を読んだ。昨日。北杜夫著
1 もりや(キチガイ)メガネの巻
怪盗グレート
怪盗に憧れた男と女がだいそれた盗みを働いて恵まれない子どもたちに還元しようとするが、実力が伴わず・・・。
昭和味の強いおとぼけ短編。
「怪盗」という存在自体が昭和っぽく、そのパロディみたいな内容なので尻がむず痒くなる(汗)
柳の下
女性と触れ合ったことのない男が柳の下の幽霊と恋に落ちるが・・・。
男女の関係というのにも時代の流れというものがある。
そういう意味では本作も非常に昭和な感じだった。
「さびしい王様」の中書き
著者の実際に存在する長編の中書きという設定の小説・・・らしいが元の作品を読んでいない上にあまりにもメタすぎる内容に混乱する。
大河小説
それなりの大家と目されているが長編を書いたことがない作家が一念奮起して大長編を書く決意をする。
それを聞いた編集者は実現すれば大きな利益になると踏み、著者がすぐに主人公を殺してしまう癖があるのを心配してあれこれと世話を焼く。
ところが作中の主人公は心配しすぎたせいかあまりにも丈夫な上に子沢山で・・・。
これは面白い。
私小説がメインの作家を編集者がチヤホヤしている時点で昭和感半端ないが、世話を焼かれまくった作中作品がやがて独り歩きし始める様子が夢がある。
作家と編集者のキャラクターも面白い。
2 おこりん(コマゴマ)メガネの巻
ここからはエッセイである。
百人一首のこと
百人一首と戦時中に登場した愛国百人一首について。
愛国百人一首は実物をぜひ遊んでみたい。
とぎれとぎれに
鬱病に関してと、宇野浩二との邂逅について。
あまりにも散文すぎて感想の持ちようがない(汗)
周期のこと
躁鬱病に限らず、ほとんどの人には躁鬱の周期があるらしい。
しかし化夢宇留仁はその周期が非常に長いのかもしくは全然無いらしく、中二病以外の鬱状態になった記憶はないなと思った。
鬱のウツ
鬱病について。
北杜夫という人は日本に躁鬱病という言葉を身をもって根付かせた人物だと思う。
ノイローゼ・ルポ
ノイローゼについて。
著者は精神科医でもあり躁鬱病でもあり、ノイローゼでもあったようだ。
複数の精神科医にノイローゼについてインタビューをした内容が興味深い。
こわい話
カンサーという名の芋虫が癌を予告する。
蟹でもあり死病でもあり、芋虫でもあるカンサーという言葉がなんでそうなったのかに興味が芽生えた(汗)
ろくでもない本の話
父の蔵書を悪夢のような記憶としながら昆虫関連の書籍を集めていた著者。
空襲で家が焼けたときに持ち出して庭に埋めた一部の本が今も残っているというのが印象的。
本屋さんへのお願い
今読むと非常に贅沢に感じる。
そもそも日本人は世界でも有数の本好きだという件には現状と比べて切なくなった。
なにしろ現在日本は世界でも最も本を読まない民族に成り下がってしまっているのだ(汗)
本屋へのお願いも、そもそも今は本屋自体無い(汗)
キングコング
やたらに怪獣だらけでありがたみがないという話。
これも今から見れば贅沢なような、そうでもないような(笑)
最近また怪獣映画も増えてきたしね。
銀座の半日
めずらしく昼間の銀座をうろつく著者。
著者が心酔するトーマス・マン原作の「トニオ・クレーガー」という映画の試写を観るためだったが、出来は残念なものだった。
軽く食事をしようとショーウィンドウを眺めて回るが、結局ビールを1杯飲んだだけで帰宅する。
単なる日記(笑)
「トニオ・クレーガー」あれこれ
原書の翻訳文をいろいろと並べて比較したり。
トーマス・マンをよく知らないと単なるオタクが楽しんでいるんだなとしか思わないが、それも悪くない(笑)
電話部屋
高度成長期の日本では、新たな家を建てて電話を設置するのがトレンドであり、工事が全然追いついていなかった。
それはそれとして、著者は電話でうまくしゃべれず、長い間出ることが出来なかったという話。
典型的社会非対応型オタク(笑)
よく覚えていない旅
母親と妹と共に飛騨方面へ旅行する。
名古屋で1人になり、あてもなくさまよい、宿の人に心配される。
とりあえず著者は病気なのだ(笑)
賭博と食物
マカオですってんてんに。
そしてものすごいダメ人間である(笑)
ヤップの祭り
ヤップ島滞在の様子。
他のカメラマンとかが精力的に仕事をしている間、著者は酔っ払ったり下痢をしたり(笑)
しかしやはり日本語を話す南国の老人というのは色々と考えさせられて興味深い。
またヤップ島の老人のスペイン人、ドイツ人、日本人、そしてアメリカ人への評価が面白かった。
キリマンジャロと戦車隊長
アフリカを旅行する。
化夢宇留仁も行きたい(汗)
ヨーロッパ躁旅行
躁状態でドイツ旅行。
女性を口説いたり、流石の躁状態で活動的。
凄く恥かしい話
ドイツ語を習っていた著者。
やはりドイツ語は難しいようだ。
旅行嫌い
旅行好きだと思われているが、実は大嫌いな著者。
そして講演も滅茶滅茶に。
ほんとにこの人ダメ人間である(笑)
悲しき夏
医者に禁酒を言い渡されるが、グダグダした挙げ句に飲み始める。
ほんとにこの人は(以下略)
3 えうけえ(マボロシ)メガネの巻
ホタルの神秘
ホタルの解説。
いきなり普通にホタルの生態などを解説して終わったのでびっくりした(笑)
都会と虫
都会で虫が減っているというのが定説だが、そうでもない。いやむしろ増えている?
