スペインの送電企業であるRed Electrica de Espana(REE)は2011年3月31日、スペインの電力供給に占める風力発電の比率が前年同月比5%増の21%(4738GWh)に達し、月別統計では初めて最大の電力源になったと発表した。REEは政府系企業が1985年に設立したスペイン全土の送電を担う企業。
国際エネルギー機関(IEA)が発表した2011年版「Clean Energy Progress Report」によれば、世界の風力発電の設備容量は2010年で195GW、それが2020年には3倍の575GWまで増える見通しだ(1GWは100万kW、標準的な原発1基の出力容量に相当)。これに対して太陽光発電は成長率こそ風力を上回るが、2020年でも126GWにとどまる。また、原子力は福島の事故を勘案していない見通しでも、2010年の430GWが2020年に512GWと低成長だ。つまり、世界的には向こう10年で、風力が設備容量で原子力を上回る電源となるわけだ(実際の発電量は設備稼働率による。詳しくは後述)。
現政府は既に2007年に設立した環境グルネル会議(Grenelle de l’environnement)を受けて、2020年までに再生可能エネルギーを少なくとも総消費電力の23%まで向上させる目標を立て、洋上風力発電だけでも出力6000メガワット(1200基、総消費電力の3.5%)相当を見込む予算を立てているからだ。