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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第102回 王都作 自由課題「上海deガチ中華?」

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〈ハルノファミリーシリーズ第1話〉


<登場人物>名前出る順
春野家一同
里美(サトミ 32):ゼネコン会社OL。
      陽子と篁三の次女、康子と穂三千の姉。真理子の妹。10月23日生まれ。
陽子(ヨウコ 55):ラジオパーソナリティのマネージャー。
      篁三の妻。娘たちの母。
康子(ヤスコ 30):芸プロの営業で元地下アイドル。都心で同棲中。
      陽子と篁三の三女、里美と真理子の妹。穂三千の姉。1月4日生まれ。
(話に出る)
真理子(マリコ 35):ECサイト管理者。都心で一人暮らし。
       陽子と篁三の長女、里美と康子と穂三千の姉。
穂三千(ホサチ 28):フリーターで歌人
       陽子と篁三の四女、里美と康子と真理子の妹。
篁三(コウゾウ 61):愛媛県庁職員で地元の名士。
       陽子の夫、娘たちの父。
佐藤伸雄(サトウ ノブオ 29):康子の彼氏。バーテンダーでアイドルオタク。
(ルームメイト)
唐沢亜芦麻(アロマ 28):元看護師で声優志望
※近藤菜摘(ナツミ 26):小学生の一人息子持ちのデリヘル嬢、作中では外泊中。 ※先行紹介。2話〜出る。


<そもそも>
◯東京・吉祥寺 里美の借りているマンション606号室(夜)
    いつもは春野里美と彼女のルームシェア女子たち水入らず3LDKの楽園だが、
    この日に限り何故か札幌単身住みの母・陽子と都心住みの妹の一人・康子が転がり込んでいる。

◯〔回想〕電話口・里美と陽子(夕暮れ)
    里美のスマホに着信。陽子から。
    里美の指、通話アイコンをスワイプする。
里美「もしもし、わざわざ通話なんてどうしたの?」
陽子「明後日、里美の家へ向かう(父の具合・見舞い・万一の話の詳細)件。申し訳ないけどヤスコもついて行くって譲らなくて」
里美「ヤスコなら時々コッチ来るし、最近は……」
陽子「ノブオ。元気だって」
里美「でもアリゃしちゃいかん……」

◯里美宅・リビングルーム
    康子のSpotify選曲をBGMに、いつになく大声で談笑し合う二人。
    青ざめた顔をする里美。
里美M「早く追い出したい…とくにヤスコ」
里美「何でお前ら来んだよ?」
    陽子と康子、里美の顔をぼんやりと見る。

◯同・ダイニングルーム
    三人、ダイニングセットに集い過ごす。
    天板(卓上)にホットカフェオレの飲みかけマグカップ3個。
    康子のだけほとんど残って無い。
    陽子から康子へボソっと、
陽子「何で中国へ旅するの?」
    康子、両目をキラキラ輝かせ、
康子「ガチ中華本場気になって!こないだも新大久保でテレビ局の取材インタビュー受けたし。「とにかくコッテリ大好き!」って。近う日に行こや!」
里美M「また来た、アクティブな山羊座の女あるある。まっしぐら」
    康子、勢いよく畳みかけ、
康子「今円安でもアッチのほうが安いから一緒に行こーよ♪」
    陽子、顎が落ちたまま戻らない。
    里美、大きな溜め息をつき、
里美「何で妊娠してるかもしれんときにそがいな…体に悪いわ」
    それを聞いた陽子も、
陽子「私も…里美の考えに賛成。今じゃなくてもいいでしょ。身体は大事」
康子「ヤスコがエエならそれでエエ!よってたかって……お姉たちイジワル」
里美「旅先で男連れ帰って来んでなボケーっとした顔
康子「せんわ!ヤスコはサトミお姉とちご(違)う」
    里美、気色ばみながら、
里美「アタシとちごうって何?え?!」
    気がつくと、里美はダイニングチェアの座面から腰を浮かしかけていたが、すぐに座り直す。
陽子M「康子がここで「サトミお姉」と言ったのには事情がある。康子と里美の上に長女の真理子が居るからだ」
里美「三十路来たのにマザコンが」
康子「サトミお姉こそ昔からファザコンじゃけん、何いうてん?」
    康子、言い放ってすぐバッグからスマホを出し、ある画像を里美と陽子に見せる。
    そこに映る古ぼけたスナップ写真、銀座三越外観を背に、幼い里美と父・篁三の姿。
    里美、目と口を開いたまま固まる。そして怒りが……
里美M「私のファザコンは康子のマザコンより優れてる。なぜなら父の生き方をリスペクトしてゼネコンだけど大手企業でポジション得てるから。質が違うのよ!」
里美「あ、アンタ。松山の実家で私の部屋勝手に……」
    康子、蔑む顔で里美を見る。

