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紙の新聞コミュの前田日明 特集

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お前ら、エエ加減にせえよ、コラッ!!
 
 
 
―― 前田日明 ――


緊急特別座談会
前田さんへ、愛をこめて
前田日明、「女子便所説教事件」の全貌
 
出席者
谷川貞治 (格闘技通信・編集長)
山口 昇 (紙のプロレス・編集長)
柳沢忠之 (紙のプロレス・発行人)
事情通X (格闘技フリー・カメラマン)
 
格闘技界の事情通Xが、現場の模様を生々しく再現!!

コメント(8)

柳沢  エー、先日から一部のマスコミで報道されているように、リングスの前田日明選手が『フルコンタクトKARATE』の山田編集長を、女子便所で説教するという大事件が起きました(笑)。
山口  この2人の因縁は、たしか別冊宝島の『格闘技死闘読本』で、山田編集長が「前田日明は八百長をしている」と発言したのが発端だよね。
谷川  そうですね。山田編集長のことをちょっと説明しておくと、この人は空手やムエタイなんかの打撃系格闘技を自ら実践していて、ムエタイのリングに上がっちゃったり空手の大会にも出ちゃう人なんです。で、不確定要素を含んだ曖昧な格闘技を嫌っていて、完全に測定可能な格闘競技しか認めない、つまり、簡単に言ったら「真剣勝負じゃないものはウチの雑誌には載せない」という編集方針ですね。
山口  まあ、そういう編集方針からか、シーザー武志のシュートボクシングは八百長だとか、前田のリングスは格闘技という名のプロレスだとか、頻繁にいろいろなところで発言しているわけですね。そういう伏線があって、今回の前田の『女子便所説教事件』が起こったと。
柳沢  じゃあ、いったいその『女子便所説教事件』とはどういうものだったのか、まずは事件の現場で、フリーカメラマンのXさんに来ていただいてますので、経過をじっくり聞かせてもらいましょう。
事情通X  94年10月30・31日に極真会館のオープントーナメント全日本大会が東京体育館でありまして、31日の決勝戦の日に前田日明さんが来たんです。前田さんは本部席の横の隣にある席に座ってました。
山口  それは来賓として?
事情通X  ええ、来賓として正式に極真会館から招待されて座っていました。それで、本部席の斜め横ぐらいにマスコミの取材席があって、そこに格闘技雑誌の人達が座っていたんですね。ちなみにパンクラスの船木選手は2階で見てました。前田選手の近くにはシーザー武志さんや全日本キックの人達が座っていました。それで全試合が終わって、表彰式が終わった後に、ライターの人達が血相を変えていて、「前田と山田さんがやりあってる!」って言ってたんですよ。本部席の方を見たら前田さんが、例のゴンタ顔をして、両腕を組んで、凄んでるんですよね。山田さんはビックリしたような顔をしながら話を聞いてるという状況で、しばらくやりあってました。そうしたら松井館長が来て、松井さんがそんなことになってるのに気が付いてたかどうかは知りませんけど、記念撮影をしましょうということで、前田さんを舞台に上げて、八巻選手達と写真におさまってました。
谷川  松井館長は、それを知っていて前田を引き離したとしたら非常に大人ですね。
事情通X  そうですね。
柳沢  その時は観客はまだいたんですか?
