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2015年04月13日22:22

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浅草鳥越あずま床

を読んだ。2014年11月10日。井上ひさし著。新潮文庫。
 浅草の幼なじみの初老6人組の繰り広げる連作短編集。

浅草鳥越あずま床
 いつものように床屋「あずま床」に集まった6人の仲良し老人たちに、娘婿のつてでNHKの特集番組で昔の遊びを紹介するコーナーに出演しないかという話が。
散々周りに宣伝した後、いざ収録当日。
撮影が押してしまい、彼らのコーナーがカットされ、それがきっかけで6人の仲にひびが入り、「あずま床」の主人の孝太郎は店を閉めることに・・・。
 とりあえずは登場人物紹介編といった感じ。いきなりチーム解散の危機だが(笑)

上野西郷花ふぶき
 2月の最初に水戸まで梅の花を見に来た5人の老人達。しかしまだ早く、花は咲いていなかった。
西郷さんの銅像の前で文房具問屋の徹ちゃんと待ち合わせし、大震災の時に少年だった6人が望遠鏡で一儲けした思いで話などをした後、とあるキャバレーへ。
そこで出会ったガム売りの少女に一目惚れした一行は、彼女に援助しつつ、春画家の雲麿がモデルを依頼し、ついでに残りの5人は押入に隠れて彼女の裸を鑑賞(笑)
しかしその直後にやくざ風の声による電話が入り、金を要求してくる・・・。
 要するに単純な老人が若い女にだまされる話で今と大して変わらない。
変わったのは女の動機で、大学に合格した兄の入学金を手に入れるためというのが本作のそれ。今なら単なる小遣い稼ぎが妥当だろう。
そういうのを社会常識が変化したと言うのだろうか???

忍ぶ恋路は柳橋
 老人達のアイドル的存在である芸者の小春に、縁談が持ち上がる。
相手はビル会社の社長の大関という男で、小春に芸者を辞めさせて高級クラブをまかせようとしていた。
老人達は小春へのはなむけに、太鼓持ちになってクラブ開店の日に押し寄せるという計画を実行する。
しかしその後大関が開発のために小春の実家を買い取ろうとしていることがわかり・・・。
 単に地上げするだけにしては大がかりで、このへんでも昔は悪にも情があったのかと勘ぐらせる。
ほんとうにそうだとしたら、もはや当時と今では日本は違う国というくらいの変化っぷりである。

踊る金髪浅草寺
 「あずま床」の2階を人に貸すことにしたところ、やってきたのは若い女2人組だった。
なんでもストリッパーとストリップ中の選曲者だそうで、見た目からしてもまともではなかったが、とにかく若い女と言うことで喜んで貸してしまう孝太郎(笑)
早速ショーも見に行く一行(笑)
しかし一番見たいところは見せてくれなかった。
それでもレズのカップルの幸せのために骨を折る一行なのだが、そもそもとんでもない勘違いをしており・・・。
 ご近所つき合いの濃さ以外は、この話は今でもありそうである。
とりあえず変にリアルにエロくて面白かった(笑)

はり毛はり紙花川戸
 春画家の雲麿に富士山の壁画を描いてもらった風呂屋の徳ちゃんだが、だまし絵で見ようによっては女性器に見えるという作品が仕上がり、まいっていた。
そんなところに、政治家の偉い先生から春画集を50冊作ってほしいという依頼が。
張り切って実物の陰毛を集めて貼り付けたりと、凝りに凝った春画集を作り上げる。
ところがその先生に渡した本が、D国の野党党首が誘拐された現場から見つかり・・・。
 いきなりの急展開にちょっとついていけない(笑)
「日本に地理的にも政治的にも近いD国の野党党首」を日本の政治家が秘密裏に誘拐するというシチュエーションはどんな筋書きが想像されるのだろうか?
少なくとも現代の日本では化夢宇留仁は考えつかない。
政府のノリも今とは全然違ったのか???

迷う心の待乳山
 かもじ屋の昭ちゃんが、昨夜キャバレーで出会った女の子と閉店後に楽しんだという話を聞いていた雲麿は、その子かおりが自分の娘かもしれないと言い出す。
昭ちゃんが聞いてきた彼女の生い立ちに覚えがあったのだ。
彼女を連れだして話をしてみると、なんと彼女の母親は恋多き女で、他にも父親の可能性がある男性が多数いることがわかり・・・。
 この先が意外と言うか、珍妙な展開になる。
結果的には4人の精神病患者ができあがる(笑)のだが、その辺の表現の仕方とかが舞台劇っぽい。著者が著者だから当たり前なのかもしれないが。

すまじき恋を駿河台
 気の抜けたようになってしまった孝太郎のところに、突然美人のホームヘルパーがやってくる。
俄然元気を取り戻す孝太郎。
孝太郎のことを心配してヘルパーの手配をしていたのはいつもの仲間達だったが、予想に反して若い美女が来たことで、孝太郎だけにいい思いをさせるのは許すまじと、みんながよぼよぼの老人のふりを(笑)。
実はその女性はベテランの記者で・・・。
 とりあえず老人達がエロエロすぎて、しかもなぜか生々しい(笑)
もしかして化夢宇留仁が老人達と近い立場だからなのか(汗)???

あぶらかたぶら泪橋
 徹ちゃんの店に勤めていた三千代という娘が辞めると言い出した。
どうしようかと相談しているところにやってきた小春が、それまでの話を吹き飛ばすような報告を。
なんと小春はアラブの石油王に見初められたというのだ。
いつものお節介で信頼できる人物かどうか見極めてやるということになり、石油王を「あずま床」に呼び出すことに(笑)
ところがその後自体は予想外の展開を見せ、物語は宝石盗難事件につながっていく・・・(笑)
 この唐突さはどこかで見覚えがあると思ったら、松竹新喜劇だと思い当たった(笑)
というよりもこっちがその大本なのかもしれないが。

 初めて読んだのは中学生の頃。その後1回くらいは読みなおしたと思うが、その後数十年たって再び読み返してみた。
筒井とか星とか読み返していた流れかな?
ちうわけで一通り振り返ってみたが、小さい頃に読んだときには自然に感じていたところが、今読むと違和感が強いところが多かったのが興味深かった。
 まずはメインの登場人物達が「老人」だと思っていたが、今見返してみるとみんな50代で、全然老人じゃない(笑)
まあ年齢に対するイメージは自分の年齢との相関関係にあるのでよくある話か。
 それに上でも何度も書いたが、すでに別世界としか思えない当時の日本の常識。
これも浅草の古い商店街が舞台と言うことで、描かれた当時から時代遅れな感じにあえてしているのだとは思うのだが、それにしても変化が大きすぎるような気がする。
 それと上記の舞台劇っぽさ。
今ならあんな唐突な展開は普通の小説ではなかなかあり得ないというのを知っている(笑)
 そんなわけで色々な意味で古びた内容の作品だが、そこがまた興味深くてなかなか面白く読めた。
人には勧めないが(笑)
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