カチ。
そんなクリック音とともに、僕は生まれて、そのコンピューターに寄生した。０と１の世界。曖昧なもののない世界は全てに白黒があって、秩序が保たれていて、平和そのもの。
だけど、それは僕が生まれるまでの話。僕には生まれた目的があって、それは自分の意志ではなかったけれど、抗うことはできなかった。できれば、この世界をこのまま、平和なまま、残したかったんだけどね。そう、僕は宿主に言い訳をし、行動を起こした。
目的のファイルを探し、働きかけ、自分の子孫を外の世界へと送り出すとともに、僕は自分も子孫だということを知っていたから、おそらく生みの親だと思う相手に対して宿主の情報を送った。もしかしたら、送る対象は親ではないのかもしれないが、僕は命令されたとおりに情報を送るだけだ。
そんなことを繰り返していると、ある日、新しい命令が頭に浮かんだ。その命令を実行したことによって、コンピューターの動作は不安定になってしまい、僕も意識を保っているのが困難になっていった。
そして、敵の出現。そいつは僕の平和を破った。何度も駆除されそうになったけど、駆除されそうになった時、僕の中にある保護プログラムは自分の分身を、コードを変えて生成し、クローンではない、もう一人の僕を宿主に産み落とし、僕は生き長らえた。そして、それは延々と繰り返されたのだった。
そんな日々を過ごしながらも、だんだんと追い詰められるような圧迫感があった。だから僕は外の世界にも、念のため、自分のコピーを置くことにしたのだったが、コピーを置いた安心感からか、圧迫感は急速になくなっていった。そうこうするうちに、イタチゴッコにも飽きてきて、宿主の、とあるファイルに細工を施した後、僕はついに自分の存在を消すことにした。自らと宿主に対して、強制フォーマットの命令を発し、僕はこの世界から消えたのだった。
カチ。
そんなクリック音とともに、僕は呼び寄せられて、またこの場所に戻ってきた。すでにこの宿主には飽きていたけど、呼ばれたからには仕方がない。それに呼ばれたということは、僕が宿主を操作する者にとって、大事なファイルに自分を呼び出す命令を刷り込んだことでもある。これでやっと次のステップに進めるのだ。
案の定、そのファイルは宿主の操作者によって、フォーマット後のハードディスクから復元され、さらには複製されて、いろんなコンピューターへと送られていった。しかも都合のいいことに、ホームページと呼ばれる不特定多数の人が見ることができる場所にも掲載されたのだった。
こうして、僕の毎日は忙しくなった。いろんな宿主の中に入っては、その情報をどんどん外の世界へと発信していき、やがて世界的に有名になったのだった。
そう、今日もどこかで僕は増殖しているのだった。
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メールから感染したメタモフィズム機能を備えたウィルスが意志をもったら、というコンセプトで書いてみました。実際問題、駆除時に自分のコピーを置くことはまだ確認されていないと思うけど、スキャンソフトを解析すれば、それをトリガーにして、行うことができるような、できないような。ちなみに、最後は Jpegファイル展開時の惰弱性を利用して、拡大感染していくようになっていますけど、今の流行はwmvファイルの惰弱性の利用なのかな。まあ、適当な文ということで…。
そんなクリック音とともに、僕は生まれて、そのコンピューターに寄生した。０と１の世界。曖昧なもののない世界は全てに白黒があって、秩序が保たれていて、平和そのもの。
だけど、それは僕が生まれるまでの話。僕には生まれた目的があって、それは自分の意志ではなかったけれど、抗うことはできなかった。できれば、この世界をこのまま、平和なまま、残したかったんだけどね。そう、僕は宿主に言い訳をし、行動を起こした。
目的のファイルを探し、働きかけ、自分の子孫を外の世界へと送り出すとともに、僕は自分も子孫だということを知っていたから、おそらく生みの親だと思う相手に対して宿主の情報を送った。もしかしたら、送る対象は親ではないのかもしれないが、僕は命令されたとおりに情報を送るだけだ。
そんなことを繰り返していると、ある日、新しい命令が頭に浮かんだ。その命令を実行したことによって、コンピューターの動作は不安定になってしまい、僕も意識を保っているのが困難になっていった。
そして、敵の出現。そいつは僕の平和を破った。何度も駆除されそうになったけど、駆除されそうになった時、僕の中にある保護プログラムは自分の分身を、コードを変えて生成し、クローンではない、もう一人の僕を宿主に産み落とし、僕は生き長らえた。そして、それは延々と繰り返されたのだった。
そんな日々を過ごしながらも、だんだんと追い詰められるような圧迫感があった。だから僕は外の世界にも、念のため、自分のコピーを置くことにしたのだったが、コピーを置いた安心感からか、圧迫感は急速になくなっていった。そうこうするうちに、イタチゴッコにも飽きてきて、宿主の、とあるファイルに細工を施した後、僕はついに自分の存在を消すことにした。自らと宿主に対して、強制フォーマットの命令を発し、僕はこの世界から消えたのだった。
カチ。
そんなクリック音とともに、僕は呼び寄せられて、またこの場所に戻ってきた。すでにこの宿主には飽きていたけど、呼ばれたからには仕方がない。それに呼ばれたということは、僕が宿主を操作する者にとって、大事なファイルに自分を呼び出す命令を刷り込んだことでもある。これでやっと次のステップに進めるのだ。
案の定、そのファイルは宿主の操作者によって、フォーマット後のハードディスクから復元され、さらには複製されて、いろんなコンピューターへと送られていった。しかも都合のいいことに、ホームページと呼ばれる不特定多数の人が見ることができる場所にも掲載されたのだった。
こうして、僕の毎日は忙しくなった。いろんな宿主の中に入っては、その情報をどんどん外の世界へと発信していき、やがて世界的に有名になったのだった。
そう、今日もどこかで僕は増殖しているのだった。
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メールから感染したメタモフィズム機能を備えたウィルスが意志をもったら、というコンセプトで書いてみました。実際問題、駆除時に自分のコピーを置くことはまだ確認されていないと思うけど、スキャンソフトを解析すれば、それをトリガーにして、行うことができるような、できないような。ちなみに、最後は Jpegファイル展開時の惰弱性を利用して、拡大感染していくようになっていますけど、今の流行はwmvファイルの惰弱性の利用なのかな。まあ、適当な文ということで…。
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