事情通X  表彰式が終わった後でしたけど、パラパラとは残ってました。
柳沢  観客をみんな出した後ではないんですね。
事情通X  ええ。だから関係者も見てるし。
山口  見てる中でのゴンタ顔だったわけだ。
事情通X  記念撮影の時には山田編集長は取材席の方に戻ってきてたんですけど、前田選手が舞台から下りてきて、どこかの雑誌の取材を受けてたんですよ。
谷川  たぶん『ゴング格闘技』だったと思いますけどね。
事情通X  それでこの騒動は終わるのかなあと思ってたら、リングスの若手が山田編集長を呼びに来て、その若手と一緒に山田編集長が記者席を離れました。その時点で、マスコミの多くの人は帰ってたんですけど、一部残ってたライターの人達は興味本位が半分と、なにかあったらいけないということで、ゾロゾロとついて行きました。後から聞いた話によると、前田さんは駐車場に来てくれという事で山田さんを呼んだらしいんですよ。だけど、ライターの人達がついて来たのがわかったからか、山田編集長を連れて女子便所に入った。その後、10分か15分ぐらいかな、前田選手の声と2度ほど「ドン、ドン」という音がしました。そして前田さんと山田編集長編集長が出てきて、山田編集長はさすがに凍りついた顔をして出てきたということですね。
山口  その山田編集長の声は女子便所の外には聞こえたんですか?
事情通X  聞こえなかったみたいですね。ただ、ライターの誰かが録音テープを回そうとしたら、リングスの若手選手が「テープは止めてください」ということで止められたみたいですけど、違う誰かが録音してたという話は聞きました。
柳沢  それは便所の外で?
事情通X  ええ。だからあんまりうまく入ってないらしいですけど。
山口  山田さんは自分でテープを回してたってことはないんですか?
事情通X  それはないみたいです。
山口  じゃあ『フルコンタクトKARATE』に書いてある山田さんの記事の中にある会話も、テープから起こして書いてるものじゃないわけですね。
事情通X  そうではないと思います。
柳沢  前田選手自身は「説教をした」と言ってますね。山田編集長自身は「暴行、脅迫、監禁」と表現してますね。
事情通X  その大会があった数日後にカラテ・ジャパン・トーナメントという大会があったんですよね。そこでも話題はその事件の話一辺倒で、それでいろんなマスコミの人が山田編集長に「あの時はどうだったんですか?」と聞いたときに、山田編集長曰く、「身体の大きな子供が、自分の喋ってることに対して、自分で興奮して、だんだんエキサイトしてきて、何を言ってるのか意味がまったくわからなかった。僕はそれに対して、『どの記事のことなんですか?』『前田さん、今自分が何をやっているかわかってるんですか?』というようなことを冷静に言った」と。それで「実際に殴られたのか」と聞いたら、「掌底が一発きた。それが壁にバシーンと当たった。もしそれが顔面に当たって後ろの壁に後頭部をぶつけてたら、私は多分死んでいた。それから金的に膝蹴りが2発きたけど、それは肘でブロックした。本当に格闘技をやってて良かったですよ」という自慢話をされてました。
山口  それは俺から言わせると、自慢話じゃなくて笑い話ですね。本当はみんな困惑してたんでしょ(笑)。
事情通X  「凄いねえ、山田さん」という感じで、みんなけっこう笑ってましたね。それで山田編集長は、「私はこれは絶対に許しません。私は許したら困るんです。これからもこういうことがあるから、私は断固闘います。敵が潰れるまで闘います」と断言してました。カラテ・ジャパン・トーナメントの関係者の人達は「山田さん、やめなよー。格闘技のイメージが悪くなっちゃうからさ」ということを言ったりとかしてました。「でも、これは私は譲りません。断固、闘います」と答えてました。
柳沢  男らしいですねえ(笑)。わかりました。事情通Xさん、今日はどうもありがとうございました。
事情通X  いえいえ、じゃあ私はこれで。
 
【ファンタジーを生み出した前田日明の踏み出し方】
柳沢  という訳で、谷川さんは極真の大会で、そういう騒動が起きてたのは知ってたんでしょ?
谷川  ええ。全試合が終わって、表彰式があった時に、僕はトロフィーを渡してたんですよ。その時、前田選手がすぐ近くの後にいたんですけど、眼を合わせないように前を見てました(笑)。それでトロフィーを渡し終わって帰ろうと思ってたら、本部席の方で前田選手と山田編集長がやりあってました。それで僕はこれ以上なにかあって、関わったらイヤだなと思って帰りました(笑)。
山口  その時点で帰っちゃったの?
谷川  はい(爽やか)!
