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Phantasy Star Storiesコミュの第六章 モタビア総督

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 アリサ達はショートケーキを持って、再びパセオのスペースポートに降り立った。
 そしてまっすぐに、総督の屋敷へ向かった。

 「ソウトクヘノ オクリモノヲモッテキタカ。」
 これで三度目の、ロボットポリスのせりふが地下通路に響いた。
 
 「ショートケーキを持ってきました。」
 アリサはショートケーキの入った、大きな金属製のケースを差し出し、ふたを開けて中身を見せた。

 「デハ ソノ ショートケーキヲ アズカッテオコウ。」
 ロボットポリスはショートケーキのケースを受け取り、通路の奥へと歩いていった。

 さらに通路を先へと進み、突き当たりの階段を上ると、総督の屋敷へと続く石畳の道に出た。
 総督の屋敷の周りは、水を満たした長い堀で囲まれていた。ちょうど、アリサ達は地下通路でその堀の下を通ってきたことになる。
 「これだけの幅と長さの堀に水を満杯にしているというのは、このモタビアでは権力の象徴みたいなもんだな。歴代のモタビア総督は相当な見栄っ張りに違いない。」
 タイロンはケーキの件がまだ引っかかっているらしく、まだ会ったこともない総督の悪口を言っていた。
 アリサ達は、総督の屋敷の玄関へと向かった。
 
 謁見の間に通されたアリサ達は、ついにモタビア総督と対面した。
  「私がこの星の総督だ。ラ・シークを倒しに行くそうだな。その勇気をほめてやる。」
 開口一番、総督はそう切り出した。
 襟の高い、両肩に金色の房飾りの付いた青い礼服を身に付け、豪華な椅子に両肘を預けて堂々と座る総督は、この星の支配者としての風格を漂わせていた。
 「俺達のことを知っているのか?」
 タイロンがやや驚いたように尋ねた。
 「打倒ラ・シークの旅をしている勇者タイロンとその一行の事は、私の所にも伝わってきているぞ。」
 総督は、モタビア星の支配者に対するには無礼なタイロンの言葉を気にする様子もなく、そう答えた。

 「マハルの洞窟に、ルツというエスパーがいる。紹介状を書いてやるから、それを持って会いに行くがよい。」
「長い旅で疲れただろう。ここでゆっくり休むがいい。紹介状は翌朝渡してやろう。」

 アリサ達は豪華な客間に通された。
 「入浴の用意ができておりますので、ご自由にどうぞ。食事は後ほどお運びいたします。」
 給仕の女性がそう言って、部屋を後にした。

 「こんな豪華な部屋、泊まったことも入ったこともないぞ。」
 「総督ってお金持ちなのねー。」
 アリサは驚くやら感心するやらで、部屋の中をきょろきょろと見回していた。
 「ねえ、先にお風呂入ってもいい?」
 「ああ、俺はあとでいいよ。」
 タイロンは装備を外して床に置くと、椅子にどっかりと腰を下ろした。
 「ミャウー。せっかくだから一緒に入りましょ。」
 「うん、入るー。」
 アリサとミャウはいそいそとバスルームに向かった。
 「ノミがいるかもしれないから、ミャウを湯船につける前に全身シャンプーしてからにしろよー。」
 タイロンはバスルームに向かってそう声をかけると、ため息をついた。
 「まったく、どうも俺の性には合わないことがつづくなあ・・・。」

 「アリサー、くすぐったいよー。」
 「ミャウ、白い泡でふわふわのぬいぐるみみたい、かわいいー!」
 バスルームからは、アリサ達のはしゃぐ声が響いていた。
 
 入浴を済ませたアリサは用意されていたふかふかの白いバスローブに着替え、ミャウをドライヤーで乾かしてあげていた。
 あとから入浴したタイロンは、鎧の下に着ているいつもの服をそのまま着ていた。どうも用意されたガウンが気に入らなかったようだった。

