2006年にアメリカで公開されて大ヒットしたホラー映画「THE HILLS HAVE EYES」は、無修正版のDVDも発売され、続編までもが公開された作品であるが、日本では封印されたままである。理由は上記3作品の要素を全て含んでいるからである。
「THE HILLS HAVE EYES」は昔からの映画ファンなら、悪名高い「サランドラ」のリメイクと言った方がわかりやすいであろう。ウェス・クレイヴンの監督作品で、シトヘス恐怖映画祭でグランプリを獲得したが、東宝東和の誇大広告が酷く、ほとんどの観客が劇中にまったく登場しない「ジョギリ・ショック」なる言葉に騙された。私も当時「金を返せ!」と呟きながら劇場を後にした記憶がある。今回の「THE HILLS HAVE EYES」は設定こそはオリジナルに忠実なのだが、様々な要素を付け加える事によって単なるリメイク作品以上の出来映えとなっている。
監督のアレクサンドル・アジャは前作の「ハイテンション」で一躍有名となった。80年代に量産されたスラッシャームービーを見事に現代に蘇らせた作品で、こちらも残酷描写の凄まじさが評判になった。ラストのドンデン返しは賛否両論があったが、個人的にはオーソドックスな展開の物語を上手く裏切ってくれたので高く評価している。今回の「THE HILLS HAVE EYES」も同じようにシンプルな展開だが、前作以上の残酷描写とハイテンションな演出で、観る者全てを圧倒させる。
ただの恐怖映画で内容が何も無いじゃないか、という批判もあるがそれはナンセンスである。観客はより強い刺激と恐怖を求めて劇場に足を運ぶ。今回の「THE HILLS HAVE EYES」は現代の若い観客達と、オリジナル版の酷さを知る観客達にも同じように恐怖を与えた、つまり多くの観客達をその恐怖と残酷描写で虜にしたのである。