監督・脚本メアリー・ブロンスタイン。
第75回ベルリン映画祭銀熊賞、第83回ゴールデングローブ賞最優秀女優賞(ローズ・バーン)受賞作品。
セラピストの仕事をしているリンダ(ローズ・バーン)。
夫のチャールズ(クリスチャン・スレーター)は、仕事(船乗り)のため長期不在であり、リンダは1人で難病の幼い娘の介護をしている。
娘の今後の医療方針を巡って医師の説明に納得が行かない部分があり、娘の体調も思うように改善しないことから、リンダはストレスを抱えており、同僚のセラピストから定期的にセラピーを受けている。
そんなある日、自宅アパートの天井が崩落して大きな穴が開く。原因は定かではないが、アパートの構造に欠陥が合ったらしい。
そのためリンダは娘と一緒に、天井の修理が終わるまで、海辺の格安のモーテルに滞在することになるが、さらなる細々したストレスがリンダを襲う。
・モーテルの受付の若い女が無愛想かつ意地悪でサイテー。
・娘の通院している病院の駐車場係の太った中年男も指示がイチイチ煩くてイライラ。
・娘は難病だが、異常におしゃべりで、いつも母親のリンダにあれこれ話しかけてくるし、リンダの言う事をなかなか聞かない。
・天井の修理業者が私用で仕事を放棄してしまい、天井がいつ直るのか分からなくなる。
・リンダのセラピーを受けている女性のキャラロライン(ダニエル・マクドナルド)は、時間外に重要事でもないのに緊急電話をかけてくる、ついにはセラピー中に自分の幼子を置き去りにして失踪。
リンダは、これらのストレスを紛らわせるため、酒やドラッグに手を出すが、それもまた新たなストレスな事柄に繋がっていき…
仕事と育児及び介護、周囲の人間関係のストレスで、精神が壊れていく女性を描いた多少ブラックユーモアな作品。
一部、主人公リンダの幻想(妄想)のような描写もあります。
リンダの難病のオシャベリな娘は、盛んに登場しますが、カメラワークで顔が全く映りません。
そしてラストシーンでその顔が明らかになります。この展開は、前日に観たヨン・サンホ監督映画の「顔」と同じなので、ちょっとビックリしました。
本作も映画「顔」と同様に、観ている観客の方まで鬱になってくる作品です。
批評家絶賛の優秀作品でも、鬱とかストレスのお裾分けをされても困ります。
そしてこの映画のラストシーンの解釈…
人に寄っては、希望的な解釈もありますが、このラストシーンは現実描写ではなくて主人公リンダの幻想(妄想)シーンと思われるので、どこまで希望的に受け止めていいのか釈然としません、却ってモヤモヤしました。
この映画を楽しめる気分とは、A・ビアスの「悪魔の辞典」の「幸福」の意味、すなわち、
「幸福とは、他人の不幸を見ているうちに湧き起こる快感」
のような気分ですか?
ブラックユーモアな映画では、そうした「主人公の不幸を観て愉しむ」感覚も無いわけではありませんが、本作では個人的にローズ・バーンの熱演で主人公リンダに感情移入してしまい、彼女と同様にストレスを感じされせられまくる映画でした。
ローズ・バーンの熱演に興味がある方、又はA・ビアスの“悪魔的な方”にだけ、勧めできます。
(完)
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