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縄文考古学コミュの土壌の水洗について

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某考古学専門書店から刊行された集落研究に関する本でも大きくとりあげられていましたが、皆様、土は洗っていますか?
自分は現在北関東で約10000m2の調査を担当しており、古代を掘り終わってようやく縄紋の遺構に手をつけ始めています。時期としては中期中葉〜後葉の中に概ね収まり、遺構は住居(7、8軒)、袋状土坑(10基強)などが検出されています。調査期間は12月いっぱいまでです。おそらく外に分析に出すことは難しいと思われるので自前でやるしかないのですが、皆様が担当者でしたらどのように土を採取しますか?それとも、そもそも土壌水洗なんて通常やらないものなのでしょうか。

現在の方針としては土を採取するものは
・遺存状態の良い炉
・明瞭に炭化物を含有する土層を持つ袋状土坑
を考えています。サンプリングは層序ごとに行うつもりでいます。

土壌水洗は現場でこうやってサンプリングした方がいい、こういう遺構があればやっておいた方がいい。そんなことなど、皆様の考えをぜひ聞かせてください。

コメント(15)

目的如何、おっしゃる通りです・・・

・微細遺物の回収による食生復元のための基礎資料づくり
・土層毎に資料を回収することによる覆土形成過程におけるイベントの検討

目的は、↑のように2つの方向から考えています。
個人的にはやった方が良いと思います。
食性復元が目的の一つなのであれば、フローテーションをやった方が良いでしょう。
装置が市販(標準的なもので12〜15万くらい)されていますが、バケツでも
出来ます。

徹底的にやるのであれば、住居跡の床面に小グリッドを設けて床の全面からサンプ
リングするのが良いかと思います。 そこまでしなくても、住居内からランダムに
サンプリングするのも有効かと思います。
炉の場合は、炉とその周辺もサンプリングした方が良いでしょう。
土坑はもちろんサンプリングした方がいいと思います。

サンプリングした土壌は、人工遺物が混ざってそうならその場で篩に掛けて人工遺物
とそれ以外とをセパレートします。 その後、人工物を取り除いた土壌を3日間ほど
屋内で乾燥させます。 乾燥しきったあとに、バケツに土壌を入れてから水を入れて
手でかき混ぜると炭化物が浮いてきます。 それを0.25mmメッシュか0.5mmメッシュ
くらいの篩でピックアップします。 ピックアップした炭化物は布の上に置いて、
屋内で3日間ほど乾燥させます。 乾燥したら双眼実体顕微鏡を使って各サンプルごと
に同定・分類します。

フローテーションや植物遺体分析に関しては
椿坂恭代 1992 「フローテーション法の実際と装置」『考古学ジャーナル 355』
辻誠一郎 2000 『考古学と植物学』同成社
南木睦彦 2003 「種実の調査法」『環境考古学マニュアル』同成社
那須浩朗 2004 「種実の考古学」『環境考古学ハンドブック』朝倉出版
などがあります。 この他にも吉崎昌一さんや山田悟郎さんなどの論文も
参考になるかと思います。

種子の標本図鑑は
中山至大・井之口希秀・南口忠志 2000『日本植物種子図鑑』東北大学出版会
が良いかもしれません。
譲 さま

住居に関しては有機物狙い、袋状に関しては有機物と微小遺物の両面狙いにしようかと思います。
が、旧石器での微小遺物はあまり考えておりませんでした。現在調査している遺跡は県最古級の旧石器が前回調査区から出た遺跡ですので、プレを掘る際には排土の回収も考えようと思います。水や土捨ての問題もありますので、プレでも土を洗えればいいのですが…
水の問題もまったく考えもしませんでした。調査を始めるまで公園として利用されていた場所で調査しているので、そこの水道からじゃーじゃー流してしまおうかと。現在のところ有機物は種の同定を考えていますが、資料汚染の問題はどの程度意識すべきなんでしょうか。


