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映画を語るコミュの「コフィー」

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アメリカが70年代に迎えた映画ブームの一つとして、BLAXPLOITATION 映画があった。「EXPLOITATION」とは直訳すると「搾取する、利用する」になる、それに「BLACK(黒人)」を付けた造語がBLAXPLOITATIONなのだ。つまりBLAXPLOITATION 映画とは、白人の製作者が黒人観客をあてこんで製作した、利益優先の映画という事になる。それらの映画は60年代末、アメリカで公民権法が改正された事により製作され始めた、主に黒人自身が主役や監督を務めた「黒人の黒人による黒人の為の」映画で、「黒いジャガー」や「スイートスイートバック」、「スーパーフライ」等が続々と製作され消費されていった(あの「燃えよドラゴン」におけるジム・ケリーもBLAXPLOITATION の大スターである)。それ以前の映画にあったような、白人に媚を売ったり、礼儀正しさや端正な言葉づかいはなく、「ヘイ! メ〜ン!!」や「ヘイ! カマンメ〜ン!!」等の黒人特有の訛を使って喋り、黒光りする美しい肉体でハーレムを中心に大活躍をしまくった。そして、そのどれもがカッコ良くてタフなヒーロー・ヒロイン達ばかりであった。しかし、主に黒人観客をあてこんで製作されているので、ほとんどの作品が日本ではまともに紹介されてこなかった。

タランティーノが1997年に撮った「ジャッキー・ブラウン」は、大量に製作されて映画史の表舞台から消え去ったBLAXPLOITATION 映画のオマージュであった。それは原作の主人公を白人から黒人に変更し、全編を彩る音楽も当時の映画の主題歌を使った事からもわかる。さらに劇中で冴えない中年オヤジを演じるロバート・フォスターにこんな台詞を言わせている「キミの美しさは29才の頃から変わらない。」と、その昔と変わらない美しさを誇る女優こそ、BLAXPLOITATION 映画が生んだ最高の女優、パム・グリアであった。

パム・グリアはアメリカン・ネイティブの血筋を引くミス・コロラド出身の黒人女優である、今もスタイルに変わりがないが、若い頃の彼女の顔は彫刻のように端正である、さらに惜しげもなく披露してくれるヌードは神々しいまでに美しい。「ワイルド・パーティー」の端役でデビューし、ロジャー・コーマン製作の女囚映画で注目を浴びた後、ある作品で大ブレイクする、しかしイメージが定着してしまい、亜流の駄作に出演して自らの首を絞めることになってしまった。その後がんを患い、闘病生活に入ったが、1988年に完全復帰、彼女のファンであったというジョン・カーペンターやティム・バートンなどの作品に脇役として起用された後、「ジャッキー・ブラウン」で再ブレイク、現在も活躍を続けている(http://us.imdb.com/name/nm0000427/)。

そのある作品とは、初公開から30年近くも日本では公開されなかった「Coffy (1973) 」である。

「紹介したい女がいるんだよ。」
「オメーは馬鹿か? 女ならここにたくさんいるんだよ。」
「すげーいい女なんだ、飛び切りのね!」
「コフィー」の冒頭は、ディスコでのこんなやりとりから始まる。あまり乗り気ではないヤクのディーラー、だが車で横たわるセクシーな彼女の姿を見るなり顔色が変わる「ワ〜オ! お友達になろう、オレのはもの凄くでかいぜ!!」

「♪コフィーの色 コフィーはキミの肌の色 コフィーはキミの住む世界」ロイ・エアーズの歌うファンキーだが少し間抜けな主題歌にのせて、彼等の車は夜の町を走り抜ける、目的地はもちろんディーラーの家だ。ベッドに入り一言「あら、本当にでかいのね!」さあ、お楽しみの始まりだというその時、コフィーは忍ばせていたショットガンをディーラーの顔面に突きつけて、ためらいもなく引き金を引く「地獄へ堕ちな!!」
彼女は麻薬欲しさにディーラーに近づいたと思いきや、実の妹をシャブ中にされた為、復讐を果たしに来たのだ。大きなアフロヘヤーに抜群のプロポーション、そして鷹を思わせるような彫りの深い美貌、黒人達はもちろん多くの白人達、当時の映画オタク達を虜にしたブラック・ビューティー”パム・グリア”の登場である。

