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映画を語るコミュの「大統領の陰謀」

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ハンプティ・ダンプティ塀の上に坐ってた 
ハンプティ・ダンプティ落っこちた
王様のお馬と 王様の家来みんな寄っても(all the king's men)
ハンプティ・ダンプティをもとに戻せなかった

映画「All the King's Men」は、政界の浄化に燃えて市長選挙に出馬した主人公が、二度の落選を経てようやく当選するが、その過程で彼は手を汚していき、権力の座に着くや金権政治の亡者と化して堕落していく。その有様を、友人の新聞記者の眼で捉えていく、というストーリーだ。
「大統領の陰謀」の原題(原作も)は「ALL THE PRESIDENT'S MEN」、この映画にあやかった実に素晴らしいタイトルである、英語が理解出来る映画好きなら、すぐに内容が判明する仕組みになっている。

1972年、6月17日の深夜、ウォーターゲートビルの民主党委員会事務局に五人の男達が侵入し、盗聴機を仕掛けていたのを理由に逮捕された。「ワシントンホワイト」紙の記者ウッドワードと、バーンスタインは、捕まった主犯の男ジェームズ・マッコードがニクソン大統領の警備主任を担当していた事を知り、事件の全容を暴くために取材を始める。小さな侵入事件を地道な取材を重ね、事件として報道、ついに当時のニクソン大統領を辞任に追い込んだワシントン・ポスト紙の若き記者、ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタイン。ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンという70年代を代表するトップスターがそれぞれ扮し、リアルに熱く演じてみせる。

「・・・映画的に興奮させられるのは冒頭の侵入場面だけ、その後はウッドワードと、バーンスタインの綿密で執拗な調査が延々と続く、字幕を目で追っているだけで疲れてしまった・・・」恥ずかしながら、高校生の時に初めて観て書いたのがこの感想である、原作も読んではいたのだが登場人物の相関図が頭に入らず、深く理解出来なかった。期待しながら観たビデオも字幕を読んでいる時間が多過ぎて、ほとんど映像が頭に入ってこなかった。2〜3年前にDVDで再び観た時は、さすがに理解力は深まったが、それほど面白いとは思わなかった。

今回、吹き替え版で再度見直したが、素晴らしかった、画面に引き込まれた、宣伝文句にあるように「最高に興奮させられる!これは政治を題材にした探偵映画だ。」は間違いではない、これまでで最も面白く観る事が出来た。

会話の場面を例にしても、その中にさりげなく出てきた人物にふっと気付いて追求したり、電話の応対で都合が悪くなった時の語調の違いなどが手に取るように分かる。
また、二人が同時に喋る場面や激しい言葉の応酬なども、直接耳に入ってくるので、細かいニュアンスや感情の変化までもが伝わってくるのだ。さらに、バックにTVやラジオからニュースが流れる場面で、二人の調査が手詰まり状態になった時には「チェス」のニュースを流したり、大統領再選の報道に於いて「全てにおいて清廉潔白を目指す〜」という声明が聞こえてくる中、そのスキャンダルを黙々とタイプし続ける場面を映し出したりなどの、皮肉を込めた描写があったのも、今回初めて気が付いた。

「ゴッドファーザー」シリーズや、ウディ・アレン映画で有名なゴードン・ウィリスの撮影も素晴らしい、ウッドワードが電話で徐々に核心に迫っていく場面での長回しや、国会図書館やワシントンDCの俯瞰映像は印象深く、静かに淡々と二人の調査過程を克明に追っていく。

映画の最後は、ミスをしながらもそれをかばう編集主幹、そしてそれにめげず黙々とタイプの前に座って記事を打ち続ける二人のショットで幕を閉じる。タイプに刻まれるのはその後のニクソン政権の行方、この場面がドラマチックで感動しないと受け取る人は、140分もの間、何を観ていたのであろうか、彼等の行動は綿密な調査と執拗な取材の繰り返し、時に妨害され時には命までをも狙われたが、圧力に屈する事無く取材を続け、大統領を権力の座から奪う偉業を成し遂げたのだ。それを一言の台詞も入れず、高らかなタイプの音と、静かなアップで描いたのであるから、これほど素晴らしいラストは無いであろう。

(余談だが、彼等の食べる食事も今回初めて確認出来た、マクドナルドの「クオーターパウンダー」である、2002年に日本でも限定復刻したこのメニュー、地道な取材を支えるのはやはりボリュームのあるハンバーガーが必要だと実感した。)

演技を評価するには、役者のナマの声を確認するのは勿論必要である。この映画は、一度目は字幕で、二度目は吹き替えで観る方をお薦めする、ネイティブやよっぽどの政治研究家でもない限り、この映画の会話を全て理解するのは不可能に近いであろう。

ニクソンが辞任後、僅か二年でこの映画は公開された。
この映画の最も重要なメッセージ、それはジェイソン・ロバーズ扮する編集主幹が二人に言うこの台詞「報道の自由は、憲法にも保障されたアメリカの自由の基本なのだ。」
二人のジャーナリストの地道な調査は、アメリカのメディアの公正さ、自浄作用の素晴らしさを世間に知らしめ、世界中に多大な影響を与えた。

テロの名の下に国民やメディアを監視し、抑圧するブッシュ政権、果たして彼等にこのメッセージは伝わるのであろうか?

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