが62台もいて、どれがどれだかわからない。
しかし逃走ロボットは早急に発見する必要があった。なぜなら彼はロボット三原則の第1原則の一部を解除されていたのだ・・・。
ウルトラマンのスカイドンの回みたいに、チャレンジしては失敗し、調整して再チャレンジしてまた失敗を繰り返す実験が面白い。
でも途中で思いついたのだが、「ガンマ線が50%の確率で発生する」と言えばよかったのでは・・・。
逃避!
今や超原子力駆動の研究が最先端の研究であり、それが成し遂げられれば人類は他の恒星系まで旅立つことが可能になるはずだった。
ある日USロボット社にライバル会社であるコンソリデーテド社からある提案がなされた。
それは超原子力駆動のあらゆる研究データを渡すので、それに解が無いか、あるかを証明すれば莫大な報酬を渡すというものだった。
先日コンソリデーテド社の最高の電子計算機シンカーが破壊されたということを知っていたUSロボット社の面々は、データには第1原則に関わるジレンマが含まれていると確信する。
シンカーはそのジレンマによって破壊されたのだ。
しかしUSロボット社の「ブレーン」には特許である感情回路によるパーソナリティが備わっている分柔軟性があり、ジレンマに遭遇しても直ちに破壊されることはない。
挑戦を受けることにしてブレーンに少しずつデータを与えてみると、なんと超光速宇宙船が完成した。
しかしブレーンの様子がおかしい。
そして宇宙船のテストには、例の2人が召喚され・・・。
死後の世界の描写が(笑)
証拠
政治家フランシス・クインから次の市長選挙の彼のライバルであるスティーブン・バイアーリーはロボットだと聞かされたUSロボット社の名誉研究所長であるアルフレッド・ラニングは面食らった。
USロボット社では勿論バイアーリーを作っていないし、そんなことはあり得ないと思ったのだ。
スーザン・カルヴィンは冷静な目でバイアーリー氏を観察し・・・。
なかなか趣のある話。
避けられた抗争
世界は膨大なデータを処理して最適の選択を下す「マシーン」によって、平和で幸福な時代を迎えていた。
それらを管理するコーディネーターとなっていたスティーブン・バイアーリーは、最近マシーンの判断にミスが連続していることを心配し、年老いたスーザン・カルヴィンに相談していた。
データの入力、マシーンの判断に間違いが起こり得ないとすれば、人間がマシーンの判断通りにしないのが原因だと考え、それがマシーンによる統治をよしとしない「人間性協会」によるもので、彼らを粛清するしかないと言うバイアーリーだったが・・・。
完全なデータ入力というのは無理がありすぎる。
しかし非常に面白いストーリーで、これにも上記の「起こるべくして起こる」トリックが使われている。
それにしてもアシモに毛が生えたようなロビーから、人類を完全統治するマシーンまで、よくもまあ大幅な進歩を1冊の本の中に封じ込めたものである。
読了したのはこれで多分4〜5回目くらい?
何度読んでも面白い(笑)
ただし流石に中学生の頃に読んだのと今では少々感想は異なってきた。
まずは年代記としての面白さは、昔はあまり感じなかった。
そしてアシモフの言う「ロボット」は要するに人工知能のことを指しているというのも昔はあまり考えなかったが、今となるとなぜそういう解釈になったのかは少々不思議に感じる。
問題としては最近気づいた「ロボットは人間をどうやって人間と認めているのか」というもので、これには一切触れられておらず、「究極のSF」に収録された「心にかけられたる者」で初めて遠回しに触れられるのだが、本書を書いていたときのアシモフはその点を考えていたのだろうか?
なにしろロボット三原則はこれができる前提でないと成立しようがないので、わかっていたけど無視していた可能性が高い。
それにしてもどうやったら見分けられるんだ(笑)?
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