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小説・評論:孤城忍太郎の世界コミュの16、「鬼貫(おにつら)の『独りごと』」講談社学術文庫556 摂取本(セツシボン)

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 この作品を讀む時に、この音樂を聞きながら鑑賞して下さい。
 これは自作(オリジナル)の

『YAMAHA QY100 Motion1(Mirror) &(Substance) 曲 高秋 美樹彦』

 といふ曲で、YAMAHAの「QY100」で作りました。

映像は伊丹にある、

『柿衞文庫』

へ出かけた時のものです。

 雰圍氣を味はつて戴ければ幸ひですが、ない方が良いといふ讀者は聞かなくても構ひませんので、ご自由にどうぞ。











16、「鬼貫(おにつら)の『独りごと』」講談社学術文庫556 摂取本(セツシボン)
 

 今から二十年ぐらゐ前、梅田の紀伊国屋でこれらの本を纏めて數册ほど購入した。
 この本はその中の一册なのだが、作者の鬼貫(1661-1738)は伊丹(兵庫縣)の人で姓を上嶋(うへじま・別に「上島」とも書くが本人の眞筆と言はれてゐるものには「嶋」とあつたのでそれに從つた)と云ひ、晩年は平泉に改姓したと言はれてゐる。


 彼は二十五歳(貞亨二年・一六八五)で、

 「まことの外に俳諧なし」

 と喝破した。
 それを詳述したのが、この『独りごと』といふ書物であるが、「まこと」については、

 「風雅のまこと」

 と提唱した芭蕉(ばせう・1644-1694)の方が有名であるが、先鞭をつけたのは鬼貫の方であるらしく、元禄期には東の芭蕉に對して、西の鬼貫と言はしめるほどの人物であつた。


 この書物は、發句に關して今でも充分に通用する内容を誇つてをり、初心者ならず、熟達の人にも心得として一讀すべきものと思はれる。
 例へば、

 「新しく作りたる句は、やがてふるくなるべし。只とこしなへに、古くもならず、又新しくもならぬをこそ、能句(よきく)とはいひ侍(はべ)るべくや」

 といふ「不易流行」を説いた文章や、

 「我句(わがく)を面白く作り侍らんより、きくははるかにいたりがたし、と古人の詞(ことば)にも見え侍り。ひたすら修行し侍らん道なるべし」

 と讀めば、その内容の深さも解らうといふものである。


 この中に、『ほど拍子』に就いての章があり、

 「鎌倉の右大將、西行上人に弓馬のみちをたづね給ひし時、馬は大江の千里が月見ればの歌のすがたにて乘りたまへと答へられければ、ほど拍子を心得たまひて、即座に馬の乘りかたをさとり給ひけるとぞ。俳諧にも句のほど拍子は、上手のうえのしわざなるべし」

 といふもので、乘馬の道を究めるには、その際に大江千里(生沒年未詳)の和歌、

   月見れば千々にものこそ悲しけれ
   わが身ひとつの秋にはあらねど

 といひ、更に、

 「細川幽齋(ほそかはいうさい・1534-1610)の『聞書全集』に、
古今、大江千里歌に、月見ればちゞものこその歌、下句秋ならねどもと有るべきを、秋にはあらねどと一字あませる所に、歌のほど拍子あるべきか」

 と述べてゐて、この歌の姿で乘る事を西行が言つたと云ひ、それを聞いて右大將は「ほど拍子」を心得て乘馬を會得(ゑとく)したとの事である。


 右大將とは源頼朝の事であるが、これは近江不忍著『發句拍子論』で述べられたものと相通ずるものがあるやうに思はれ、それに從へば、「ほど拍子」とは、

   C♪♪♪♪♪♪†|
     秋 ならねども

   C♪♪♪♪♪♪♪♪|
     秋 にはあらね ど

 といふ事になるのではないかと考へられる。


 その理由として、

 「秋ならねども」

 といふ七文字による、

   C♪♪♪♪♪♪†|
     秋 ならねども

 この音型の最後の七文字目の「ど」に『四分音符(†)』を與(あた)へてしまふ爲に停滯感が生じ、乘馬には相應(ふさは)しくはない。


 それに比べて、

 「秋にはあらねど」

 と八文字にすると、

   C♪♪♪♪♪♪♪♪|
     秋 には あらね ど

 このやうに總ての言葉に拍子(リズム)が『八分音符(♪)』で間斷なく均等に流れる事によつて、乘馬が上達する助けになるのも肯首(うなづ)けるやうに思はれる。


 俳諧に伊丹派といふものがあると聞く。
 松尾芭蕉(1644-1694)の正風の弟子の廣がりには及ぶべくもないが、上嶋鬼貫を祖とする流れで、今も續いてゐると云ふ。
 伊丹市に「柿衞(かきもり)文庫」といふのがあるが、そこで彼の業績を見る事が出來る。

 斯くの如く、教へられる事の多い書物であつた。


    二〇一〇年霜月二十五日午前三時






17、『古語雑談』 佐竹昭広 岩波新書350「摂取本(セツシボン)」
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コメント(1)

MOTION 1

この曲を主題(テエマ)として色々遊んでゐます。

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