柳沢  逃げ足が速いですねえ(笑)。
谷川  そうなんですよ。逃げ方がうまいんです。そこでもうひと騒ぎ起こすようなマッチポンプ的な役割にはあまりならないタイプなんですよね。なりたいんですけどねえ・・・・・・。
山口  谷川さんも山田さんに負けず劣らず男らしいですね(笑)。谷川さんは、前田が山田編集長に向かって凄んでるのを最初に見た瞬間にまず何を思いました?
谷川  僕は自分が怒られてるような気がして、「すいませ〜ん、前田さ〜ん」と言いたくなりましたね(笑)。
山口  立派な人だ(笑)。
谷川  なんか前田選手の怖い顔を見ると、人事とは思えなかったですね。それで本能的に帰ったんでしょうね(笑)。
柳沢  谷川さんは前田選手に殴られたことはないの(笑)?
谷川  僕は殴られてません。リング上から一度睨まれただけです(笑)。でもその時は嬉しかったですけどね。「ああ、俺にだけ怒ってるんだあ」とか思って。
柳沢  「俺だけに怒ってくれてるー、前田さん、すごい、すご〜い」って(笑)。
谷川  うっとりしながら見てたんだけど。ニールセンと闘った時と同じ眼を僕にしてくれたんで感動しました(笑)。
山口  見事にファン化しちゃったんだ(笑)。
谷川  だけど、前田選手はそういうことに関しては、表も裏もなく言っちゃう人ですね。大人の作戦を考えない人ですね。例えば、長州力の顔面蹴撃事件じゃないけど、普通はそういうことをしたら、大抵の人間は計算するんですよね。前田選手はそれをやってしまうということは計算しない人なんです。
柳沢  それが計算かもしれないじゃない。
谷川  計算なのかな・・・・・・。
柳沢  いや、わからないけど(笑)。
山口  計算ということで言えば、女子便所という場には見事に”不良の論理”が働いているよな(笑)。すぐ教師を呼びに行っちゃう正義型の生徒の目を遮断した場で、自分の感情をぶつけるというね。それから一対一で決着をつけたいという”タイマンの思想”もある(笑)。これを子供っぽいというのは簡単だけど、逆に云えば、30歳を過ぎた大人がそんな計算なしにこういう事態を起こすわけはないし、そこに至るまでの感情のうねりということを考えれば、八百長云々という記事を書いた、書かないという次元だけでは計れない気がするよね。生の人間の一対一という色気のある空間を用意した前田に対して、「客観性」とか「ジャーナリズム」という色気のない武器を持ち出した山田さんというのは、俺的には正義型の生徒そのものに映るんだよね。
谷川  ああ〜、それ先に言われちゃったなあ(笑)。でも、女子便所ということで言えば、僕も論理化できるんです! 狭い密室というのは大きな者に有利で、小さい者の動きを封じるわけです。だから前田日明は”格闘家の論理”というか、格闘家としての本能が働いて、山田編集長を女子便所という場所に連れこんだ。これが僕の”女子便所の論理”ですね(笑)・・・・・・そういうことです。
山口  さすがに格闘技雑誌の編集長、説得力バツグンですね(笑)。
谷川  でですね、例えばジェラルド・ゴルドーという人は計算する人だと思うんですよ。こうやったらこのくらい痛いだとかいうことを、計算しながら冷静に顔面を殴るような人ですね。でもパトリック・スミスとか前田日明という人はそういう計算はないと思うんですよね。だってね、極真会館の空手の大会というのは、ものすごく武道的で会場中が神がかりのような雰囲気が漂ってるんですよ。そういう会場の中でも、本部席というのは厳かなムードが漂ってるんです。そこで、前田選手が切れるということは、やっぱり計算してないんですよね。前田選手を褒めたいというのは、その極真の厳やかなムードの会場の、しかも表彰式という場で、アナウンサーが、「ごらんください、八巻健志がついに優勝をしました。5年間の苦労が・・・・・・」とか言ってるんですよ。その横で「ふざけるな、コラ!」って言う前田選手の凄さっていうのは魅力的ですよね。
柳沢  なるほど。谷川さんの前田評でしたね。
山口  そういうね、人間性をね、あることないこと書いてるから前田に怒られるんだよ(笑)。
谷川  僕は書いたことはないですよお。
山口  今言ったじゃない。
谷川  ええ、これテープ回ってるんですか(笑)?
