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稲見一良コミュの「ソー・ザップ!」

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 絶版になっている「ソー・ザップ!」の角川文庫版を入手して読みました。

 非常に面白い!

「セント・メリーのリボン」から入ったので、氏の作品にはどこか哀愁ただようといった印象がありましたが(「ソー・ザップ!」収録の「深夜の銃声」で氏が生島治郎の「被害者である時の方にタフで強情な性格を示すようだ」という言葉を引用しているように、ハードボイルド自体にそういう印象がありますね)、この「ソー・ザップ!」はそうした淡い色合いは背景に回って、前面に立つのは、

 戦い、戦い、戦い!

 男の戦いである。
 山の中でのマンハント。氏は登場人物のひとり、『ブル』が病気の妻のために金がいるという理由でその戦いに身を投じるという以外、男たちが何故戦うかということにほとんど触れない。そして『ブル』も戦いに身を投じるのに理由がある己を恥じる……

 理屈のいらない、明るいとさえいえる戦いのダイナミズムは、逆にある種の感動をすら抱かせる。とくに舞台である山の中の描写はまさに氏の真骨頂、雄大な自然と殺し合う男たちの対比がまた鮮明。

 堪能させていただきました。

 構図の単純さに比して、男たちの語る言葉は実に重々しく含蓄に富んでいる。

「いったい、生まれながらに強い人間なんているのかね。強くあり続けるということは、強いふりをし続けることだ」
「ときには倒されることもあるだろうが、また起き上がるんだ。敗けたことは忘れられる。だが戦わなかったときは、いつまでも悔やまれる。勝負は運否天賦。全力で戦うだけさ」
「心に痛みの伴わない狩猟はただの殺生だ。食うために狩る、その一点でわれわれは辛うじて救われるのだ」
「(信義って何だ?という疑問に答えて)約束をしたらそれを守り抜く、といったような事だ。友を裏切らないというような、言ってしまえば当り前の、卑近なモラルだ」

 実に17年前の作品なのに、同じような作品がありそうで思い当たらない。まさに稲見一良作品と思いました。

 次は「男は旗」に取りかかります。

コメント(11)

9月に再販しましたね!
今日電車のつり広告で見つけて購入しました。
嬉しいです!!
初めて読んだときの感想は、日本人でもこういう小説書けるんだと感激しました。まるでイギリスの冒険小説を読んでいるように感じたのですが、イギリスにもないと思いました。
まさに稲見小説ですね。

短編のホイッパーウイルも好きです。
こちらの方が丸い話ですね。
稲見氏を「ガンロッカーのある書斎」で知ってから初めて買った単行本が、
この「ソー・ザップ!」でした。
本当に、日本人離れした雰囲気を感じたものです。

「帖の紐」も再販しないかなあ。
はじめまして。
あの作品は男として生きることを教えてくれる素晴らしい作品です。
私の人生のバイブルとして、いつも傍らにおいています。
しかし、常に実践し続けるのは本当に難しいですね、「男」を(笑)
連発失礼!

「ソー・ザップ!」の「ハヤ」がこの世にいるとしたら?
なんとなくですが小栗旬クンの顔が浮かびました。
20年前に稲見さんを知って虜になり、手に入るものから読んでいきましたが、「ソー・ザップ!」は未読のまま…

昨日本屋で見つけて即買いました。

ああ〜 またページを捲るのが勿体無いと思わせてくれるんでしょうね。

じっくりと時間をかけて浸らせてもらいます。


ソーザップのタイトルの元ネタとして紹介された、「ハンター」です。
なかなか読み応えがあります。

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