 「失礼いたします。」
 ドアをノックして、給仕の女性が食事を運んできた。それはモタビアの高級食材、砂漠の珍味やモタビア湖でだけとれる新鮮な高級魚などを贅沢に使った豪華なものだった。
 「すごーい・・・」
 アリサはまたも言葉を失った。ネロと二人で質素な生活をしてきたアリサには、まったく縁のないものだったからだ。
 「それじゃあ、早速いただきましょうよ。」
 「まあ、せっかくの豪華な食事だ、慌てずゆっくりいただこうじゃないか」
 タイロンはそう言ってアリサを制すると、ひそかに目配せした。アリサはとりあえず話を合わせることにした。
 給仕の女性が部屋を出て、足音が遠ざかったのを確認すると、タイロンが口を開いた。
 「どうだ、ミャウ、何か怪しい臭いがするか?」
 ミャウはそっとテーブルの上に上がると、みんなの料理の臭いを一皿ずつかいで回った。
 「とりあえず、知ってる種類の眠り薬や毒は入っていないみたい。」
 「そうか。それじゃあ、次はこれだな。」
 タイロンは、ポケットから小さな、生きた昆虫を取り出した。
 「さっきちょっと外に散歩に行って捕まえてきたんだ。この虫は毒にすごく弱い。」
 荷物袋から空き瓶を取り出すと、全ての皿から料理を一さじずつとって瓶に入れ、つぶして混ぜ合わせて、スープをもう少し入れて液状にした。
 そして、その瓶のなかに虫を入れた。
 「もしこの料理の中に、一つでも臭いのしない毒や眠り薬が入っていれば、この虫はもがき出すはずだ。」
 しばらく見ていたが、虫の様子に変化は見られなかった。
 「よし、完全とはいえないが、とりあえず大丈夫だろう。」
 タイロンは窓から虫を逃がしてやり、テーブルに戻ってきた。
 「人を疑うのは気分が良くないかもしれないが、念には念を入れて、ということさ。アリサ。」
 「ううん、そんなことないわ。タイロン、さすがね。これも長い間の冒険の知恵なのね。」
 アリサは素直に感心していた。

 「まあな。そのうち剣の腕じゃ俺の出番はなくなっちまうだろうし、そうなりゃあとは力仕事と、銃の腕と、年寄りの知恵袋さ。」
 「それじゃあ、いただこうか。実のところ、俺だってもう腹が減って腹が減って我慢できないんだ。」
 アリサ達は楽しく笑いながら、食事を楽しんだ。

 「ケーキ一つでこの食事とこの部屋の宿泊か・・・総督はよっぽど気前がいいのか、それとも単なる見栄っ張りか・・・。」
 「もうタイロンったら、そこまで総督のことを悪く言うことないじゃない。さっきだってあんなにうまいうまいって、一番たくさんご飯食べてたのタイロンだったくせに。」
 ミャウと遊びながら、アリサは振り返って言った。
 アリサにそう言われると、タイロンは決まり悪そうに咳払いをした。
 「しかしどうも、俺はあの総督、いまいち好きになれないんだよな。」

 夜も更けてきて、アリサ達は床に就くことにした。

 「ミャウ、一緒に寝ましょう?」
 「うん、アリサ。」

 ミャウはアリサのベッドにあがると、身体をくるんと丸めて、そのふさふさの尻尾を枕のようにした。
 アリサはその様子を見て笑顔を浮かべると、ベッドに入った。

 疲れていたのか、アリサはすぐに寝息を立て始めた。

 アリサが眠ってしばらくすると、アリサの傍らで寝ていたミャウはそっと起き上がり、足音を立てないようにするっとベッドから降りた。

 「アリサ、すっかり寝ちゃったよ。」
 「そうか。まだ旅に慣れていないから仕方ないな。本当に安全と分かっている場所以外では熟睡しちゃいけないことは、これから教えていくとするか。」
 「じゃあ、いつものように3時間交代だね。」
 「ああ。それじゃ先に寝かせてもらうよ。明日の朝、眠かったら、おぶってってやるから、そのとき寝てていいからな。」
 「うん、お休み、タイロン。」