柳沢  それでは前田選手の嫌いなところを谷川さんの方から話してください(笑)。
谷川  僕は好きですよお!
柳沢  嫌いなとこがいっぱいあるのかなあと思って(笑)。
谷川  いや、全然ないですよお!
柳沢  まあ、冗談はこれくらいにして、俺が今度の事件が起きて「前田、よくやった!」と思ったのは、一言で言ってしまえば、自分の中での前田日明というキャラクターやファンタジーが欲求と合致したんだよね。こないだの前田が10年ぶりに切れたと発言したフライとの一件なんかはちょっと歪んだ感じにも見えるけど、前田の中の何かが変わってきてるんじゃないかっていう気もする。今までの前田の理想とか、リングスの方向性を100%理解してるわけじゃないけど、なんとなく見えるよね。ただそれは、俺の前田に対するキャラクターやファンタジーのも持ち方と合致してるとは言えないんだよね。それはそれで前田の生き方として、それが間違ってるとか正しいという次元じゃなくて、魅力的ではあるんだけども、俺のファンタジーとピッタリ一致してるわけじゃなかった。ただ最近になって、フライとの一件とか、今回の事件を通して見る前田というのは、見事にまた俺のファンタジーの中に戻ってきてくれたんだよね。戻ってきたということは、たぶんプロレスラーっぽいことをやったという風に言われがちだけども、リングスをやってる時でもなんでも俺はプロレス
ラーという言葉がピッタリ当てはまる人として見てるから、今回の事件を聞いた時は「プロレスラーの勲章ですよ!」と思っちゃった(笑)。で、それをやった前田というのは、どこかに覚悟が見えるわけですよ。それは確かに今までのリングスの方向性と違うのかもしれない。
柳沢  多分、これは会社側としてもイヤだろうし、前田としても本位じゃない部分もあるかもしれない。ただ、前田が自分のキャラクターなり理想を、覚悟を決めてこういう方向に持ってきたというのはすごく嬉しいことなのね。ここ数年の前田は、俺にとって魅力的であったことには変わりはないけれども、インパクトには欠けていた。でもこれをやったということは、前田の中に何らかの形で覚悟があるわけだよね。逆に言えばこれをやったことで、ある種の覚悟を決めるというか。決して自己批判はしないだろうし、して欲しくないしね。そういう自己肯定がより前田を攻撃的にするだろうし、何かを信じて覚悟を決めた前田というのは、俺にとっては非常に美しいですね。
谷川  そうですね、それがこの事件の答えでしょう。
柳沢  え? もう答えになっちゃうの(笑)。
山口  早いよ(笑)。
谷川  思い出しました。僕がこの事件を見たときに、最初に「ファンは喜ぶだろうな」と非常に思いましたね。例え法律的に山田編集長が勝ったとしても、前田選手の人気は上がるだろうなと単純に思いましたね。
柳沢  でも前田日明というのは、それで人気が上がると思ってこういうことをやったとか、そんな生半可な覚悟というか中途半端なことをするタイプではないよね。そういう姑息な計算をするタイプじゃないでしょう。もっと大きな覚悟というか、大きな意味での計算というか、自分の進む方向性という部分で、一歩踏み出したなっていう感じがしたね。
谷川  じゃあ、これを今後も続けて欲しいということですね。
柳沢  まあ、どんどん女子便所で説教してくれって訳じゃないですけど(笑)。どういう状態であっても前田日明は前田日明だから、見る者としてはその場その場の楽しみ方ができるんだけど、ただ今回のような覚悟を決めた前田日明の踏み出し方というのは、僕の中で感動を呼ぶんですよ。
