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2015年03月19日00:37

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老人と宇宙5 戦いの虚空

を読んだ。2014年9月24日。ジョン・スコルジー著。内田昌之訳。ハヤカワ文庫。
 前作「最後の星戦」&「ゾーイの物語」での〜〜〜の帰還によって、地球はCDF(コロニー防衛軍)にだまされていたと思いこみ、CDFとの関係を絶った。
それまで無尽蔵とも思える人材プールとなっていた地球を失ったことと、コンクラーベがまだ勢力を伸ばしていることを併せて考えると、30年後には人類は滅亡するという予測が。
コロニー連合はこれまで相手の脳漿を吹き飛ばす以外の外交方針を示してこなかったが、状況を鑑み、相手と交渉を行うというらしくない本来の外交を推進することとなった。
そんな世界を舞台にした13の連作短編。

エピソード1 Bチーム
 コロニー連合の外交船クラーク号の一行に割り当てられるのは、いつも重要度の低い種族との交渉ばかりだった。
今回も貿易協定の締結のため、ファーナット族が口から吐き出す水を頭からかぶって謝辞を述べ、仕事を成功させはしたが、大きな仕事とは言えなかった。
クラーク号のクルーには、CDFのハリー・ウィルソン中尉も技術顧問として乗り込んでいたが、副大使のハート・シュミットと2人で雑用係のようになっていた。
責任者であるオデ・アブムウェは、外交官であるにも関わらず、無口で人付き合いが下手だった・・・。
 ある日A級外交チームのポーク号が行方不明になった。
代わりに急遽クラーク号が交渉の席に着くことに。
そしてハリーには、破壊された可能性の高いポーク号のブラックボックスを探す任務が与えられた。
苦労の末に発見したブラックボックスから得られたのは、ポーク号がコロニー連合製のミサイルで破壊されたということだった・・・。

 この本はテレビシリーズのパロディという体裁になっており、この第1話はアメリカのドラマによくあるように前後編となっている。
内容的には状況と登場人物紹介という感じが強い。
それにしてもこれまでのシリーズとなんと雰囲気の違うことか(汗)
だいたいこれまでのCDFの主張では、そもそも異星種族との交渉は不可能ということだったはずだが(笑)
とりあえずは世界が広がって選択肢が増えるのは歓迎。

エピソード2 処刑板を歩く
 ある無法コロニーにコンテナに乗って不時着した男。
彼は軌道上の商船にいたのだが、謎の武装集団に襲われ、コンテナに詰め込まれて放棄されたのだった・・・。
 状況のみで、オチ無し(汗)

エピソード3 必要なのは頭だけ
 よりにもよって外交交渉をしている最中のブーラ族の星系に、コロニー連合の無法コロニーが発見された。
極秘裏に戦艦で接近して調査したところ、そこはすでに何者かに襲撃され、全滅していた。
調査中ハリーは死体の中に頭にブレインパルを装備した者がいることに気付く。
そんなところにCDFが関与していたとなれば、無法コロニーどころの話ではなく、コロニー連合の侵略行為と受け取られてもおかしくない。
実はそのCDF隊員は無法コロニーに潜入していたスパイだったのだが、交渉相手にはそんな理屈は通じないので、ひた隠しにすることに。
しかし3人いるはずのCDF隊員の死体の内2人までは見つかったが、残りの1人の頭だけは見つからず・・・。
 一方的にしてやられる話。
なんのこっちゃ。

エピソード4 荒野の声
 地球の有名トークショーホストのバンバウムは、リスナーの数が急激に減っていることを憂慮していた。次の半期も赤字ならば解雇されるだろう。
そこに奇妙な人物が接触してきて、彼の再度の成功を手伝わせてほしいと言ってくる。
それを受けたバーンバウムは、コロニー連合との関係を修復すべきだという論旨を展開する。
彼の番組は注目を集め、一躍時の人に。
しかし、彼の依頼者の目的はその先を視野に・・・。
 シリーズを通して地球の様子がまともに語られるのは第1巻以来で、興味深い。

エピソード5 クラーク号の物語
 クラーク号をミサイルの標的にさせたかどで問いつめられるコロマ船長。
結果的にクラーク号は解体されることとなり、次の任務は地球に古い宇宙船を売りつけるためのツアーの船長ということに。
またハリーも比較的最近の地球の知識があるということで、案内役として乗り込むことに。
そのハリーは地球から来た一行に怪しい点を見つけ、さらにエネルギーコンジット内部に爆弾が発見される・・・。
 諜報戦に翻弄される一行。
野球チームの話でボロが出るというのはありがちだが面白い。
しかし大統領の名前くらいはなんとかならなかったものか(笑)?
この話で2代目クラーク号が誕生し、クルーも同じ顔ぶれになることで、ああこういうシリーズなんだなとわかった。今頃(笑)

エピソード6 裏ルート
 人類とコンクラーベの船が多数行方不明になっていた。
お互いを疑う両陣営。
またコンクラーベはいくつかの人類の無法コロニーの存在に対して、それが本当に無法コロニーなのか、確認する必要があった。
コンクラーベは地球に使者を送り込み、情報収集を行うことにする。
その結果CDFにとってもコンクラーベにとってもその存在が都合の悪いコロニーが浮かび上がる・・・。
 魅力的な新キャラが登場。
コンクラーベからの使者は、ガウ将軍の顧問であり、ララン族である彼女は、もっとも背の高い地球人ほどの身長で、冷静で論理的でユーモアのセンスがあり、チュロスが好物(笑)
このシリーズがあらたな面白さを生み出すのに欠かせないのが異星人の魅力的なキャラクターだと思うので、まさにそれ(笑)
コンクラーベ内の駆け引きも興味深い。

