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英国の動物病院から情報発信コミュのMurphy と 切ないビスケット

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先日、Miss.P からの電話を受けた。

Miss.P の母親 Mrs.P の飼い犬 Murphy のことで獣医師との予約を取りたい、とのこと。

Murphy は、1歳と4ヶ月のチョコレートラブラドール。

数ヶ月前にも、相談の電話を何回か掛けてきたのでよく覚えていた。

それからしばらく、音沙汰がなかったから ホッ としていたのに ・・・。



数ヶ月前の相談内容は、Murphy の リホーム の相談だった。

Murphy は、生後数週間で 70代の Mrs.P 夫妻の元にやって来た。

娘である Miss.P から、母親 Mrs.P の 誕生日のプレゼント として 
Murphy はやって来た。

ところが、どんどん大きくなるにつれて、
力も強くなり、一向に落ち着かず、そして時に理由もなく噛む と言うのだ。

まるで ジキルとハイド の如く、静かに大人しくしている時もあれば、突然、目が据わって凶暴になるのだと。

数ヶ月前のその時は、Mrs.P が Murphy に手を噛まれて何針も縫った直後のことだった。

Mrs.P は “ 最後のチャンスを与えてあげたい ” と言って、

大型犬を扱うトレーナーの電話番号を控えて、それから数日前まで音沙汰がなかったのだ。


電話で Murphy.P と聞いて、嫌な予感と同時に祈るような気持ちになった。

Murphy に手を噛まれてから、すっかり自信をなくしてしまった Mrs.P ・・・

Murphy 抜きで、ゆっくり獣医師と、これからのこと、未来のことに付いて語りたいと言う。

今日の夕方、一番最後の予約を渡すと、予約の電話を掛けてきた娘の Miss.P は何度も何度も ありがとう を繰り返していた。


そして、今日の午後早くに Miss.P が Murphy を連れてやって来た。

大きなビスケットの箱を2つ抱えて “ お礼が言いたかった ”と Murphy の散歩途中にやって来た。

怖くて、もう Mrs.P は Murphy の散歩さえ出来ないらしい。

待合室にいる Miss.P と Murphy に会う為に出て行くと、大きな身体で黄色い瞳のチョコレートの毛並みが美しい Murphy が飛び掛って来た。

大きくて硬くて、強くて元気な、とっても良い犬だ ・・・。

シッポをちぎれんばかりに左右に振って、同時にお尻と後ろ足も左右に激しく揺れる。

元気で、まだまだ子供の、とっても良い犬だ ・・・。



Miss.P は話してくれた。

色んな手は施したこと。

トレーニングも頑張った、だけど、効果がなかったこと。

英国ラブラドールレスキューに相談したり、シェルターにも問い合わせもしていること。

Mrs.P は Murphy を凄く愛しているのに、自信をすっかりなくして怯えてしまっていること。

もしかしたら、最後の最後の方法(=安楽死)を選ばなくてはならない 
と思っていること。

その前に、獣医師の視点からの医学的な専門的な意見が聞きたいということ。

私は、眉間に皺を寄せ Miss.P の話を聞きながら、ずっと Murphy を見下ろしていた。

笑った顔から見える真っ白い歯、長く伸びたピンクの舌、小さな黄色い目が私達を見上げる。

膝を折って、柔らかいチョコレート色の毛並みを撫でると、ゴロンと横になった。

       あぁ ・・・ 良い犬だ ・・・。

Miss.P が寂しそうに話す。

 “ こんな Murphy からは想像が出来ないのよねぇ・・・
前触れもなく凶暴になる彼の姿なんてねぇ ・・・ ”


チョコレートの毛並みを真っ直ぐに撫でながら見つめた。

        なんとかこの子を救えないだろうか

        なんとかこの子を救えないだろうか

だけど、私は Murphy のことを何も知らない。

誰よりも Murphy を愛し、24時間共に生きて、誰よりもよく知り尽くしているのは、飼い主さんなのだ。

私は何も Murphy のことを知らない。

チョコレートラブラドール が一般的に、いかにヤンチャで落ち着かない犬種であるか ・・・

そんな一般論しか私は知らない。

Murphy と Miss.P が去った後に残った、大きなビスケットの箱2つ。



どうしてもその箱を開けることが、今は到底、私には出来やしない。

コメント(5)

訓練してもダメなんですか・・・
獣医さんにこんなことを言うのは変ですが、
主従関係の再構築をなんとかできないものですか?
このまま安楽死なんてことになったらMurphy も Miss.P
も可哀想です・・・
もっと若くて力もある方で、レスキュー犬を飼うことに慣れているような方に里子に出すことはできないんでしょうか?
1歳と4ヶ月で諦めるなんて、あまりにも早すぎるような気がしてしまいます。
せめて安楽死だけは避けられないものでしょうか?
犬だけではなく、動物と暮らすのには大きな覚悟が必要ですね。
人間の思うように生きるために生まれた訳ではないでしょうから…

その苦労を
人が好んで飼うのですから、最後まで責任を持ってほしい。
動物が人間の心を汲むために生きてるわけじゃないって
知ってほしいな。
悲しい話ですね。

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