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ミドレスタント物語コミュの始まり2

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 ガキィイイン!!
 耳障りな金属音が森にこだまする。飛び出した影は少年から少し距離を置いた所で停止していた。
 「相変わらず良い勘してるなぁ、サウンズ。」
 藪から飛び出してきたのは一人の青年だった。
 広場の中心にいた少年よりやや身長が高くそれに伴って体つきも一回り大きく見える。銀髪を短く切りそろえ、肌は健康的に日に焼けた色をしていた。豪胆さを絵に描いたような表情には嫌味や毒気というものが一切無い。手にした長槍を肩にかけ愛想の良い笑いを浮かべながら銀髪の青年は少年へと歩を進める。
 「はぁ、クラシックか・・・。」
 サウンズと呼ばれた黒髪の少年は呆れ返ったと言わんばかりに思い切りため息をついた。
 「何だ、その態度は。久々に可愛い弟弟子の顔を見に来てやったっていうのに。」
 そう、二人は師を同じくする兄弟のような関係だ。
 黒髪の少年サウンズ=アルトリバー。
 銀髪の青年クラシック=ドラゴアイ。
 「それはどうも。けどなぁ、顔を見に来たって言うんだったら普通に声をかけろよな。」
 構えていた二本の短刀を左脇の鞘へと収め、鎖を鞘へと巻きつける。
 完全に警戒は解いたものの未だに不服そうな顔をしたままサウンズは近づいてくる兄弟子の顔を軽く睨む。
 「ん?普通だったろ?」
 何か悪かったか?と無邪気に言ってのけるクラシック。
 「・・・一体いつから人の死角を突いて襲ってくるのを『普通の』挨拶なんて言うようになったんだ?」
 悪びれる様子を全く見せないクラシックを改めて大物だなと皮肉に思いながら、サウンズはこれ以上は時間の無駄だとこの話に関しての追求を止めた。
 「で、インガルム騎士団の団長ともあろう方がこんなへんぴな森まで一体何の用だ?まさか本当に俺の顔を見に来ただけってワケでもないんだろ?」
 「いや、本当にそれだけだ。今日は久々に非番でな。面倒な仕事は全部ナルシェに任せてきたんだ。」
 サウンズははぁ、と今日二回目の大きなため息をついた。完全に脱力しきった態勢で今頃、雑務に追われているであろう憐れな壮年騎士の姿を思い同情したい気持ちでいっぱいになった。
 ナルシェ=ビーゲルはインガルム騎士団の副団長を務める壮年の騎士だ。サウンズとも多少の面識がある彼は屈強という言葉がぴったりの厳しい雰囲気を醸しだす大男である。しかし、実際には非常に心優しく部下からの信頼も厚い。実はクラシックが入団した時には彼が団長を務めていたのだが、クラシックの腕前に惚れ込んだナルシェは自ら団長の座をクラシックに譲り自分は副団長として補佐役に回ってしまった。一時期、団員からの抗議もあったらしいのだがそこはクラシック自身の確かな強さと毒気の無い性格、ナルシェのサポートのおかげで特に問題にはならなかったらしい。自分より一回りも年下の相手を素直に評価できる人間というのはそうはいないだろう。その点から言ってもナルシェという人物は非常に優れた人格者であると言えるだろう。
 そして、そんな彼をいともたやすくこき使うクラシックという男もまた、ある意味では優れた人物と言えるのかもしれない。


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始まり3
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