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2023年01月22日14:42

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中性子星

ラリイ・ニーヴン著/小隅黎訳
 ノウンスペース・シリーズの短編集

中性子星
 所属していたナカムラ宙航が倒産したが、変に節約をすれば借金取りの目に留まるだろうと散財を続けていたパイロットのベーオウルフ・シェイファーだったが、それを見透かしていたパペッティア人に仕事を持ちかけられる。
それは史上初めて発見された中性子星の調査・・・を行った船に乗っていた乗員がなんらかの衝撃で死亡した原因の調査だった。
というのもパペッティア人が経営するジェネラル・プロダクツが製造する船殻は可視光線以外のあらゆるものの通過を防ぐはずだったのだ・・・。

 パペッティア人の設定が実に面白くて魅力的。
ゼネラル・プロダクツ製の絶対壊れない透明金属船殻という描写も魅力的。ちなみに表紙のイラストがその本作に出てくる宇宙船である。
また化夢宇留仁は円筒形スペースコロニーの遠心力を利用した人工重力のことを考えるとすぐにわけがわからなくなるのだが、本作もそこがポイントなので納得したようなしないような微妙な感じだった(汗)
 ちなみに本作はだいたい26世紀くらいが舞台なのだが書かれたのは1960年代で、現時点で中性子星は2つ発見されている。

帝国の遺物
 無人の惑星で1人で植物の調査を行っていたリチャード・シュルツ=マン博士のそばに海賊船が降り立つ。
海賊の自称キャプテン・キッドは逃走中の身であり、なんとパペッティア人の星系を知っているという・・・。

 古代種族の遺したものの設定が星野之宣作品っぽさもあって素敵。
それにしてもパペッティア人は面白い(笑)

銀河の<核>へ
 中性子星への遠征の結果パペッティア人から多額の報酬を得ていたベーオウルフ・シェイファーだったが、その金もそろそろ尽きようとしていたところに再びパペッティア人からの依頼が。
パペッティア人は常識はずれの超高速船を開発していたが、それは巨大な上に1人乗りで調査目的くらいにしか使い道がなかったが、パペッティア人は未知の調査というものには興味がなかった。
そこでそういうものに興味がある種族に買ってもらうための宣伝として、銀河の核を調査するというイベントが提出され、そのパイロットとしてベーオウルフが指名されたわけだった・・・。

 なかなか斬新で美しい銀河の核の描写が楽しい。
超光速と亜光速を繰り返した結果、見えるものが過去から現在へどんどん移り変わってゆくのも実にストレートなSFっぽくて楽しい。
そしてこの話はパペッティア人のほとんどがノウンスペースから姿を消した理由を明かす話でもある。

ソフト・ウェポン
 アウトサイダー人との取引の結果停滞ボックスを手に入れたカート・ジェスター号の船長ジェイスン・パパンドローは、妻と船客である「気が狂った」パペッティア人のネサスに、琴座ベータ星の景観をプレゼントしようと寄り道をする。
ところがそこにはクジン人の罠が待ち構えていた・・・。

 スタートレック・ジ・アニメーションのエピソード14「過去から来た新兵器」とほぼ同内容。
スタートレックの方が本書より数年あとなので、著者がスタートレックの脚本に流用したらしい。
ちなみにパペッティア人の役はスポックになっている(笑)

フラットランダー
 客船に乗っていた可愛い女性に手を出したベーオウルフ・シェイファーがその旦那に片腕をへし折られて凹んでいるところに、エレファントという名のフラットランダー(地球人の俗称)が話しかけてくる。
彼と意気投合したベーオウルフだったが、地球を案内するという申し出は断り、1人で歩いてみたらたちまち財布をすられる。
結局エレファントのところにやっかいになることになり、更には2人でアウトサイダー人から珍しい惑星という条件で教えてもらった原始恒星の調査に乗り出すことになるが・・・。

 情報屋アウトサイダー人が面白い。
ちうかこのシリーズに出てくる異星人はどいつもこいつも面白すぎる。

狂気の倫理
 パラノイアの遺伝子を持つダグラス・フッカーは正規の継続治療を続けながらスカイフック・エンタープライズの社長として長く勤めていた。
しかしある日オートドックが故障し、彼のパラノイア傾向が強まり・・・。

 なかなか先の読めない展開に、ラストのまさにSFという落ちにはびっくりした。
こういうのはすごく久しぶりに読んだなあ。

恵まれざる者
 知的生命体でいながら「手」が無く道具を使えない種族に「手」を売っているガーヴェイは、惑星ダウンに生息するグロッグという生物が知的生命体だと聞いて見に来たが、それはあまりにも知性とはかけはなれた存在で、円錐形で移動さえできないそれは滑稽だった。
しかしある日彼の中にある確信が・・・。

 種明かしが予想通りだったのでがっかりしたが、それで終わりではなくて続きがあったので安心した。
著者は異星の知的生物を面白く描くのがほんとにうまい。

グレンデル
 ベーオウルフ・シェイファーが乗っていた客船でクダトリノ人の彫刻家が誘拐される事件が発生。
ベーオウルフは乗り気ではなかったが事件の捜査を行うことになり・・・。

 本書3本目「銀河の<核>へ」で名前と作品だけが出てきたクダトリノ人はよくあるバリエーション描写の1つでこれっきりだと思っていたのだががまさかの本人登場。
こういうところがこの著者の油断のならないところである(笑)
そして物語はタイトルをうまくカバーしていい感じに。

 ちうわけで本書はどの話も粒選りで面白かった。
それにしても天体物理、異星生物進化、SFガジェット、未来の文化、異星の知的生物など、このシリーズはまさに闇鍋みたいに非常に多様なテーマを扱うので、今度はなにが飛び出してくるのかと全く予測ができないのが面白い。
そしてその中でも異星人がどいつもこいつも興味深くて面白い点では他の追従を許さないだろう。
またシリーズでは最初の作品集らしいが、作中年代にこだわらずにこの本から読むのがシリーズ入門にもよさそう。
リングワールドの2作を除いてなるべく作中年代順に読んできた化夢宇留仁的には、これまでの積み重ねもあって世界に深みを感じて楽しめたが、読みやすい順番というわけではなかったらしい。
この調子で世界の奥行きを知った上でリングワールドを再読するのが今から楽しみ♪
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