を読んだ。エドガー・ライズ・バロウズ著/佐藤高子訳
ディヴィッド・イネスが長く留守にしていたサリに帰ってくると、ペリーが新しい発明品を見せようとうずうずしながら待っていた。
その発明品は飛行機だったが、その初テスト飛行は散々な結果に終わった。
その後ディヴィッドは再びサリを発ち、ペルシダー帝国の視察に向かった。
ペリーはその間に今度は気球を完成させ、初の人間を乗せての飛行には美女ダイアンが乗り込んだ。
気球は見事に空を飛んだが、ロープを巻き上げ機に結びつけるのを忘れるというペリーの致命的なうっかりによって、ダイアンを乗せた気球は何処かへと飛び去ったのだった。
一方ペルシダー帝国に属するカリに到着したディヴィッド達は、まずはカリの王に使いの疾風のホドンを送る。
ところがカリはすでに敵対するスヴィに占領されており・・・。
相変わらずの地を駆け海を進み、更に本作では空をも舞台にした大冒険が繰り広げられる。
そういうのはまあ毎度のことなのだが(笑)、今回は登場人物の誰も彼もが活き活きとしており、特にカリの王の娘オー・アアのキャラクターが最高で、口は回るし頭も回るし気風はいいし、しかし彼女を守ってホドンが戦っていると必ずその間に逃げ出してしまうという困った娘で、本作の主人公はほぼ彼女だと言っていい。
彼女以外にも人喰いで150歳のアメリカ人海の男(笑)や、いかにもな悪役かと思いきや頭のいいところを見せて仲間になるかと思いきや情けなさすぎて見捨てられる某国の王(笑)と、更にはすっかり女王の風格を備えた美女ダイアンも大活躍して、火星シリーズの最盛期並みの面白さで展開する。
地底シリーズは主役のディヴィッドの影が薄くてもう一つ盛り上がりに欠けるところがあるのだが、本作は大満足の内容だった。
そして相変わらずのもう堪忍してと思わされる危機また危機と愛し合うカップルのすれ違いの繰り返しに読者はもんどり打つのだが(笑)、本作で面白いのはハヤカワ文庫版と創元推理文庫版とでラストが大きく異なるというところ。
というのも創元推理文庫の方は元々連作短編だった本作の最後の作品の訳出の権利が得られなかったのだ。
化夢宇留仁の読んだハヤカワ文庫版では創元推理文庫版に収録されている最後の話ではとんでもないところで終わっており、いったいどうなっているのかと創元推理文庫の方も確認してみたのだが、あちらは最後は一応ダイジェストを付け加えてなんとか大大円に持ち込んでいた(笑)
しかし最終章は上記のオー・アアが1人(と1匹)で奮戦して大活躍する話でもあるので、やはりハヤカワ文庫版の方が満足度は高いと思う。
ただし相変わらずこちらはイラストが適当で、表紙のカヌーに乗っている動物はイヌ科だとはっきり本文で書かれているのに、やっぱりジャガーみたいなネコ科の動物に描かれている。
ちゃんと読んでから描けよ(汗)
ちうわけで地底世界シリーズを読み終わった。
上記の通り主人公の影が薄いのと、最初に大いなる脅威として登場した爬虫類のマハール族がさっさと退場してしまったのが残念だったが、おおむね面白く読めた。
しかしやはり散漫なところも目立つので、もしバロウズに挑戦してみようという人がいるなら最初に読むシリーズとしてはお勧めしにくいと思った。
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