オーシャン さま

文献の紹介ありがとうございました。早速自分の勤め先の埋文センターと博物館で複写してきました。
フローテーションの話をしたら「そんな金があるか」と一蹴されてしまったので、県セや隣町で土を洗っていた作業員さんと相談しながら装置(?)を考えています。オーシャンさまもおっしゃるバケツやテンバコを使うなり、片口付きのバケツを使うなり、とりあえず色々試してみようと思います。市販のフローテーションの装置を使わずに土を洗っているところも多いんですね。
土を乾燥させるのはさっそく今日から始めました。まだ土をとりはじめた段階ですので、土量は浅いテンバコ5箱分ほどになります。バケツを使って炭化物をピックアップするとなると、洗うのにおおよそどれくらいの時間がかかるものでしょうか。
所要時間ですが土壌の量や入ってる浮遊物の量でも変わってくるのでなんとも言え
ません。 ただ、装置の場合もバケツの場合も長時間、土壌を水につけ過ぎるとせっ
かく乾かした炭化物が水を吸って浮かなくなるので30分以内を目処に終わらせる
様にした方がいいと思います。 なのでバケツの場合は一度に数リットルずつ徐々に
やっていくので、装置より手間が掛かる訳です。 装置だと大体一度に10リットル
くらい(装置によってはもっと)処理しても20分くらいで終わりますが、バケツで
同じ量を処理しようとしたら倍くらい時間が掛かるかもしれません。

装置を自作する場合は椿坂さんの論文に装置の図が載ってたはずですので、それを
参考にされると良いかと思います。あと、バケツ法については

松元 美由紀・瀬戸哲也・上田圭一・岸本義彦 2007 「喜友名前原第二遺跡柱穴覆土
における土壌試料水洗の検討-微細物分析の試み(2)-」『徳永重元博士献呈論文集』
パリノ・サーヴェイ株式会社

のなかで、バケツ法による回収方法の検討が行なわれています。
それから処理する際に使用する水は水道水でOKです。
特に炉跡についてなんですが,小さな動物の骨が入っていることがあるかと思います.焼けているため,水洗でも一応大丈夫とは思いますが,壊れる可能性は大です.採集時に小さな白い斑点がみえる,骨が見える場合,別に採集しておき,土を割りながら骨を探す方が安全のような気がします.四国の事例しか知りませんが,四国山地のど真ん中の縄文の住居の炉跡から海生魚の遺存体がでてきたりします.当時の海からの流通などを考える上で重要な資料になるかと思いますので,ご一考いただけましたら幸いです.
返信が遅くなってしまって申し訳ありません。

>オーシャン 様
教えていただいた文献や、類する文献などを読ませていただきました。
椿坂さんの論文も読んでみましたが、自作することを踏まえてバケツを使おうと思います。
松井章さんの文章を読んだので、それを使ってみようと思います。
バケツを傾けて渦流を作り、溢れたものをメッシュに流し込む、あれです。
平日は作業を行うことができそうにないので、早速今週末から始めてみようと思います。
現場が動いている間は水が使い放題なので、なんとか現場が動いている間に洗いきってしまいたいと思います。
ありがとうございました。

>譲 様
外に分析を出すのは難しそうなので、資料汚染の心配がなくて安心しました。
現在の調査区でロームからの微細遺物検出を行う場合、前回の調査を踏まえると、現在の確認面から1m半ほど掘り下げることになります。
それだけの地山土を洗うというのは・・・あまり考えたくない土量になります。
やればきっと有意義だとは思うのですが、だいぶ労力は大きくなるものなのですね。
グリッドごとにパウダーの濃淡が見られればいいのですが。

>ぽん太 様
炉跡からの骨の検出、十分にありうることですね。
骨がありそうだから土壌サンプルをとってみた、洗ってみた、すべて骨片になっていた。
なんてことでは笑えないことになってしまいますし、洗わないで探すことも考えてみようと思います。
調査を行っているのも、現在の行政区分では海無し県にあたりますし、海につながる資料が出ることを期待しています。
ご教示、ありがとうございました。
>9
フローテーションをやると水より比重の重い骨などの遺物は下に沈殿するので、
それをピックアップするのもアリかと思います。
骨の事はよく分かりませんが、フローテーションで回収された動物骨を分析に
出したりするところもありますよ。 もちろん肉眼で判別できるものは事前に
取り除いておきます。

蛇足ですが浮いてきた遺物はLight Fraction、下に沈んだ遺物はHeavy Fraction
と呼びます。 フローテーションを行った報告書などで分析サンプルに「LF ?」とか
付いてますがLFはLight Fractionの略です。 もちろんHeavy FractionはHFです。