[里美の回想]◯銀座三越前(昼、1997年10月)
    ショーウィンドウを背にポーズをキメる、フォーマルドレス姿の幼い里美(当時6)。
    その向かいにカメラを接いだ三脚をセットし終えた篁三。
    自動撮影のカウントダウン開始直後に、里美から見て左側へ回り込み、
    シャッター音が鳴った。

◯里美宅・ダイニングルーム
    里美、顔を康子のいる方へ向けて、
里美「え?アタシのせいなん?」
    無言で頷く康子。
    康子を肯定するような目線とともに頷く陽子。
康子「だって、小さい頃東京連れてってもらってたのサトミお姉だけぷっくっくな顔
    里美、力がみるみるうちに抜け、へたり込む。
里美M「それ、か……」
    陽子、二人のやり取りに愛想を尽かし、両手を2回合わせて軽く鳴らし、
陽子「さあさあ、ここで一旦仕切り直せ。また飲み物作るから、何がいい?」
    解き放たれた笑顔で大きく頷く里美。
    なぜかキョトンとする康子。
    ✕   ✕   ✕
    里美はホットココア、康子はカフェオレ。陽子自身はルイボスティー。
    三人でそれぞれのマグカップを肩くらいの高さに上げて、
三人「カンパーイ♪」
    それぞれ、火傷しないように一口づつ飲む。
    しばらく違う話題になり、空気が緩む。
    陽子と里美、話を戻す。
陽子と里美「食べたいガチ中華って何?」
    康子、少し俯いて上目遣いで、
康子「酸辣湯、臭豆腐」
    陽子と里美、納得し、ゆっくり頷くも、
里美「上海まではさすがに行けん。あまりに突然すぎて予定の調整がつかん」
    陽子、即座に頷く。
    康子、不貞腐れる。
里美「代わりに、横浜の聘珍樓はどうか?」
    康子、勢いなくつぶやくように、
康子「しゃぁない。そこにする」
    と言ってすぐあくびが出て、リビングルームのソファーをベッド代わりに寝始めた。

◯同・システムキッチン内
    里美、鼻歌で「Lemon」を流しつつ、自身と陽子のブラックコーヒーを用意。作り終え、ダイニングテーブルへ運ぶ。

◯同・ダイニングルーム
    里美、陽子の向い側のチェアに腰かけ、
里美「もう…ええかげんヤスコと関わらん。よいよ(とても)騒がしうてだちまかん(どうしようもない)」
    陽子、済まなそうな伏目で、
陽子「これまで何かと煩わせて済まんかった。ヤスコはな……私ら夫婦が早うに男の子欲しくて子作りしちゃってでけたんよ。その後に私の仕事が忙しうなって、なかなか構えんようになった。そこは私らがよいよ悪い。そして、私が弘前のアパートから札幌のマンションに移って、旅でワクワクするあの子をたびたび呼んだんよ。せめてもの償いで」
里美「ほー初耳やな」
陽子「(だ)ろうな。というか、マリコからも聞いとらんか」
里美「まったく。でもマリ姉んとこやウチで六花亭の新千歳空港限定品食えたんは、ヤスコが」
陽子「せや(そう)」
    時計の針が10時に近づく。