谷川  これは想像なんですけど、前田選手というのは、彼自身が不安定な状況の中で光りますよね。
柳沢  色気というのはそういうものかもしれないですね。前田選手は怒るかもしれないけど、いま前田明は煮詰まってるというか、これからどこに行くのか模索している状態なのかもしれませんね。
谷川  僕もそう思うんですよ。だから『週プロ』や『格通』にはやっぱり載らないほうが良いと思うんです。
柳沢  『週プロ』はともかく『格通』に載らないのが良いことなのかどうかわからないけど(笑)、何にせよそういう状況を前田選手がわかった上で、自分が脱皮するというか、一歩前に進むというその象徴的な行動が今回の女子便所事件だと、そのように理解したいわけですよ。ワタクシは(笑)。
 
【格闘技マスコミと前田日明 前田日明とUWF】
山口  Uインターの安生の「200%発言」があった時に、前田が『週ゴン』のインタビューで、「あんまりオイタが過ぎるとな・・・・・・」という発言があったでしょ。あの時も俺は少しジュンときちゃったんだよね(笑)。
谷川  「生の喧嘩みせたろか」とかね(笑)。
山口  そうそう。でもそういう荒くれ的な側面だけが前田の魅力の全てじゃなくて、そこに至るまでの過程というか構造が魅力的なんだよね。だって、リングスというものを、プロレスとは一線を画して立ち上がったUWFの終着点に持っていこうとしてる訳でしょ、前田は。そういった中でパンクラスとかいろいろ出てきてるけど、あれはUWFを通過しなくても実現できたスタイルというか団体だと思うのね。立ち技系やプロレス以外の寝技系の格闘技から立ち上がってもできたんだよ。でも、本当に運動体としてのUWFの往き方を考えていたのは、前田だと本人も言ってるし、俺もそう思うわけ。結果として現在のリングスがどうあるかという問題じゃなくてね。そういった過程の中で、格闘技・プロレスマスコミにも当然、「自分の都合の悪いことを書くな」というレベルだけでは語れない神経の尖らせ方をしてきたと思うんだよ。
谷川  『格闘技通信』とは一緒に歩んできたという気持ちが、前田選手は強いでしょうね。悲しいなあ・・・・・・。
柳沢  ハハ、それに前田は裏切られたと(笑)。
谷川  ちょっと今胸が痛みましたね(笑)。でも、僕らも団体や選手とのスタンスは真剣勝負ですからね。今、『格通』がナアナアになったら、きっと共倒れしますよ!
山口  はいはい。でも俺ね、山田さんというよりか格闘技マスコミ全般に一つだけ言いたいのは、「測定可能」な部分や、目に見える事実を追うだけじゃ見えない部分というのがあって、それが実は格闘技を観る時にも重要な要素なんじゃないかということね。『フルコン』の「八百長は載せない」という姿勢は立派という他ないけど、今回の事件にしても「客観性」とか「ジャーナリズム」という世間の論理で山田さんは自分自身を真空パックしちゃってるよね。世間の論理で真空パックしちゃえば楽だからね。でも前田は自分を真空パックしきれないで、臭気が今回漏れちゃったと(笑)。でも、匂いや香りが漂ってきて初めて真空パックの食品は食べ物として存在できるのだからさ、その匂いの好みは人それぞれで違うんだろうけど、俺が今回の事件で、事実がどうのじゃなく、山田さんよりも前田に色気を感じたというのは、そういうことです。で、まあ前田にしても、もう一つ飛び越えられないハードルがあって、それがUインターとの問題がきっかけなのか、何がきっかけなのかわからないけども・・・・・・。
谷川  『格通』かもしれませんよ。
山口  自分で言ってどうする(笑)。
谷川  『格通』はあんまり関係ないか・・・・・・。
