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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第九十三回 文芸部A 王都作 自由課題「幸せ。…誰の?」≪二幕もの・2幕目≫

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1幕目
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(日記内)https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1984209191&owner_id=9270648

〈あらすじ〉
≪二幕目主役は大原里世も≫
数日後、武尊の妻が再訪、さらに今回は母と従妹が連れ立って見舞に来る
しばらく雑談と武尊の要望を聞き取り、母と従妹それぞれ近況を話す

〈人物紹介〉
≪二幕目からの人たち≫
女性大原里世(オオハラリセ (36)) 旧:金城真帆
1986年生まれ。元SE。叔母の大原雅美弁護士が養子にしたついでに名前も変えた。今は雅美の事務所の庶務
おばあさん月岡和子(ツキオカカズコ (72))(旧姓:鍋島)
1951年生まれ。武尊の母で里世の父方叔母。穏和かつ目端が利く
女性ナオミ・カキモト・ローレン(42)
里世の姉。ポーランドに暮らす薬剤師兼電子作曲家。仲間思い
phone to[電話口]梁美鈴(ヤンミーリン (62))1960年生まれ。鄭葉の母。世話好き
phone toメール[LINEメール]鍋島早紀(ナベシマサキ (75))
1937年生まれ。武尊の親戚の一人。原則親戚つきあいしない中で、月島一家と故・柿本由美、ナオミ、大原雅美、里世とは情けを感じるところがあり、関わっている
人影[話に上る]大原雅美(オオハラマサミ)(56)
里世の養母で母方叔母。文京区在住の中小企業弁護士。バツイチ


≪2幕目≫
〈本文〉
まだまだ冷え込むとある日の昼下がり
枯れ木のカサカサ音がやけに大きくなっている
虎ノ門病院の車寄せにGoタクシーが止まった
後ろのドアから武尊の従妹の里世(元・真帆)、彼の事実婚妻の葉と
彼の母でこの件に最も呆れた和子さんが降り、その足で彼の病室へ
着くと本人がいない、と思いきや空ベッド陰から突然飛び出し現れた
「驚いた!?」
葉は絶句し、左肩の服がズリ落ちた
葉の素直な反応にニヤりかけた武尊
里世、多少ヒキながら
「ずいぶんと元気ですね…」
和子さんはすぐに
「この子はいつもこう考えてる顔むかっ(怒り)
サプライズかましたつもりがスベる始末
皆の冷ややかな視線が突き刺さる中
トホホな状態の武尊と皆がペチャクチャし始めた
葉は
「何でこうなるかな?」
里世から
「心配してかなり損した、私のヤキモキ分お釣りつけて返せ勝ち誇り
和子さんは
「とりあえずあんたの好きなリンゴ持ってきたから食べよりんご
病室内で小柄な和子さんがベッドには腰かけずに武尊へリンゴをむく。彼はサンふじが好きなので、それを買ってきて持ち込んだ。甘酸っぱさ漂う匂いがベッド周りのカーテンで仕切られた手狭な空間に少し
里世からは塩なしのポテチ2袋とウィルキンソンの強炭酸1リットルの差し入れ
葉からは替えの下着と目薬を渡された
里世と葉の二人から
「早く退院しろ」
ヒョコっと小さく会釈のようなものをした武尊

始めに和子さんから近況が続々と
あまりに長いから端折る。たとえば途中から
「それでね、お隣の蓮見さん、帰省のお土産に豆大福くれて、あまりに美味しくて全部私が食べちゃったのよ。たしか家に包装紙取ってあるから、どこのお菓子か分かるはず♪ 欲しい?」
みたいな話が30分くらい
それが途切れて、武尊からの要望を何とかして聞くと
●母と葉には、かなり負担かけてることを考えて退院するまで来なくていいからあせあせ(飛び散る汗)
(本音は“これ以上とやかく言われたくない”)
●会えてない昭伯父とナオミの2人と話したい
の2点だった。後のは、多忙な彼らに遠慮して切り出せないでいたという
その2人の家族である里世からは
「あの雑把でフランクになった姉や、元から異星人の実父にいつでもLINE通話しろよ」しかない。全く手間のかかる奴だコイツはボケーっとした顔、と
彼女から見て明らかに目上に違いないが、不思議なほど同年代以下の仲間と並べてしまう
“私には1年下のカズキたちと何も変わらない”
ウダウダ考えてる横で、葉と和子さんは世間話で華やいでいた。そう、これが見たかった・・・
何だかんだ話したがりが集うと、自然に連帯感みたいなものが出来ていることがある
今回もまとまりかけていたのだが……

(なんか疲れた・・・)
武尊が浮かない顔をし始めた
こんなとき、和子さんが
「あ〜、ヘタらない!そうしても誰も構わないから考えてる顔
葉にとってそれは見飽きて退屈そのものだったようだが、最近知り合った里世にとっては彼の意外な一面を垣間見れたようで軽く吹き出してしまった
それが武尊には微妙なトコロに入ったらしい。彼から里世に
「お目汚し失礼」
と一言残し、トイレへ行ってしまった

