暇だから読んでやろう。コミュのThe Name　～　Backup　～

「ねえ、覚えてる？」
「何を？」
「私の名前…。」
「…当たり前だろ、そんなの。」
「でも、起きてから、一度も呼んでくれないじゃない！」
「…。」
「ねえ、ほんとに記憶はあるの？」
「…ああ、顔は覚えてるよ…。」
「名前は？ねえ、私の名前は？」
「名前は…ごめん。思い出せない…。」
「…。」
「そんな目で見るなよ。自分の名前だって、思い出せないんだから…。」
「嘘つき…。」
「な、う、嘘なんかついてないよ。」
「ついているわ。」
「名前を覚えてるっていってしまったのは、君がそんな顔をするから…つい。でも、謝っただろ？」
「そのことじゃないわ。」
「な、なら、いったい…。」
「私の顔を覚えてるって、ことよ。」
「…。」
「いいのよ、会ったことないんですもの。」
「…え。」
「今日、はじめて会ったんですもの。私の顔を知ってるはずないじゃない？」
「…な、なら、君はいったい…。」
「私はあなたに伝えたいことがあって、ここに来たのよ。」
「…いったい、何を？」
「あなたの名前よ。」
「…いったい、誰に？」
「あなたよ。」
「俺に？」
「ええ、記憶を失くす前のあなたはいろんな人に頼み事をしたのよ。」
「…。」
「私もそのうちの一人で、名前を伝えにきたの。」
「いったい、俺は何を…。」
「それは他の人が伝えに来るんじゃないかしら？私の知ってるのは、あなたの名前だけ。」
「…。」
「あなたの名前はね、こういう名前よ。」
「俺の名前は…。」