暇だから読んでやろう。コミュの七夕

　七夕。彦星と織姫が年に1回だけ、会うことを許される日。二人の気持ち、すっごくわかるなぁ。
　ボクは年に一回、七夕の日にだけママと会うことができる。パパとママが離婚して、はじめは月に一回だったんだけど、今はこの日だけになった。大人の事情というものらしい。
　ママはボクと会うとき、いつも高そうなお店に行く。｢せっかくだし。｣っていつも言うけど、ボク、本当はママのカレーが食べたいんだけどなぁ。なんでかわかんないけど、ボクはそのことが言い出せない。ママに会えるだけでうれしいからかな。
　ママはボクの｢いつも｣についてたくさん聞いてくる。学校のことや、クラブのこと、好きな子や友達のこと。ママの質問に、ボクもがんばって答える。でもパパのことは言わない。言っちゃいけないってわかってるんだ。ボクもママに言いたいこと、たくさんあるんだよ。だけどいつもママの質問に答えるだけで、精一杯になっちゃう。
　｢もっとママと居たいよ・・・。｣
　そんな風に思うけど、ママには絶対言わない。ママの困った顔、見たくないもん。ボクだって大人の事情、わかるもん。もう三人で暮らせないこと、わかってるもん。ボク、早く｢大人｣になるって決めたんだ。大人になったら、好きなときにパパとママに会えるって、おじいちゃんが言ってたから。だから、ボク、大人になるんだ。
　｢ママに新しい好きな人ができたら、どうする?｣
　やっぱり、ママ、好きな人がいるんだ。前とは雰囲気変わってること、気づいてたけど。本当は、少し寂しい。だけど、言わない。大人になるって、決めたから。
　｢ママに好きな人ができてもいいよ。だって、ママに好きな人ができても、ボクの中ではママはいつも一番だから。｣
　あれ？何で泣くの、ママ？ボク、ママを困らせること何か言った？気分でも悪いの？どうしよう、こんなとき、どうすればいいんだろ？
　｢ごめんね、ママ。ボク、何か嫌なこと言った？｣
　｢ううん、大丈夫。うれしくて、涙が出てきちゃったの。ママも、いつだって、あなたのことが一番よ。｣
　うれしいと涙が出るの？大人って、やっぱり難しい。もっと勉強しなくちゃ。でも、ママを困らせてなくて、本当によかった。
　もっと一緒にいたいけど、もうお別れ。次は来年かぁ、今よりもっと大人になってるかな。ううん、きっとなるんだ。ならなくちゃ。そういえば、彦星さんと織姫さんはどうなったのかな？ちゃんと会えてるといいな。
　夜空には満天の星と天の川が輝いている。

解説：
　七夕っちゅうことで、｢再会｣をテーマにいい話書いてみようかと思って。あんまり考えてませんが。ママを幽霊にする設定も考えたけど、話がぶっ飛びそうだったので、生存させることに。
　これは、書くの結構簡単でした。全部1人称だし。子供だから、多少つじつまが合わなくても、許されるかなと。
　駄文を読んでいただき、感謝です。