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三十分作成小説(ベジタブル編)コミュのニートの公式(その7)

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ろくに仕事を探さないまま、

残金だけが減っていった。

まいったな。

このままだと、

実家に強制送還される。


まぁはっきり言って、

「もうすぐ」ではなく、

現状はすでにアウトだ。

貯金もない、

所持金もない、

仕事もない、

家賃も、

公共料金も払えない。

他人から見たら、

もう実家に帰ったら?って感じだと思う。

しかし私は帰らない。

帰るわけには、

いかないのだ。


大学を辞めるとき、

母親から

それはもう凄まじい批難を受けた。

当然だと思う。

頭の出来が宜しくない私は、

大した志もないのに進学し、

百何十万円という莫大な入学金を

親に負担させた。

その結果がコレだ。

何も身につかない一年目に、

自主的に退学。

私が逆の立場だったら、

そんな馬鹿娘に殺意が沸く。


しかし、そんな当然の怒りをくらった私は、

あろうことか、

逆ギレした。

私には

他にやりたいことがあると、

意味不明の言葉を喚き散らし、

もう自分の人生は自分で決めるから、と

特に理由もないまま

一人暮らしの続行を決めた。


…あんだけ言い放ったのだから、

今更、「やっぱ無理でした〜」と、

ヘラヘラしながら戻るのは、

私のプライドが許さない。

そんな負け犬姿を晒すくらいなら、

いっそホームレスとして橋の下で暮らすわ。


今のままだと、

間違いなく橋の下暮らしなのだが、

私の中の危機感は

いつまで経っても薄い。

多分、馬鹿なんだろう。


玄関のポストを久しぶりに開けてみた。

その瞬間、

中から大量の郵便物が、

雪崩のように飛び出し落ちた。


単なるチラシもあれば、

公共料金の振込み用紙も混ざっていた。

中には、

先月ぶんの

携帯電話料金未払いの通知もあった。


これが現実だ。

どんなに夢を見ようと、

逃げ回ろうと、

やらなければいけないことは溜まっていく。

振込み用紙をまとめると、

だいたい二万円くらいの請求金額になった。

使ったのだから、

払って当たり前。

そんな当たり前のことでさえ、

今の私には不可能だった。


どうやって真面目に生きるかを考えていたけど、

何だか、疲れた。

だいたい、

振込み先は

私がキチンとした人間になるのを

待ってはくれない。

今日からちゃんとした社会人になるなんて、

到底無理な話だ。


ゴミの中で横になりながら、

何か楽しいことを考える努力をした。


…今日もいい天気だな。

湿っぽい部屋の窓から、

爽やかな太陽の光が漏れていた。

悪臭とゴミに埋もれたこの部屋から見たその光は、

まるで堕落者である私を救う、

希望の光に見えた。


何で、この部屋に住んでいるのだろう?と思った。

外の方が、

ずっと素敵な世界じゃないか。



旅に出よう。

私は唐突に、

そんなことを思った。

突然の思いつきだったが、

それはとても素晴らしいことのように思えた。


(つづく)

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