山口  まあ、『格通』のこともあるだろうし、『週プロ』のこともあるだろうしね、自分の内にマグマのように持っている苛立ちの部分が、外に飛び出さなきゃいけない時期だったというのは確かなんだろうね。本当だったらこんな事件を起こしたら、大ダメージになるというのは当然計算するよね。その中で山田さんにどう対峙しようかと前田は考えていたと思うのね。だけど結局、もうやるしかないなと。自分の成り立ちや自分自身を守る為にはやらなきゃしょうがないなというところが見えるのが、色気に繋がってくる訳でさ。
柳沢  俺が前田へのファンタジーをより強くしたっていうのは、やっぱりインタビューした時なんだよね。その時は和気藹々として感じでインタビューは進んでいて、調子に乗って「俺は第2時UWFは大嫌いだった」って言ったの。そしたら、その時に「面白くなかったって言うけどな、俺だってああするしかなかったんや!」って怒るわけ。その時の前田という人に対する印象は、UWFに対する愛着心なんていう言葉じゃ足りないくらいの情熱を感じたんだよね。UWFという方向性をあくまでも正当化したいというか、間違っていたと自分で思いたくないというかね。前田はそれほどの気持ちでUWFを守っていたんだろうし、他の選手に対しても凄い気の遣い方をしていたと思うのね。それが見えた時に、「ああ、この人は生半可じゃないな」と思った。よくいるじゃない、すぐなんでも認めちゃうヤツ。谷川さんのことじゃないよ(笑)。
谷川  あ、今ちょっとピクッときましたね。
柳沢  (笑)。自分のやってきたことに関しては、きっちりと自己正当化するものを作り上げたいというタイプでしょ。
山口  行動によって、自分の過去や辿ってきた道程を論理化していきたいというか。
柳沢  うん。だから、その前田の自己正当化への軌跡というか、そういうものの延長線上に今回の事件もあるんだけど、ただ自己正当化する場合に何をやってもいいんだっていうゲスかどうかというのは別として(笑)、その流れにゲスなところがない。だから、糸井重里さんが、「前田は綺麗だよね」って言っていたところにも多分繋がると思う。
柳沢  そういうことです!
谷川  200%そうですよ。
【前田が漂わせる色気と、アルティメットというジャンル】
谷川  あとちょっと思ったのは、アルティメット大会の人気というのは、前田日明の人気に通じるところがありますね。読者のハガキとか見ていると、アルティメットに見たいものっていうのは、前田日明に見たいものと共通する部分を感じますね。さっきも言ったんだけど、僕はパトリック・スミスを見ていて前田選手を思い出した。なぜかというと、狂気に純粋性が感じられるんですよ。これをしたらどうなるかということを、まったく考えていないというか、計算していない。パト・スミは馬乗りになって相手を半殺しにしたでしょう。あそこまでできるというのは、何も考えていないんだよね。こちらの予測を遥かに超えた行動をとる。僕はある意味で純粋行動だと思いますよ。だって普通、怒っても「ねえ、あんなこと載せないでよ」と仲良くしちゃおうとか、後から背中をソーッと刺してやろうとか、いろいろな方法論があるじゃない。でも、前田さんは目の前に”それ”があったら、やらない自分が許せないんです。だから、山田編集長の顔を見たら、やらざるを得なかった。しかも女子便所ですよ。ああー、なんと純粋性があるんでしょうか(笑)。なんか中学
生時代を思い出しちゃいますよ。だからその怖いもの見たさが、アルティメットと前田選手の共通点です。恐怖感のない前田選手というのはただの粗大ゴミです!