 タイロンは仮眠をとるためにベッドに入り、ミャウはアリサのところに戻って、眠る姿勢のまま薄目をあけて、じっとしていた。
 夜は更けていった・・・。

 気がつくと、アリサの目の前には闇の中に浮かぶ化け物の姿があった。
 寝室には小さな明かりがついていたはずなのだが、あたりは完全な闇だった。
 タイロンもミャウも、化け物と向き合っている。
 タイロンが化け物に向けて銃を連射したが、化け物はひるむ気配がない。
 化け物の両眼が不気味に光ると、アリサは凄まじい衝撃を受けて吹き飛ばされた。
 飛びかかろうとしたミャウの身体が硬直し、そのまま床に倒れて、必死に動こうともがいている。
 タイロンも、銃を構えたままの姿勢で動けなくなっている。額に青筋を浮かせて、腕を動かそうと必死の形相だ。
 再び化け物の目が光ると、アリサは身体の自由が利かなくなったのを感じた。
 (・・・金縛りだ・・・ミャウもタイロンもこれにかかっているの・・・?)
 タイロンもミャウも、化け物の放つ謎の衝撃によって吹き飛ばされ、もがくのをやめて動かなくなった。
 「タイロン!ミャウ!」
 そう叫んだ直後、衝撃が再びアリサを襲った。視界がみるみる暗くなり、意識が薄れていった・・・
 「・・・タイロン・・・ミャウ・・・」

・・・

 (・・・アリサ・・・大丈夫か・・・しっかりしろ・・・)
 (・・アリサ・・・どうしたの・・アリサ・・・)

 (・・・タイロン・・・ミャウ・・・?)
 アリサの視界に、心配そうにのぞきこむミャウとタイロンの姿がぼんやりと写った。
 「アリサ!おい、大丈夫か?」
 「どうしたの、ねえ、アリサ。」

 「私・・・生きてるの?・・・」
 
 「寝ていたら突然うなされ出して、俺達の名前を叫んだから、ミャウも俺も飛び起きちまったよ。」
 「アリサ、大丈夫?具合悪くない?顔が真っ青だし、汗びっしょりだよ。」

 「夢を見ていたのね・・・。すごく恐ろしい夢だった。私たちが何か闇の中にいる恐ろしい化け物と戦っていて、ものすごく強くて、まったく歯が立たないの。そして、タイロンもミャウも倒されていって、最後には私も・・・」

 「きっとこれからのことが不安だったんだろう。なあに、これからもっと訓練をつんで強くなって、自信が付いてくれば、今度はラ・シークを楽勝で倒す夢を毎晩でも見られるようになるさ。」
 「ミャウがしっぽで枕してあげるから、落ち着いて、もう一回寝よう?ね?」

 「うん・・・ありがとう、ミャウ、タイロン。」
 アリサはミャウを優しくなでた。

 「安心したら、喉が渇いちゃった。」
 「かなり冷や汗をかいてるし、悪い夢で緊張したからだな。」
 「ミャウ、お水くんできてあげる!」

 ミャウは水差しの置いてある居間へと駆け出した。
 「おい、ミャウ、落ち着けよ、お前じゃコップに水をくむのは無理だろう?」
 タイロンも、ミャウの後を追いかけていった。

 「(・・・今は何にも感じないが、確かに、ここは少し変だな。ミャウ)」
 「(うん、何かいやな感じがするね。)」
 「(俺達は旅に慣れているから、何かあったらすぐ逃げられるように、浅い眠りで仮眠をとるのには慣れていたはずだし、俺達の片方は必ず薄目を開けて身体を休めるだけにして警戒するのが習慣だったはずだ。)」
 「(でも、アリサの悲鳴を聞いたとき、ミャウ、熟睡しちゃってた・・・もしかして、タイロンも?)」
 「(ああ。俺もすっかり寝入っちまってた。とにかく、長居は無用だ。紹介状をもらったらすぐに出発しよう)」

 水差しから水をくんでアリサに渡すと、タイロンは自分の部屋へ戻っていった。
 アリサは、ミャウのふさふさのしっぽを枕にして、安心したように眠りについた。

 タイロンもミャウも、その後は横にならず、朝までしっかり目をあけて起きていた。

 翌朝、アリサ達は朝食も断り、総督が朝食を済ませるとすぐに謁見を求め、紹介状を受け取った。
 「ラ・シークを倒して、きっとここへ戻ってくることを信じているぞ。」
 総督の言葉に、アリサはお礼を言って、総督の屋敷を後にした。


<現在の装備>

アリサ:アイアンソード
     ライトスーツ
     レザーシールド

ミャウ:
     棘リスの毛皮


タイロン:チタニウムソード/ニードルガン
      アイアンアーマー
      アイアンシールド
 

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