――――

避難所(笑)から帰還した武尊に、里世から小さめの声で
「前にLINEしたとき、私の名前変わったのはチェックしてる?」
珍しく和子さんがこれに素早く
「ええ。すぐに判ったわスマイル ID変わってなかったから」
ウキウキ顔になる里世、少し悔しがる武尊
「判ってたよ。改めて言うことでもなさそうでスルーしてたけど。ゴメン」
二人は納得し、次の話題へ流す
武尊が昔から仲良くしていて、むしろ気にかけ続けている里世の姉・ナオミの近況、その周辺の話になった
まずナオミが永住権を得たポーランドで帰化申請と2国間での離婚協議が大詰めに来てる件について話した。第三者に話すのは武尊たちが初めてなことも手伝って、少し緊張していた
武尊たちは飽きずに、むしろもっと知りたそうに聞いていた
武尊からおもむろに
「で、里世ちゃんのことは?あるでしょ」
里世は少しためらい
「う〜ん、どこから話せばいいかな?」
彼は
「そこは里世ちゃんの話したいように」
里世はホッと胸をなでおろし話し始めた
ずっと続けたSEを辞めて雅美おばちゃんの法律事務所へ庶務で勤め始めたこと、元同居人との件が清算途中な話、誕生日に親戚の女性からレインボーカラーのガラスペンセットを頂いて喜んだ話、撮り続けたマンホール写真が1000枚超えて記念コメントのやり取りに追われながらも嬉しさが止まらない!ことなど、なかなか話し終われなかったあせあせ(飛び散る汗)
それでも遮らずに楽しそうに聞いてくれるこの2人を里世はありがたく思った
この中で里世がかつて付けられていた真帆から名前を変えた経緯についても触れ、皆に納得される
内容は、里世の父・昭が自身の行きつけの店名「茉乃穂」を軽い気持ちでもじって名づけた。ペットの名づけと変わらないかそれ以下か…という
聞かされ固まった武尊も彼女に同情したのか、話に乗って自分の名前の由来について里世に伝える
昔々……それは約45年弱前、月岡家に待望の男の子が生まれたがお七夜になっても名前が決まらず、そのとき開かれていた彼の出生祝いに来ていた父方の親戚の普段から大酒飲み野郎共(あだ名はそれぞれ“フミ”と“マス”)が、酒の席の戯れに乗じ「そいなら、我々の名前の字からそれぞれ一文字ずつ取りゃいいじゃないかとっくり(おちょこ付き)表情(嬉しい)うれしい顔とっくり(おちょこ付き)」と提案し、件の二人の名前はそれぞれ“尊文”と“益武”だったので、そこからこの名前になった。ただ、つける直前にまだ決めかねていたところに里世の父・昭が背中を押して出生屆に書いた、と父親から聞かされた。当時の彼は「ボケーっとした顔ダカラ?」。そして「小学4年生の頃まで自分の名前を古臭く感じて好きじゃなかったけど、国語の授業でこの名前の漢字を一字ずつ調べて以来、勉強が楽しくなった表情(嬉しい)」とも。それからずっと学ぶことが意外と性に合っていることも足した
和子さんは意外に初耳だったこともあり素直に驚き感心した
里世と葉はそれぞれ顔を見合わせ同時に「らしいよね🤭あせあせ」と
武尊は
「母の実家、鍋島の家系が理系に向かいやすく、父はザ・文系。おそらく俺の性格は父方の影響が強いほう」と分析した
和子さんと里世は深く頷くも
葉は「あーそうですか、はいはいボケーっとした顔」と流す

間もなくして、葉のスマホの着信音が鳴る。彼女の母からだ。何かと心配りはしてくれる優しい方には違いないが、よくピントが外れたのでご退場願う方向へ持っていきたい
葉が出た
「もしもし、ミーリン?どうしたの?」
ミーリンは漢字で“美鈴”。彼女の母の名前
用件は和子さんに武尊と面会可能かどうかの打診だった。ミーリンは和子さんの今の番号を知らない
葉はすぐ近くにいる和子さんに通話中のスマホを渡す
和子さんは
「ええ、もちろん。日時は武尊に聞いてください」
と、手早く武尊に渡す。こんな家風なのだ
葉もそのことは解りきった上で納得しているので、これまで摩擦が起きたことはない。それだけに夫婦間の「レス」が辛く感じる。クッソ、泣けてくる……

またいつになくペチャクチャ話してるところに
武尊と里世とナオミの伯母・鍋島早紀さんから武尊に直接LINEメールが届く。こちらは全く手がかからないどころか、極限なまでにシンプル。文面は
“おだいじに”
スーパーコントラスト!

――――

病院の正門で3人の帰りを見送って病室へ引き上げる武尊と、そこにもう一人の存在が彼のスマホの中で活動している。ナオミだ
皆が帰り支度を始める直前にかかってきて、ちょっと話せると言われて繋いだから
画面の中で彼女はいたずらっ子みたいに笑った
「早く治れよウッシッシ
即座に
「ありがとうわーい(嬉しい顔)
通話はそこで切れた


≪3月「桜」テーマ分に続く≫


――Materials――
元は2015年末、当時年配だった男性の漫画家が倒れて入院した話がベース。倒れた原因や既往症、入院先の病院は違います
神経科入院きっかけあるある
虎ノ門病院の基本情報と関連情報
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/renkei/patient_introduction.html
Aimer「残響散歌」口ずさみ
ゲスの極み乙女「両成敗」「続けざまの両成敗」

コメント(1)

入院中の病室が舞台は新鮮。そこで、同じ病院に入院中の患者同士が知り合うというのが秀逸です。自分が以前長期入院をして思ったのは、病室の中は書棚とかいろいろ持ち込んで快適にできても、タイミングを選ばずに来る見舞客に居留守を使えないシステムをどうにかできないものかということでしたが。「藍が戻ると、そのままベッドへGo」(1幕目)で、ドキッとしましたが、病院なので、ひとりで客の前でも勝手にベッドインするっていうことですね。入院患者はみな化粧していないパジャマ姿だし、考えてみれば入院患者同士の距離感って出会いに最適なのかもしれませんね。

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