バケツでやるにしろ装置でやるにしろ、手で混ぜる作業が一番大事です。
あまり勢いよく混ぜると炭化物が壊れてしまうので、やさしく・それでいて
しっかりと混ぜることが重要です。ただ、魚骨などの小さな骨が大量に入っていると
手がボロボロになったりするので気をつけてください。
結局のところ、こんな風にやっています。

>オーシャン さま
とりあえずバケツを使って始めてみました。
休みの日などを使ってちょこちょこ土を洗い始めています。
5mm、2mm、1mmのメッシュを使って洗っていますが、
予想以上に根っこがメッシュに引っかかってきます。
もちろん、予想以上に炭化物や骨片も引っかかっていますが。
それこそ土層注をした時点では予想もしてなかったほどに。
仕方がないことなのかもしれませんが、少々自分の土層注との違いにへこんでいます。

炭化物を浮かせる混ぜ加減は難しいものですね。


>まくや さま

住居の床からのサンプル採取、非常に面白い試みだと思います。
自分のところでも現在焼失住居を掘っているので、そこからサンプルを採取したいところ。
何よりの問題は、上司が頷くかどうかです。
覆土形成過程におけるイベントの検討も同様に、いくつかの土坑でのサンプルとりを許可してもらえるかどうか・・・
>5mm、2mm、1mmのメッシュを使って洗っていますが、
1mm以下のメッシュをお持ちであれば、それを使用した方がよろしいかと
思います。 1mmだと雑草種子(例えば開けた土地にしか生息しない種類も
あるので、遺跡周辺の環境を知る手がかりになることも…)やヒエなんかは
回収し難いので。 特にヒエなんかが出たら面白い発見になります。
吉崎先生のチームが縄文中期頃の青森県富ノ沢2遺跡からヒエ類を発見して
います。吉崎先生は『縄文ヒエ』と仮称していて、ヒエが日本で独自に栽培化
された可能性も示唆されています。

日本では水田稲作よりも畑作による雑穀栽培が主に行なわれていたかもしれ
ませんが、みんなイネばっかり注目してきたので雑穀種子のデータは極めて
不足していてデータ蓄積が必要なのは確かです。

縄文時代の雑穀栽培に関しては
黒尾和久・高瀬克範2003 「縄文・弥生時代の雑穀栽培」『【もの】から見る日本史』
            木村茂光 編,青木書店
で雑穀研究の必要性が書かれています。 高瀬さんは主に東北を中心にフローテー
ションされてる方です。

>予想以上に炭化物や骨片も引っかかっていますが。
フローテーションを行なわない発掘で、いかに多くの貴重な資料が無視されて
きているかが示されていると思います。同定可能な種子が少しでも多く含まれて
いると良いですね。 今回の作業で炭化種子がたくさん回収できれば、今後の発掘に
おいてフローテーションの本格導入に繋がるかも知れませんし。

>現在焼失住居を掘っているので、そこからサンプルを採取したいところ。
日本考古学の王道を行かれている方だと、目に見えない遺物を軽視する傾向が
強いのでなかなか大変だと思います。担当者の方がこういうのに理解がある
ところだと、装置を購入してFLやってたりするんですけどね…。

いま行なってるフローテーションで回収された浮遊物を一度見せてみるのも
アリかもしれません。
はじめまして ずいぶん前に関わった遺跡での経験を少々書いてみます。
縄文の古い時期の集落で、竪穴住居数軒の覆土を全て洗ったことがあります。
一番成果を上げたのは微少遺物の回収で、小指の爪程度の極小石鏃や薄片類、炭化した
クリなど、作業員さんのほとんどが高齢者だったことを差し引いても、肉眼での確認が
困難だった遺物が回収できました。前の年に水洗なしで調査した住居とでは、小型の
石器組成などで、大きな違いが出ました。

この時の調査では市販の洗浄装置を使い、掘った土をそのまま土嚢袋に入れて搬出し
水洗していましたが、確か最小で1ミリのメッシュのほか、茶こしや先が網になった
お玉が炭化物などの回収では、とても有効な道具でした。サンプリングの方法を工夫
すれば、さらに多くの情報が得られる手応えはありましたが、残念ながらその後には
活かす機会がないままです。

実際の調査では、コストや作業及び排水スペースなどの問題もあるかと思いますが、
住居の床面に近い部分の覆土などでは、十分やってみる価値はあると思います。
経験した事例では、古墳の石室の覆土から、微少な玉や鏡の破片を回収したことも
ありました。

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