◯同・玄関(22時頃)
    里美、床のヘリ近くに立ち、陽子と康子の様子を見ている。
    陽子、起きかけている康子を左肩に引っかけている。空けている右手を上げて立て、
陽子「ホンッットにごめんな!ヤスコがまたやらかして……」
里美「まあ……それで顔見れて話せたからええよ。アレは…相変わらずだったが」
陽子「それは未だに悩みどころでな……」
    しばらく沈黙。
陽子「じゃ、いんでこーわい」
里美「達者でな」

◯同・リビングルーム(22時半頃)
    インターフォンが鳴る。
    出るとモニターに亜芦麻が映る。
亜芦麻「サトミさ〜ん♪」

(続)

―― cahier ――
姉妹独特の距離感描きたかった
篁三の利き足は右

―― Materials ――
吉祥寺駅近賃貸マンション情報
「Lemon.」米津玄師
ガチ中華現地飲食店および菜単(メニュー)情報
http://www.yunphoto.net/jp/photobase/hr/hr12871.html(※元画像巨大です)
https://snapmart.jp/photos/6240255
http://www.yunphoto.net/jp/photobase/hr/hr12871.html
https://goiryoku-kitaeru.com/hougen/ehime/
によれば
伊予弁:松山を中心とした中予方言は京阪式アクセント
帰りますさようなら「いんでこーわい・かえってこーわい」
後者参考 https://nlab.itmedia.co.jp/nl/spv/2007/31/news082.html
会話:「〜のよ・〜んよ」「〜かろ」

コメント(4)

姉妹の独特の距離感、読んでいて伝わってまいりました!私も姉がいるので、なんとなく康子に共感してしまいました。
子どもの頃の親の接し方とか、長子だったか中間子だったか末っ子だったか、など、これは本人のキャラクターに強く影響しますよね。設定も読みましたが、そういう育ちが職業にも反映されている感じで、丁寧に設定作ってらっしゃるのだな、ということが読みとれました。
>>[1]
一読とコメントありがとうございます。
独特の…伝わったとのことで、うれしいです。
この中で言うと、私は長女なので真理子の位置に当たりますが、姉妹と一緒に育っていないので、読み聞きかじりと「こんなだったら面白そうかな」を混ぜて描きました。ちなみにこのシリーズ、自由課題で何話か続ける予定です。おつき合いいただけたら幸いです。
職業については、原設定をもとにどんなことしてくかなぁ、と無理のなさそうなラインで組んでます。なにぶん登場する人物が多くて、ごちゃごちゃしがちで…
まぁ、こんな感じでいかがでしょうか。
言葉遣いが、いきいきしていて、雰囲気が伝わってきます。キャラクター設定が緻密にできていて、映像だったら、より面白く伝わるだろうなと思いました。 
ちょっと、分かりにくかったことを教えてください
1 篁三の利き足は右 →  「自動撮影のカウントダウン開始直後に、里美から見て左側へ回り込み、シャッター音が鳴った」 に 関係するのでしょうか。 
2 M とは モノローグ のことですよね。 映像では、心の声としてトーンを変えるのですか?それとも小さな声でつぶやく?

>>[3]
お褒めと客観的なのコメントありがとうございます。
是非とも参考にさせていただきます。
この家族の場合、元々郷里の言葉に明らかなリズムがあるので、ああなりました。主に都心で話される標準語より
1 はい、それに関係します。踏み出す足が右からになる理由と位置づけています。元々、映像化の際にイメージしやすくなるのと、篁三の脳が左脳優勢で生きていることの二点をメモしまして。
2 M=モノローグ、です。基本は前者、必要なときに後者になると考えていただいてよいかと思います。

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