山口  さすがに毎朝生ゴミを捨ててるだけあって、ゴミを語らせると迫力が違うね(笑)。
柳沢  谷川さんも無駄にデカイもんね(笑)。脳天気じゃない谷川さんはただの粗大ゴミです(笑)。それにしても、アルティメット大会で色気を出すというのも難しいんじゃない? 前田を見た時の感動というか、妙な美しさというのが色気だとしたら、アルティメットを見て美しいと思えるのはホイス・グレイシーだけだもんねえ。
山口  そのジャンルに色気があるかどうかっていうよりも、誰に色気を感じるかが先に来た方が、そのジャンル全体が見えやすいよね。
柳沢  ホイスを見て感動が生まれるっていうのは、やっぱりホイスの持つ色気だよね。もちろんホイスとそれ以外の選手の情報量の差というのもあるけど、ホイスっていうのは情念や感情が見えやすい気がする。あの狂気を内包しながら何かに耐えつづけているような、悲しげな表情とかね。だけど、そういう情念や感情が見えやすいのは、ホイスだけなんだよね。アルティメットの他の選手達の試合というのは、感情移入できるだけのドラマが見えないでしょ。直接目に映る刺激だけで。だから狂気という部分への期待感は、前田もアルティメットも一緒かもしれないけど、前田の輝き方というのは、ホイスと同じような情念や感情っていう色気だもんね。
谷川  ですね。だから、感情を吐き捨てるというか、普通のスポーツではありえない原点的な感情が生み出されるんじゃないかという期待ですよね。例えばアルティメットは、何でも有りのルールだから、普通のスポーツ格闘技より怖いんですよ。相手はどんなヤツかわからない。だから、金網のオクタゴンの中に入るのは、普通の試合より勇気とか、覚悟がいるんです。キモ試しじゃないけど、本当にキモっ玉が試されるんですよ。そうなると、人間の生身の感情がモロに出るんですよね。それが凄くわかりやすいのがアルティメット。その部分も前田選手と同じ匂いがする。
柳沢  アルティメットに人間の生身の感情がモロに出るというのはよくわかるんだけど、つまりその感情や情念がストーリーとして伝わりにくいんですよね。なぜそのオクタゴンの中に入らなきゃいけないのかっていうのにも、当然その人の背景なり思惑があるわけでしょ。ホイス・グレイシーというのは、そういう部分が試合中にそこはかとなく見えて、試合が終わると自然と俺らの頭の中にドラマができあたっている。前田日明も一緒で、なぜ前田が怒っているのかというのは、その時点では謎だらけなんだよね。謎だらけなんだけど、見る者の中ではストーリーが作りやすい(笑)。何故かというのが100%わかったわけじゃないけど、なんとなく我々のストーリーとしてわかりやすいじゃない。
谷川  あのわかりやすさはなんなんだろうと思うぐらい、わかりやすいですからね。
柳沢  いや、そう「わかりやすい」って言われてしまうと、谷川さんの方がわかりやすいですけどね(笑)。
谷川  あっ、そうですか・・・・・・。
柳沢  だけど、その前田日明の情念のストーリー作りに『週プロ』というのは凄い貢献してますよ。そういう意味では『格通』も凄い貢献をしてるんでしょう。
谷川  してますよ!
柳沢  してたんでしょう。過去形でしょう(笑)。
谷川  今はちょっと距離が遠いからなあ・・・・・・。
柳沢  でもホイスと前田が闘ったらいいでしょうねえ。
谷川  凄い美しいですね。
柳沢  Uインターの安生がヒクソンの道場破りに失敗したけど、やっぱり俺は前田日明以外にないと思うなあ。いや、前田以外、ヒクソンに勝てないっていう話じゃないですよ。ヒクソン・グレイシーと闘って最もワクワクするのが前田日明じゃないかなあと思って。
谷川  そこの部分では、前田日明ってまだUWFを守ってますよね。
山口  守っているし、その過程を踏まえて先に進もうとしてるでしょ。
柳沢  やっぱり前田明に期待するものは大きいですね。ねえ、谷川さん?
谷川  大きい!
柳沢  そうか、次号の『格通』は前田が表紙だな。
谷川  コピーは、
「前田よ、ヒクソンのもとに行け!」。
柳沢  強くでましたねえ(笑)。
谷川  「行った方がいい!」
、いや、「行って欲しいなあ・・・」ぐらいにしとこうかな(笑)。
柳沢  ガーッハッハッハッハ。その方が谷川さんらしいコピーですね(笑)。
 

 
 

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