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福岡で映画を見るコミュのセブンスコンチネント

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ミヒャエル・ハネケが、
実際に起きた事件から題材を得て作った、
「感情の氷河期三部作」の一作目にして、
ハネケ47歳の時のデビュー作である。

「セブンスコンチネント」とは、
「七番目の大陸」という意味である。
この世にある六つの大陸とは別の、
七番目の大陸を目指した家族の物語、
ということになろうか。

映画前半の約一時間は、
この家族三人(父と母と10歳くらいの娘)の日常が、
淡々と、退屈なくらいのペースで描かれる。

そして映画後半の一時間くらいをかけて、
この家族は一切合切の家財道具を全てぶち壊し、切り刻み、
全財産をトイレに流した末に、
全員が睡眠薬を飲んで自殺する。

これは、オーストリアで、実際に起きた事件だそうである。

なぜハネケはこの事件を映画化したのか?
もちろん自殺を賛美するためではないだろう。

ブレッソンの映画においても、
同じようなテーマが扱われている。
「少女ムシェット」でも、「たぶん悪魔が」でも、
「ラルジャン」でも、主人公は絶望し、
破滅への道をつき進む。

ブレッソンの映画でも、ハネケの映画でも、
まず、世の中というのが、不条理に満ちていて、
希望のない、生きにくい場所である、
というのが大前提になっている。

そんな世の中に絶望し、
今まさに死のうとしている人間の行為に対して、
ブレッソンやハネケの視線は、
推奨するでもなく、批判するでもなく、
中立で、冷徹で、しかし慈愛に満ちている。

そして、ムシェットの自殺が一回で成功しなかったように、
この家族にも、
自殺を思いとどまるチャンスが与えられる。

受話器が外れていて電話がつながらなかったため、
誰かが電話会社に連絡して、
電話会社の社員が訪ねてくるのだ。

しかし父親は、自分で直しておくからと言って、
電話会社の社員を追い返す。
そして、電話のベルや玄関のチャイムを
鳴らないように細工して、
家財道具の破壊を再開するのである。

おそらく電話をかけてきたのは
おじいちゃんとおばあちゃんで、
この二人の声を聞いたら、
この一家は死ぬのを思いとどまっていたかもしれない。

しかし父親は鉄の意志でそれを拒絶して、
「目的」を成し遂げるのである。

僕はこれらの映画が伝えようとしているメッセージを、
このように解釈する。

この人たちは色々あって死んでしまいましたが、
あなたたちはけして絶望することなく、
頑張って生きてくださいね。と。

ブレッソンやハネケは、
実際の人間が死ななくて済むように、
映画の中で架空の人物に死んでもらい、
それがどんなに愚かな行為であるかということを、
観る人に伝えたかった。のだと思う。

非常に好意的な解釈なのかもしれないが、
僕はそう思うことにした。

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