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ミドレスタント物語コミュの始まり3

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 「あぁ、それから姉さんからの言伝もある。」
 「姉さんから?」
 予期せぬ人物の名が出てサウンズは束の間訝しむ。
 最近、姉さんには会ってないけど何かあったのだろうか?と。
 「姉さん、何て?」
 思い当たることがなかったのかサウンズは疑問の答えをクラシックに求めた。
 「たまには城にも顔出せってさ。最近、お前が会いに来ないってしょっちゅう愚痴をこぼしてるぞ。先生も先生でちっとも帰ってこないんだからせめてお前は時々で良いから姉さんの相手をしろ。」
 答えはものすごく簡単だった。つまり、大前提が間違っていた。
 [何かあったからの言伝]ではなく[何も無いことへの言伝]だったのだ。
 納得がいったサウンズははぁ、とこれまた大きなため息をこぼすと言い訳するような口調で言葉を発した。
 「姉さんも無茶言うよ。俺みたいな一個人が仮にも一国の王相手にそう易々と謁見できるわけないじゃないか。」
 その言葉に反論するのはもちろんクラシックだ。
 「いや、そんなことないだろ。お前だって立派な『ムジカの弟子』の一人なんだ。その気になればいつだって姉さんに会える。それに、もしその肩書きで会うのが嫌ならお前も騎士団に入団すれば・・・」
 「断る。」
 決然と言い切るサウンズの表情を見てとったクラシックは、そうだったな、と優しく微笑みかけこれ以上この話を続けることを止めた。
 「でも、まぁ時々で良いから姉さんに会いに行って安心させてやれ。あれで結構、お前のことを心配してるんだからな。」
 「・・・考えとく。」
 ここにきてようやくサウンズは、クラシックがここに来た本当の理由を理解した。
 姉さんと呼ばれる女性だけでなく目の前にいるクラシックもまた自分のことを心配してココまで来てくれていたのだ。
 その事実に今頃気付いた自分を恥ずかしく思うと同時に、言い表せないほどの嬉しさも感じていた。
 しかし、それを素直に表現できるほどサウンズは幼くなかった。
 「朝食食べて行けよ。昨日、チキリュードの巣を見つけたんだ。」
 「お、マジで?俺、あれの卵焼き好きなんだよな。」
 感謝の表現と話のすり替えとしては随分とヘタクソな方法だとサウンズは自分でも思ったが、それでも何も言わず素直に言葉を返してくれた兄弟子をサウンズは嬉しい気持ちでもてなそうと思った。



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