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三十分作成小説(ベジタブル編)コミュのウサギ・パレード

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「おはようございます」と

真夜中にウサギは言った。

動物の立場でありながら

ウサギは裸を好まない。

彼の今宵のファッションは

上はタキシード、

下はスウェットという何とも斬新なスタイル。

近未来過ぎて

おそらく誰にも受け入れられないと僕は予想した。



…おっと。

ウサギに挨拶を返さなければ

失礼でしたね。

僕は間をとって「こんにちわ」と答えた。

ウサギは満足そうに頷いた後

僕の顔めがけツバを吐いた。

うわ。

すげぇ臭い。



ポケットから取り出したオムツで顔を拭いていると

ウサギはようやく本題について話し始めた。



「あなたは仮の神様です。目の前に、2つの道があるでしょう?」

ウサギが示した手の先を見ると

先の見えない2つの道が

目の前で光り輝いていた。

…絶対さっきまでなかった。

後付けもいいとこだ。



僕がぼんやり道を眺めていると

ウサギは僕の足を踏み潰しながら話の続きを説明した。

「左の道を行きますと、あなた以外の全ての人間が幸せになります。右の道を行きますと、あなた以外の人間が消えてなくなります。好きな方をお選びください」

踏まれて増えた

三本目の足でウサギを蹴飛ばしてから

僕は思ったことを口にした。

「これって右の一択じゃない?左を選ぶ人っているの?」

蹴られたウサギは三匹に増えた。

僕の質問に対して

向かって右側のウサギから順に答えた。

「あなたの前に80人の神様(仮)がいましたけど」

「80人中80人が」

「左の道を選びました」

あぁ

そうなんだ。

僕の常識は

一般的には常識ではないらしい。

三匹のウサギは服を着たままお風呂に浸かり

声を揃えて僕に尋ねた。

「さて、どちらの道を選びます?」

「右。ドヤッ」

何かしらの反応があると思いきや

僕の右という回答に対して

「あぁそうですか」とウサギは冷めたものだった。

ではお進みなさいとウサギに促されたので

僕は右の道を進んでいった。



世界中の人が消えてなくなりました。

誰もいなくなった世界のコンビニで立ち読みをしていると

レジ係のウサギ2号が話しかけてきた。

「どうです?さすがに寂しいでしょう?」

「別に」

ウサギはおでんの玉子を投げてきた。

「そんなあなたにイヴを紹介します」

「別にいいってば」

今度はガンモドキを投げてきた。

ちなみに玉子もガンモドキも

ちゃんと僕に当たっている。


「すげー美人だけどあなたのことを絶対好きにならないイヴと、すげーブスだけどあなたのことが大好きなイヴ。どちらが宜しいですか?」

「美人」

「おっといけない。言い忘れました。ちなみにおブスちゃんはスタイルも悪いうえに水虫持ちです。さてどちらにします?」

「美人」

「ついでにいえばおブスちゃんは汗臭いです。基本的には毛深くて、夕方にはうっすらヒゲも生えてきます。どちらにします?」

「美人」

「最後に1つ。おブスちゃんは便秘がちです。以上のことを考慮して決めてください。どちらのイヴにします?」

「美人」

「わかりました。それでは美人であなたを好きにならないイヴをご用意致します」

そう言うとウサギは一旦店を出た。

僕はウサギが出ていったのを横目で確認した後

フリスクをお腹いっぱいになるまで食べた。



フリスクを食べ終わり

週刊少年ラビットを読み終えると

そのタイミングでウサギは戻ってきた。

おそらくイヴと思われる

背の高い女性も一緒だった。

「こちらがイヴさんです」

ウサギは僕にイヴを紹介してくれた。

イヴは美人と言えなくもないが

少し顔立ちに癖のある女性だった。

僕が挨拶代わりに頭をペコリと下げると

イヴは容赦なくツバを僕に吐き出した。

ほんの少し

嬉しかった。



邪魔者は消えますねと独り言を言いながら、

ウサギはコーラとバナナをレジ袋に入れて店を出た。



ウサギが気を利かせてくれたおかげで

世界は僕とイヴの二人きり。

イヴの手を握ろうとしたら

右手親指の爪を剥がされた。

イヴにハグしようとしたら

歯という歯を折られた。

イヴにキスしようとしたら

髪の毛を燃やされた。

イヴに子どもが欲しいと伝えたら

気を失うまで往復でビンタされた。



燃えた髪ではカッコがつかないので

ウサギのスウェット(下)を剥ぎ取って

頭にかぶった。


どんな感じか着替え中の鏡を覗きこむと

ズボンの部分が長い耳のように見え

なるほど

僕はウサギだったのかと

説得力のない感心をした。



幸せな時間は過ぎるのが早く

気づけばいつも夜だった。

空には丸い月が浮かび

そこではウサギが凧上げをしていた。

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