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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第102回 王都作 自由課題「女だけでルームシェア。しかし…」

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〈ハルノファミリーシリーズ2話〉

―(元地方民にとって、都会って何?)―

前作
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=6226350&id=100816845

<春野・近藤・唐沢各家略系図>
●upした画像ボヤケたので、こちらにも載せます
春野家            近藤家
篁三┳母           祖父┳祖母
┏━┻━┳━━┳━━┓      母
真理子 里美 康子 穂三千  ┏━┻┓
               姉  菜摘┬元夫
                    息子
唐沢家
父┳母  安川史郎
亜芦麻─────┘


<登場人物>(●主役 ○脇役 ―話題に出る)
●春野里美(サトミ 32):契約者。会社員。めんどくさい性格。
○近藤菜摘(ナツミ 26):シェアメン。夜業。情が深い。
○唐沢亜芦麻(アロマ 28):シェアメン。昼業。明るく繊細。
―春野篁三(コウゾウ 61):里美の父。優しい。
―春野康子(ヤスコ 30):里美の妹。バカ。
―春野穂三千(ホサチ 28):里美の妹。自由人。
―菜摘の息子:小学生。祖父母と暮らす。
―安川史郎(ヤスカワ シロウ):亜芦麻の遠戚で元保護司。危険。

<ストーリー>
◯東京・武蔵野市吉祥寺・春野里美宅、玄関口(22時半頃)
    JR吉祥寺駅から徒歩5分の賃貸マンション606号室。
    インターフォンが鳴り、モニターに唐沢亜芦麻の姿が映し出される。
    ✕   ✕   ✕
    玄関ドアを開け、亜芦麻を入れて再ロック。
    途端にくたびれ顔になった二人。
里美「おかえり…」
    力なく微笑む亜芦麻。
◯同・リビングルーム(23時台)
    亜芦麻、ソファーを広げて横になれる形にして寝そべる。

◯同・リビング内(翌日の夕方)
    ベランダ向かいの大きな窓に降り始めた雨。
    里美、顔色悪い。
里美M「なんか目の前歪んでクラクラする…あいつら早く帰ってきて…」
〔里美の回想〕数日前・篁三の病室(朝)
    松山市郊外、中核病院某階にある個室。
    フランスベッドの上に篁三、傍らに里美。
    篁三、里美の手を取り、
篁三「康子と穂三千のこと、頼む。里美は嫌だろうけど」
    里美、一瞬顔が曇るも篁三と目を合わせ、彼の手を強く握る。
◯里美宅・外観から
    降りしきる雨の中、窓枠の中で空をぼんやり見る里美。  

◯同・玄関口(夜)
    インターフォンが鳴る。
    里美、確認画面で菜摘と亜芦麻を確認。
    玄関からドアの開く音。
菜摘「ただいまぁ〜」
亜芦麻「無事帰還しましたぁ☆」
    里美、ホッとしたと同時に上がり口で崩れ落ちる。
菜摘「だ、大丈夫!? アロマ!水持ってきて」
    亜芦麻、玄関口からダイニングへ早足で動く。
    里美、朦朧とし始めるも、中腰で堪える。
    亜芦麻、上がり口に来て、里美に目を合わせて水の入ったグラスを丁寧に渡す。

