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みやざき中央新聞コミュの「楽しむ力」(後編)

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それにしても準決勝の8回裏、横浜高校の攻撃が始まる前に何が起きたのか。


あのとき、円陣を組んだ選手たちに、渡辺元智監督は一言こう言った。

6点もの差を付けられ、絶望の淵にたたずんでいる選手たちの心を揺るがし、
彼らを笑顔にした監督の言葉が、これだ。

「もうお前らの好きなようにやれ。思いっきり甲子園を楽しんでこい!」

ここで思い出すのは、記憶に新しい女子サッカーW杯の決勝戦だ。
なでしこジャパンは強豪アメリカを相手に互角に戦い、PK戦に持ち込んだ。
一旦選手たちを集め、緊張している彼女たちに
佐々木則夫監督が笑顔で贈った言葉もこれだった。

「楽しんでこい!」

とても楽しめるような状況ではないのに、
その状況を楽しむとは一体どういうことだろう。

本来、「楽しむ」というのはレジャーや余暇活動にぴったりの言葉だ。
緊迫した状況下で「楽しもう」なんて言うと、周りから不謹慎だと思われかねない。

「楽しむ力」とは決して遊ぶことではない。
過去に頑張ってきた自分を信じて、どこまでも自己を肯定できること、
そんな力である。だから、「楽しむ力」の「力」は能力やスキルなのだ。

とても楽しめるような状況ではないのに、その状況を楽しめるなんて、
超能力でスプーンを曲げるよりも、もっとすごい能力ではないかと、
ひすいさんは言っていた。

精神的に緊張すると筋肉まで緊張し、体内にある約10万?という、
地球を二周りするほどの長さの血管が収縮し、血流が悪くなる。
そうなると体が思うように動かなくなる。

まさに、ピンチになったとき、困窮したとき、苦しいとき、悩んだときがそうだ。
そういうとき、ひすいさんは自分に言うセリフを決めている。
その言葉が、これだ。

「いよいよ面白くなってきたぜ」

そう言ってニコっと笑って、小さくガッツポーズをする。
笑うと、その瞬間、血流が増大し、筋肉が緩み、
潜在能力が120%発揮できる、とか。


おそるべし、「楽しむ力」


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