エピソード7 犬の王
 ウェイヴァリー大使のイチェロー族との交渉のサポートをすることになったクラーク号の一行。
交渉の間、ウェイヴァリー大使の大事な犬をあずかることになったハリオーだが、なんとその犬が奇怪な植物に食べられてしまい・・・
 古いスタートレックのエピソードみたいな話。
謎の答えもなんだか古風な感じ。
その後さらにもう一段階物語が用意されているのは新しいところか。
どうやら作者はこの世界をとことんなんでもできる舞台として広げることにしたらしい。
それはそれで面白いのだが。

エピソード8 反乱の音
 捕まって拘束されたCDF兵士達の内の1人ヘザー・リーは状況を分析し、決死の脱出を試みる。
 ブレインパルの有効利用。反射音だけでそこに置いてある物の詳細まで含めた部屋の正確な見取り図を頭の中に作るとか、実にSFらしくて楽しい。
ちうかやはりこのシリーズの醍醐味はCDF兵士の活躍だと思う。

エピソード9 視察団
 地球の視察団が外交交渉に立ち会うことに。当然そのような半端な状況の最初の任務はクラーク号の一行に回される。視察団を監視する役目はもちろんハリーである。
視察団の1人である医師のローウェンと親しくなるハリーだが、視察団メンバーの1人が突然死んでしまい・・・。。
 ローウェルとの会話に、CDF兵士のことがたくさん出てきて、やっぱりそこは面白い。
ちうか話題になるだけで面白くさせるCDF兵士の設定はほんとうに素晴らしい。
物語自体はミステリー仕立てになっていて、なかなか面白い。

エピソード10 ここがその場所
 フェニックス・ステーションにやってきたハート・シュミットは久しぶりにゆっくりと休養をとった後、実家に戻り、家族と再会するが・・・。
 ハートの立場を通して地球やコロニー連合の置かれた過酷な状況が読みとれる。
ハートの家族も個性豊かに描かれていて悪くない。
スタートレックTNGでピカードが実家に帰る話を思い出した。

エピソード11 比較の問題
 ミサイル攻撃を受けるクラーク号。デジャブに悩まされながら回避行動を指示するコロマ船長(笑)。
しかしそのミサイルはコンクラーベの戦艦によって破壊され、そしてその戦艦はクラーク号に降伏の申し出をしてくる。
クラーク号を攻撃してきたのもコンクラーベの船のはずだったが、ソルヴォーラ顧問官はその船はすでにコンクラーベのものではないと語り、ようやくコロニー連合とコンクラーベの船が行方不明になっていることについて両者に会合がもたれ、どうやら第3の勢力が関係していると同意がとれて一安心。
ところが謎の宇宙船には恐るべき仕掛けが成されており・・・。
 初めて第3の組織の具体的な描写が出てくるが、その悪の組織としか言いようがないその行い(笑)は意外の一言。

エピソード12 やさしく頭をかち割って
 視察団に紛れ込んでいた工作員についての調査の交渉をブラジル領事館と行っていたローウェンだったが、突然領事館が爆発してご破算に。
調査は行き詰まったかと思われたが、ある男が彼女に接触し、ナノロボットによる脳への影響と、その結果の殺人について話をする・・・。
 ほんとにテレビシリーズみたいな雰囲気が漂いだしている。
そういえば映画化される話はどうなったのかな???

エピソード13 眼下に地球、頭上に空
 地球ステーションでサミットが開かれることになった。
しかしそこを16隻の宇宙船が襲撃。
ハリーは崩れ落ちる軌道エレベーターから脱出を観光する。
 結局地球との仲を修復するのに失敗したコロニー連合。
敵の正体も不明なまま、終了。
クリフ・ハンガーというほどではないにしろ、これではおさまらない。

付録 ハリーの災難
 ハリーがクラーク号に乗り込んだ直後の話。
外交交渉のおまけとして、コルバ族との模擬戦を行うことになるハリー。
3連戦の中で、彼は接戦を演じて負けなければならない・・・。
 CDF兵士の能力と、奇妙すぎる能力を持ったコルバ族の描写が楽しい。

付録 ハフト・ソルヴォーラがチュロスを食べて現代の若者と話をする
 地球ステーション崩壊後、ワシントンDCでチュロスを食べていたソルヴォーラ。
彼女の周りに幼稚園児が集まってきて、質問責めをはじめ・・・。
 とにかく冷静なソルヴォーラのキャラクターが活きていて、ラストにはちょっとほっこりさせてくれる良作。

 というわけで大筋を紹介したが、とりあえず世界を同じくした今までとは全く異なるシリーズが始まったと言うのが正しいところだと思う。
新しく始まったのは数百のエイリアンが生息する世界とコロニー連合、地球といった環境が主人公で、視点はあくまで登場人物達によるが、それらが集まって大局的な流れを描きだしている。
これはこれで非常に面白い未来史物と言えるだろう。
しかしやっぱり「老人と宇宙」といえばハードなミリタリーSFが看板だと思うので、微妙は微妙。
どうせならシリーズ名も変えたらすっきりするのだが。
とりあえず第3の勢力の正体がわかるのはいつのなるのやら???
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