看護婦のコフィーは妹の為に麻薬組織への復讐を誓い、行動を開始する。彼女はまず地元のドラッグ・ディーラーを銃殺し、友人の警官カーターには警察の麻薬取り締まり強化を促す。恋人で下院議員のハワードと安らぎのひとときを過ごすコフィーは、一方でジャマイカから来た高級娼婦ミスティックと称して単身麻薬組織に侵入。彼女は売春組織のボスでドラッグ・ディーラーのキング・ジョージ、更には大元締めのイタリア系マフィア、ヴィトローニに巧みに近づき、復讐の機会を窺うのだった。

とにかく全編出ずっぱりのパム・グリアの魅力が素晴らしい、ファッションモデル出身なので、ナースルックからセクシーなミニスカート、色とりどりの洋服に身を包み登場人物達はおろか観客達をも魅了する。もちろん彼女の最大の武器はそのカラダである。彼女をモノにしようとする馬鹿な男共を巧みに誘い込み、色仕掛けの罠にはめる。ただセクシーなだけではない、アフロの中にはカミソリを忍ばせ(昔のスケバンか?)、拳銃やショットガンをためらいもなくぶっ放す、その姿は後のキャメロン映画に登場した「戦うヒロイン」の元祖である。

他の登場人物達も実にユニークだ。中盤に登場するキング・ジョージ、こいつは自らのテーマソングが流れる中、黄色のスーツと黄色のハット、怪しいグラサンにステッキというギャグとしか思えない姿で現れる。悪役なのだが、あまり悪そうには見えない、逆に騙されすぐに殺されてしまう、その姿は実に悲惨である。そのキング・ジョージが囲う、娼婦達の描写も実におかしい、コフィーに嫉妬してパーティーでキャット・ファイトを繰り広げるのだが、ドレスからはオッパイをはみ出し、食い物や飲み物をそこら中にまき散らしながら取っ組み合う、最後はコフィーの髪の毛を掴んで、なぜか大絶叫、仕込んでいたカミソリ・アフロで手に大怪我を負ってしまったのだ。
恋人の下院議員のハワードも何処か怪しい、モハメド・アリと若い頃のジェームズ・R・ジョーンズを彷彿させる黒人であるが、クラブで秘密の談合をしたり、コフィーがピンチの時にいなかったりする、するとやはり最後の方でその本性が明らかになってくる。

監督のジャック・ヒルはコッポラのパートナーとして活躍、その後B級映画の帝王ロジャー・コーマンの配下となり、次々と娯楽映画を作り続けた。あまり上手い監督とは言えないが、次から次へとサービス精神旺盛に見せ場を重ねる演出方法は高く評価したい。
また、残酷描写に関しても容赦なく見せつけてくれる。「コフィー」の冒頭の頭部破壊描写は、「ゾンビ」におけるプエルトリカン・アパートの描写の原典となっている。
さらにキング・ジョージの惨殺シーンでは車にロープで括り付けられて市内を引きずり回される、最後は血まみれになって肉塊へと変わるのだが、そこへ至るまでのサスペンス溢れる会話と、残虐な結末は異様なまでの迫力がある。

悪人達を続々と血祭りに上げ、最後は彼女を裏切ったある男にショットガンを突きつける、言葉巧みに説得をし彼女を懐柔させようとする、心が揺らぐコフィー、しかしベッドルームから別の女が出て来た瞬間、彼女の指は引き金を引き絞る。それまでセクシーな裸で観客や登場人物のオトコ達を前のめりにさせて来たコフィー、最後に繰り広げられる前のめりはかなり痛々しい。。。
復讐を終えた彼女に歌が被さる復讐を終えた彼女に歌が被さる「♪終わりと思っても まだ始まったばかり 法はキミの敵 法廷はキミに挑む」コフィーの先に待ち受けるのは犯罪者としての汚名だ、しかし全ての復讐を終えた後ろ姿はまばゆいくらいに美しく清々しい。

「ジャッキー・ブラウン」を心の底から楽しむ為には、この作品と監督・主演が同じコンビの「フォクシー・ブラウン」は必ず見なければならない(特にBGMは「コフィー」の物をそのまま使用していた)、美しいパム・グリアと娯楽映画ばかりを作り続けたジャック・ヒルにオマージュを捧げた作品だからである。
(おまけ、http://www.youtube.com/watch?v=qf2JlHDge9g&search=foxy%20brown)

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