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2021年10月13日21:16

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海の男ホーンブロワー1 海軍士官候補生

を読んだ。セシル・スコット・フォレスター著。高橋泰邦訳。
 1793年。17歳でイギリス海軍ジャスティニアン号に配属された士官候補生ホレイショ・ホーンブロワーは、いきなり船酔いにかかるなど将来を不安視されるが、持ち前の正義感と理数系の思考能力で様々な任務をこなしてゆく・・・。
 海軍物の小説は何冊かは読んでいるのだが、帆船物は初めてで、どうなることかと少々心配だったのだが、期待を逆方向に裏切られた。
とにかくテンポが良くて読みやすい。
初めての帆船勤務に慣れるまでをじっくり描くのかと思いきや、さらっと流し、そして色々あって最初の配属艦ジャスティニアン号が出港する前に転属になり(汗)、次は新たな配属先の船に乗り込むシーンかと思えば、いきなりそのフリゲート艦インディファティガブル号が敵船団の中に殴り込む戦闘シーンが始まったり(笑)
ちうかそもそもこの本は1つの長編と言うよりも連作短編の集まりのような構成になっているのだ。
そしてそれぞれの短編が、あまりにもバリエーション豊かなのには驚かされる。
最初はホイストでの勝負(笑)、次が米の輸送、フランス私掠船からの脱出、フランスのコルベット艦への闇討ち、神と悪魔を観た男との語らい(笑)、フランス王党派と共にフランス上陸、スペインの寝返りとガレー船との対決、任官試験とスペイン軍の襲撃、黒死病による隔離と食料輸送(汗)、公爵夫人の護送とスペイン大艦隊との遭遇、スペインでの捕虜生活(笑)と、当時の海軍士官の活躍の幅の広さには驚愕するしか無い。
 そして帆船の操作や生活振りも予想通り興味深かったのだが、なにより印象的だったのはこの時代そのものだった。
時はフランス革命戦争の最中。ナポレオンの台頭の前である(汗)
今では滑稽としか思えない風習や技術水準の低さは勿論のこと、野蛮なところはとことん野蛮だけど一部では現在よりむしろ紳士的であったり、そんな教科書や歴史の資料なんかで見るだけでは想像しにくい時代をその時代に生まれて生きている主人公の目を通して見るのは、まるでタイムマシンに乗ってその時代にやってきたような感覚にさせられる。
艦長は勿論かつら。士官は正式な場では白いタイツで脚線美を強調。足りない乗員は強制徴募(笑)、王党派フランス軍は仕返しとばかりにギロチンを港町に持ち込んで革命派の首の山を築き、極めつけはガレー船。
1000年単位で時代遅れじゃないのと思わされるガレー船だが、帆船時代にあってもなにしろ唯一エンジンを内蔵した船なので凪でもいつもの機動力を発揮でき、使い所があるのだ。
しかしそのエンジンは放おっておくとどこかに行ってしまうので壊れるまで鎖でつないでおかなければならず、おかげでガレー船が近寄ると凄まじい糞尿の臭気が・・・(汗)
ちうわけで奴隷に人権などという考えは欠片も存在しない時代なのである。おとろしい・・・。
 というわけで読みやすい上にどこもかしこも興味深く、とても面白かった。
また主人公ホーンブロワーが、頭はいいけどクソ真面目(笑)という、その判断はいつも納得がいくし、でも卑怯なことは性格的にできないというまさに完全なヒーローと言える造形なのもお見事。
あとは事件の最後に顛末を聞いた艦長から意外な意見を言われるシーンは、まさに銀河辺境シリーズそっくりなのも面白かった(それ逆/笑!)
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