◯同・ダイニング
    アイランドテーブルに両手をつけ、肩で息をしながら立つ里美。菜摘と亜芦麻へ、
里美「ふぅー…二人とも迅速にありがとうね。何か礼しなきゃ」
菜摘「そんなん全然いいから!」
亜芦麻「困ったら何か言って。できることするから」
里美「ありがとう、気持ちだけね。ナツミとアロマを振り回したくないから」
    三人でリビングへ移る。
◯同・リビング
    ロングソファーに菜摘と亜芦麻が、一人掛けのチェアに里美が座る。
    ここで里美が菜摘と亜芦麻に今住んでいるマンションを出るかもしれないことを告げる。
里美「このマンションで同居してた元ダンナに出てもらってから誰ともつき合ってなかったじゃん、ワタシ。でも数年前に甲州のワイナリー主催の新作試飲会で知り合ったリーマン(29歳会社員)と今つき合ってる。その彼が、広島へ転勤することになって…正直なところ行きたくない。でも」
菜摘「未練タップリ」
    里美、迷わず首を縦に一回振る。
亜芦麻「広島行くんだったら愛媛の実家近くて便利じゃん♪」
    里美と菜摘、すぐに首を横に大きく振り、
里美「交通費意外と高くつくの(泣)。それにウチ古い家風で芋な親戚たちに絡まれて疲れちゃう……小さい頃は何かと良くしてもらった人たちも居るんだけど」
    亜芦麻、二人を見ながらゆっくり頷き、
亜芦麻「サトミさんが帰りたくないのは分かったし、とてもしんどそう……」
菜摘「何とか出来そう?」
里美「ううん、まだ、、、結婚するかは決まってなくて。でも伝えておいたら、後でみんな動きが取りやすくなるかな、って」
菜摘「ちょ、そんな急に言われてもついてけない…」
亜芦麻「え〜!どこ行けっての?パニクる!だから、居なくならないで…」
    里美、俯いたまま目を伏せる。
    もし里美がこのマンションを出たら、誰が次に契約するかについては…
菜摘「じゃあちょくちょくここ来てるヤスコちゃんは?」
里美「アレは……都心ラブ過ぎてこっちには越さないよ」
    菜摘と亜芦麻、すんなりと納得する。
    ✕   ✕   ✕
    休憩。それぞれに好きな場所へ移る。
    里美はトイレへ、菜摘はダイニングへ、亜芦麻は5畳の洋室へ。
    それぞれ戻って来る。
菜摘が昨日の泊まり先で同棲相手と別れたことを話す。
菜摘「あのね、、、じつはそろそろヤバかったんだ。なかなか言い出せなくて」
亜芦麻「ヘンなことや、ヤバいことされてない?」
菜摘「ううん、それは無い。むしろあちらのお母さんからは嫁になるって思われてた…期待にそえなかったのは私のほう」
里美「じゃあ、息子ちゃんとそろそろ…」
亜芦麻「そうするの?」
菜摘「まあ、いずれ、ね。…」
    亜芦麻、シリアスな顔で頷く。
菜摘「元気なのが何よりよ。この歳になると」
    里美、菜摘に笑いかけつつ、
里美「ってほどまだまだ歳じゃないナツミ」
    菜摘、里美へ顔を向けはにかむ。
〔菜摘の回想〕数年前・埼玉県深谷市・古い戸建て、門前
    入口を目の前に並んで立つ菜摘と息子。
    菜摘、息子の手を放す。
    息子、そばにいる祖父母に向い合い、
息子「これからよろしくお願いします」
    祖父母、口を揃え温かく、
祖父母「今日からしばらくここだね」
    息子、元気そうな表情。
    涙をこらえる菜摘。
◯同・リビング
    しばらくすること無くぼんやりと過ごす三人。
    菜摘から、
菜摘「体痛ったーぃ!しばらく何もしてなかったからかなぁ」
亜芦麻「マッサージしょうか?」
菜摘「ありがと。頼むわ」
    ✕   ✕   ✕
    キッチンに移動していた里美、三人分のホットココアとクッキーを用意してリビングへ。
    菜摘、機嫌がみるみる良くなり、
菜摘「ん〜〜っ! ふあっ…」
里美「さっきよりだいぶ血色良くなったね♪」
    輝く笑顔の菜摘。
    菜摘のマッサージが終わってしばらく曲聴いてた亜芦麻も戻ってきて、
亜芦麻「ねー私のハナシも聞いて♪」
    里美と菜摘、快く頷く。
〔亜芦麻の回想〕去年・声優事務所内会場・通路
    亜芦麻、オーディション会場を後にする。
    右手に握りしめるスマホ、画面の中に受験票の画像。左手にフェイスタオル。
    大股で歩きながら大きくうなだれ、左手で汗だくの頭を掻く。
亜芦麻M「テゴタエ マッタク ナシ・・・」
    亜芦麻の肩が微かに震えている。
◯同・リビング
亜芦麻「そんなことがあったので、ずいぶ――――――――んと落ち込みました泣き顔
里美「それで、どうだったの?」
亜芦麻「結果、落ちた。やり切ったんだけどな。しゃあないわ」
    浮かない顔の亜芦麻。さらに続けて、
亜芦麻「うぬぼれて、思い上がって。当然だったよ。私には勝負の神様微笑まないんだって」
    里美、亜芦麻の顔に自らの顔を近づけ、
里美「そんなこと言わない!ワタシはアロマの声もキャラも、好きだから。あきらめないで」
亜芦麻「やったぁ☆ありがと〜!」
    ✕   ✕   ✕
亜芦麻「あの……」
里美と菜摘「なに?」
亜芦麻「最近久々にヤスカワ氏、手紙出してきてて……」
    亜芦麻、届いた封書を二人に見せる。
    差出人名は“安川史郎”
    菜摘、神妙な顔で亜芦麻を見る。
    里美、突然閃いた顔つき。
亜芦麻M「中学生の頃までに親を二人とも亡くした私には、成人するまでその代わりになった安川という男がついていた。ソイツ、ロ◯コン。ヴァー◯ンキラー。最低の人間。そんな奴の養子になんかならない」
菜摘「どうしてもダメなら断って。その辺の知恵ならいっぱい持ってるから」
里美「保護者の代わりって、アロマ十分成人だから、ヤスカワの勝手には出来ない。ことと次第でワタシも霞が関同行する。ホント訳わからん奴…」
    亜芦麻、涙ぐみながら、
亜芦麻「あ、りがとう」
    里美と菜摘、亜芦麻から話を一通り聞き、
里美「大変だね…」
菜摘「鬼きつー。死語だけどアロマへだから言うわ」
    亜芦麻、二人へ笑顔で小さく頷く。
    ✕   ✕   ✕
里美「ここまで深い話してなかったね」
菜摘「そうね」
    亜芦麻、何を思ってか、
亜芦麻「たのしかったぁ♡」
菜摘「わ・た・し・も♡」
    二人で里美にエアーキス。
二人「ウフフ顔顔
里美「もーヤダぁ!アンタらどこへでも好きに行けぇーーー!」
菜摘「あ〜またヘソ曲げちゃった」
    亜芦麻、困惑を隠せない。
里美「アンタらワタシが好きなの?ココが好きなのどっち?」
    菜摘と亜芦麻、即、
二人「ココ〜!」
    里美、カクッと体勢を崩したように見せる。
菜摘「やだぁ〜!何はなくてもサトミさんだってば。冗談!」
亜芦麻「サトミさん気ぃ落とさないで…」
    突如、余裕でニヤリと笑う里美。
里美「な〜んてねっ♪」
    晴れやかな顔になる菜摘と亜芦麻。
    亜芦麻、胸をなでおろす。
里美M「ワタシ達をつなぐものは、絆よりも孤独。他の誰に求められなくても、皆、生きる」

(了)

―― Materials ――
吉祥寺駅周辺の住宅事情
今回の食卓画像は出所判りませんでしたたらーっ(汗)
・『いつかティファニーで朝食を』マキヒロチ
・『冴子の東京物語』集英社(コチラはB型女の例)

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