を読んだ。フィリップ・K・ディック著。
ディックの初期作品を集めた短編集。
ウーブ身重く横たわる
大森望訳。
ある惑星で船員の1人が50セントで買ってきたのは、巨大な豚のような生物だった。
それが食用にできるか調べてみようとしたところ、その生物は高度な知能とテレパシー能力があることがわかり・・・。
ディックのデビュー作らしい。
しかしオチがなにを言いたいのかわからなかった(汗)
化夢宇留仁が読解力がないのか、それとも現在ではオチと認識できないほど使い古されたシチュエーションだからか・・・?
ルーグ
大森望訳。
犬はルーグ達を警戒していた。
しかし人間はルーグたちの驚異に気づかず、やがてルーグ達は・・・。
これもなんだかよくわからなかった(汗)
変種第二号
友枝康子訳。
米ソの戦争は、核ミサイルによってアメリカが焼け野原になっても終わらなかった。
アメリカはクローと呼ばれる自律型ロボットを開発し、反撃に出た。
クロー達は改良され続け、やがては自分たちで自分たちの修理もできるようになっていた。
ある日ソ連の使者から話し合いたいというメッセージを受け取った米軍はヘンドリックス少佐を派遣した。
彼は道中テディベアを抱いた難民の少年と出会い・・・。
非常にディックらしい絶望的で不気味なビジュアルをもつ作品で、この話を読んでから寝たら、見事に影響された悪夢を観た(汗)
しかしページを繰る指が止まらなくなる迫力がある。
報酬
浅倉久志訳。
ジェニングズが気づくと、彼はここ2年近くの記憶が一切無かった。
しかしそれには驚かなかった。そういう契約だったのだ。
しかし約束の報酬が、彼の記憶にない期間の彼自身によって7つのガラクタに変更されていたのには驚いた。
絶望と疑問に苛まれながらその会社を出たジェニングズだったが、即座にSPに捕まってしまい、彼がこの2年間どこでどんな仕事をしていたのか聞かれ、答えようにも記憶がないので答えに窮した結果・・・。
化夢宇留仁にとってはまさに「THE ディック」と思える作品。
オチは逆の意味で意外だったが、ビジュアル的に面白かった。
にせもの
大森望訳。
恒星間戦争中の地球で、いきなり逮捕されたオルハム。
彼は宇宙人によって作られた精巧なロボットであり、かつ強力な爆弾であると断定されたのだ。
しかしそんな記憶は一切ないオルハムは、なんとか自分が人間だと証明しようとするが・・・。
これも実にディックらしい作品。
なんだか話の展開に覚えがあると思ったら、前に観た映画の原作だった。
http://kemkem1.com/kirokukansou/kiroku7_9/kirokukansou9.htm#kuron
オチは映画の方ではもう少し凝ったものになっていたが、よく覚えていない(汗)
植民地
大瀧啓裕訳。
その植民地候補の惑星には美しい自然が広がっており、驚くべきことに一切の有害な細菌やバクテリアが存在していなかった。
しかし植民地としての許可を地球に通達しようとした直前、ある事件がおこり・・・。
へんてこなビジュアルが面白い作品。
ディックっぽくは無いけど。
消耗員
浅倉久志訳。
昆虫の言葉がわかるようになった男の物語。
最後の物分りの良さが意外(笑)
パーキー・パットの日々
浅倉久志訳。
核戦争によってほぼ壊滅した地球では、生き残った人々は大小様々な地下シェルターで暮らし、生活に必要なものはなぜか火星人達が空から支給してくれていた。
地下シェルターで大人達が夢中になっているのは、パーキー・パットというティーンエイジャーの女の子の人形と、精巧な模型を使った人生ゲームのようなゲームで、彼らはそれで戦争前の幸せな生活を思い出していた。
しかしシェルターで生まれた彼らの子供世代はそんなゲームには興味がなく、外の世界で狩りを楽しんでいた。
ある日数マイル離れたシェルターではパーキー・パットではなくコニー・コンパニオンという人形を使っているという話を聞き、シェルター間でのゲーム対決が企画され・・・。
その状況(核戦争後の荒廃した世界)のみならず、その世界での文化を細かいディテールで表現するところにディックの目の付け所の鋭さを感じる。
更にそれらのディテール自体が物語を展開させ、現実世界の成長につながるオチに持っていくところはもはや神業。
たそがれの朝食
浅倉久志訳。
いつもの朝のはずだったのに、マクレーン一家は家ごと数年後の世界にタイムスリップしてしまう。
そこは核戦争によってなにもかもが破壊されるも、アメリカは残った力を全力で戦争につぎ込んでいる世界だった・・・。
冷戦時代の不安と現実逃避をしている現実を見事に表現した佳作。
当時読んでいたら背筋が凍っただろう。
フォスター、おまえ、死んでるところだぞ
友枝康子訳。
アメリカは空前の対戦争景気に沸いていた。
各家庭はシェルターを備え付けるのが常識であり、それも次々と新商品が出る。
学校ではサバイバルの授業が行われ、なにもかもが戦争に注目していた。
しかそマイクの父は非軍備主義者で、家にはシェルターもなく、彼は肩身の狭い思いをしていた。ところが・・・。
「たそがれの朝食」の真逆と言える内容。
誰も彼もが戦争のことしか考えていないが、それを自分の世界の縮尺まで落とし込んでいる。
これも一種の現実逃避の手段である。
ディックの作品は、内容がどれも凝っているが文章はとても読みやすい。
またSFガジェットは物語の展開のために出てくるだけで、そこにSF(サイエンス・フィクション)的な説明などは一切無い。
まさにこれはディックがストーリーテラーであり、その物語アイデアや表現している世界をわかりやすく伝えようとしていることを示していると思う。
やっぱり他の作家とは一味違う。
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