一部の昆虫は増えてるでしょう。
糸巻きのタンク
ミシンの糸巻き、割り箸、輪ゴムを使った戦車をたくさん作って遊んでいたという話。
まだプラモデルが現れたばかりの新参者扱いなのが楽しい。
趣味のない生物
女性に趣味がない人が多いという話で、今フェミニストが読んだら発狂する内容(笑)
ピーコック革命
男性が着飾ることへの批判。勝負すべきは中身であり、男は戦士であるべきという感じで、やっぱりフェミニスト発狂間違いなし(笑)
音痴の弁
音痴ながらにハーモニカをやってみたりと努力していたが諦め、音楽ができる人に畏怖を感じている。
なんとなくわかる。
ビートルズの観客席
ビートルズに心酔するファンたちへの批判。
なぜか著者もビートルズのコンサート会場にいたらしい。
もっとゆったりと
挫折を恐れず完全を求めず、ゆったりと生きるべきという提案のような感じ。
これは現代の方が当てはまりそう。
甘えについて
昔の学生は教師とべったりだった。著者もその1人で、その後教師の立場になってからは逆に甘やかしていたが、やはり甘えはよくないという話。
そりゃそうだ(笑)
理屈ではダメということ
様々な理屈があるが、人間の多様性はそう簡単に理屈にはおさまらない。
しかし理屈は理屈だと思う。
アスピリン
様々な薬を試していたがなかなか効果が上がらなかった人が、馬鹿にしつつもアスピリンを飲んだら全快してしまった。
やはり理屈では割り切れないという趣旨だが、それはデータが足りていないせいだと思う。
風邪の治しかた
著者は幼い頃に風邪を引いてばかりで、むしろその状態が普通のように感じていた。
卵酒が美味いというところが昔の人っぽいと思った。
ドッピング
ドッピング(ドーピング)という行為が登場した当時の話。
著者は日本の最前線の1人だったようだ。
予言めいた内容だが、誰でも想像つくことでもある(笑)
順位予想率
人気解説者でもプロ野球の最終的な順位は外すことが多い。
そこで解説者の方にオッズを表示してはどうかという提案。
とてもいいと思う(笑)
ヘボ野球
大学時代のヘボヘボ野球の話。
楽しそう(笑)
お餅のことなど
餅と六大学野球の話。
化夢宇留仁は大学野球は高校野球よりも大きく取り上げるべきだと思う。
世界はひとつ、オリンピック
オリンピックにも遊びの心が欲しいという話だが、国と国が対抗して遊びの心を持つのは無理だろう。
すくなくとも現状の世界では。
いちばん原始的なこと
小さい頃は小さなことが幸せにつながった。
大人になってもそれでいいんじゃないかという話で、高度成長期の変化に対する批判でもある。
化夢宇留仁が思うに、子供はある意味囚人である。
囚人は食事であったり、なんでもないことに最高の楽しみを見出すのだ。
底のソーセージ
子供の頃の味覚の素晴らしさ。
思い出補正も大いに入っているが、小さい頃にくすねて食べたものの中でレバーソーセージが最高だったというのが渋い(笑)
ちうかなんで今はこんなに手に入りにくいのだ???
クリスマス
昔のクリスマスは質素だったので、今の子供は文句を言うなという話(笑)
昔を知らない人に昔と比べさせるのは無理がある。
幼稚園
娘が幼稚園に順応し、自分よりは社会性がありそうだと安心する著者(笑)
さもありなん(笑)
処女喪失者の弁
著者は旧仮名にこだわっていたが、メジャーデビューの可能性を前にして新仮名を使い、それ以来旧仮名を使う機会がなく、今となっては使おうにも覚えていないというへぼへぼな話だが、なんとなくわからないでもない。
机と椅子
古い机と椅子が手放せないという話。
長編執筆中に机や椅子が変わってしまうと続きが書けないかもしれないという件がいかにも昔の作家っぽい。
ちうわけでエッセイ中心の本に相変わらずエッセイめいた感想を書いてみたが、文章量が多くてしんどい(笑)
それはさておき、この人のエッセイはなんだか生々しい。
意地を張ってかっこつけ続ける筒井や、なんだかいつもいい感じの星とは全然違う。
自分の駄目なとこををそのままさらけ出しているからだが、多分ほんとにダメなところは書いてないだろうとも思う。
こういう内容は当時は目新しかったかもしれないが、現在はSNSで嫌というほど目に触れるので今本の形で読みたい人はいなさそう。
それと著者の典型的昭和初期おやじっぷりもなかなか鼻についた。
ログインしてコメントを確認・投稿する