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2025年11月13日20:59

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剣客商売十三 波紋

を読んだ。池波正太郎著
消えた女
 小兵衛が一泊して旧交を温めていた松崎助右衛門宅を出、十二社の権現さまにお参りしてから帰路についたところ、途中の林から出てきた傘屋の徳次郎と出会う。
徳次郎は捕物の準備中で、聞けば少女を囮に賊を捕らえようとしているということだったが、その少女を見た瞬間小兵衛の顔色が変わる。
その少女はかつて四谷の道場に住み込みで働いており、小兵衛が手を出したおたみに瓜二つだったのだ・・・。

 「黒白」で言及された24両あるのに10両しか盗まなかった女中おたみに関する後日談と言える内容。
もちろん少女はおたみと関係があり、しかも徳次郎たちが捕らえようとしているのは少女の父親(ということになっている)で、弥七の親分である永山精之助を斬り殺した極悪人。
まあいろいろあって一件落着するわけだが、そうなっても様々な謎を残しているおたみというキャラクターが実に魅力的だと思う。

波紋
 秋山大治郎は老剣客・藤野玉右衛門の見舞いに行ったのち、おはると三冬の好物である黒飴を買って帰ろうと目黒不動の門前にある桐屋へ向かうが、そこで複数の賊による待ち伏せに合う。弓矢まで持ち出してきている剣呑さだったが、そこは大治郎のこと怪我もなく切り抜け、そのあとちゃんと黒飴を買う(笑)

 「消えた女」で徳次郎に情報を伝えた隻腕の繁蔵と、その腹違いの兄七助と、七助の女房を寝取った関山百太郎、そして繁蔵の腕を切り落とした井上権之助。そして後者2人は大治郎襲撃犯でもある。
キーになる登場人物が多く、それぞれがなかなか複雑に絡み合ったプロットになっており、電車で読んでいたらわけがわからなくなって絶対遅れられない乗り換えを乗り過ごすところだった(汗)
タイトルの「波紋」はバタフライ・エフェクトと同じような意味合いでつけられたものかと思う。

剣士変貌
 大治郎宅で孫と戯れた帰路、小兵衛は菓子鋪「笹屋長蔵」の後妻お吉の姿を目にとめ、こんな離れた船宿で見るとは思わなかったその姿に違和感を覚えているところに、今度は立派な風采の侍が姿を見せる。
小兵衛はその侍のかつての姿を知っていた・・・。

 実に微妙な距離感で事件の進展を見守る小兵衛だが、ことが煮詰まった瞬間にホームズ並の推理を働かせて行動に出るのがかっこいい。
またこの話ではいつもの弥七と徳次郎が別件で出かけており、代わりに久しぶりの文蔵の活躍が見られるのも嬉しいところ。

敵
 料理屋「嶋屋」から出てきた立派な侍は酔っていた。
そこに浪人が現れ、その侍を棍棒で打ち据えて気絶させると姿をくらませる。
その浪人は中沢春蔵といい、10両で悪い侍を気絶されるだけという条件で襲撃したのだが、彼が秋山大治郎の家にいるときに昨夜の侍が胸を一突きにされて殺されているのが見つかったと知り、しかもその侍は大治郎にとって大事な人らしかった・・・。

 最後の大立ち回りが、もう大混乱としか言いようのない状況で面白い。
また中沢春蔵のキャラクターが魅力的で、再登場をねがいたいところ。

夕紅大川橋
 秋山小兵衛と横山正元が飲んでいると、眼の前の川に信じられない光景を目撃する。
そこには小兵衛よりも10も歳上の同門内山文太老人が、どう見ても岡場所の者である若い女と舟に乗っていたのだ。
その後更に驚いたことには、内山文太が行方不明に・・・。

 色々と切ない話だが、なにより「老い」の切なさが全編にわたり、いろいろと考えさせられる。
希望の光は変な人とくっついてしまった彼女の顛末で、ぜひその後の展開を読んでみたい。

 ちうわけで相変わらず面白すぎる本シリーズだが、解説にもあるがだんだんプロットが複雑になってきている。
それはそれでいいのだが、たまにはストレートな話もはさんでほしいかな。
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