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三十分作成小説(ベジタブル編)コミュの高貴なるウサギ

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「もう起きたのか?」

目が覚めると俺は言った。

自分の言葉を聞いて少し頭が回り、

いつもよりスムーズに現実世界に入り込めた。

そしてまず、

何故目が覚めたのか、

原因を考えた。

しばらく考えた末に、俺は言った。

「お腹が減った」

どのくらい前に寝たのかはわからなかったが、

空腹具合はかなり深刻だった。

現実世界はこれだから面倒臭い。

食べなければ、

死んでしまうのだ。


冷蔵庫を開けてみたが

見事に何も入っていなかった。

しいていえば玉子が二個置いてあったが、

いつ購入したか全く記憶になく、

とてもではないが割ってみる気にはなれなかった。


仕方がないので

コンビニまで食料を調達しに行くことにした。

床に無造作に置かれた財布を拾い上げてみたが

やけに軽かった。

一応中身を確認してみると、

3000円しか入ってなかった。


そろそろまた働かないと飢え死にするなぁと、

かなり本気で思った。

しかし、

このところ夢の中が忙しくて

なかなか現実世界に戻ってられない。

今だって空腹がヤバいから仕方なく起きているだけで、

ここにいる必要性はまるで感じられない。

本音を言えば今すぐ眠りについて

再び夢の世界に戻りたかった。


歩いて3分ほどのとこにあるコンビニへ足を運び、

適当なパンやお菓子を買った。

パンは今食べる用で、

お菓子は保存食用だ。

会計を済ませると、

他のものには目もくれずさっさと店を出た。

時間が勿体ないので、

歩きながらパンを口に放り込んだ。

「そろそろ戻らないとやばいなぁ」

くちゃくちゃと口を動かしながら、

俺は言った。

その声に急かされ、

俺の歩む速度はほんの少しだけ上がった。


移動中にお腹を膨らませたので、

後は水分補給をすれば充分だ。

俺は蛇口をひねり、

少し水を出してから水道水を口に含んだ。

小さい頃からよく飲んだ、

錆の味がした。

俺は渇きと同時に僅かな空腹も埋めて、

再び旅立てる態勢を整えた。


「…おっと、忘れるところだった」

現実世界にいる間に、

やらなければいけないことを二つ思い出した。

一つはトイレだ。

特にすぐにしたいというわけではないが、

またどのくらいの時間あっちに行くかわからない。

いくら現実に重点を置いてないとはいえ、

この年齢になって漏らすのはごめんだ。

俺はトイレに行き、

さっさと用を済ませた。


そしてもう一つ。

こちらも大して重要なことではない。

言うなれば、

現実世界でのつまらない付き合いだ。

こちらの世界にそんなに興味がないのだから、

無視すればいいのだが、

貴重とも言える現実での仲間である以上、

雑な対応も出来ない。

急いではいるが、

最低限の礼儀は通すべきだ。


俺はゴミの中に埋もれた携帯電話を拾い、

中身を確認した。


未読メール 12件

不在着信 3件

どちらも同じ人物からだった。


時間がなかったうえに見なくても内容がわかるので、

俺はメールを一つも確認せずに、

新規メールの作成にとりかかった。

考えなくても指が動いた。

伝えたいことは、

それほど多くはない。


(また気に入るオモチャが手に入ると思います。今度のは大事にしてください。きっと、あなた好みです)

送信ボタンを押すのと同時に、

俺は携帯電話を放り投げて布団に寝転んだ。

「ようやく雑務完了ー」

布団の湿った匂いが何とも心地いい。

俺はみんなをこれ以上待たせるわけにもいかないので、

さっさと眠りの世界へと旅立っていった。


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