ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

小説・評論:孤城忍太郎の世界コミュの 二十三、『かなづかい入門』を讀んで 第二囘 『攝取本』より

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 この作品を讀む時に、この音樂を聞きながら鑑賞して下さい。
 これは自作(オリジナル)の

 『Motion1絃樂器(Strings)』

 といふ曲で、YAMAHAの「QY100」で作りました。
 映像は鳥取懸にある、

 『三朝温泉』

 へ出かけた時のものです。
 雰圍氣を味はつて戴ければ幸ひですが、ない方が良いといふ讀者は聞かなくても構ひませんので、ご自由にどうぞ。





     二十三、『かなづかい入門』を讀んで 『攝取本』より

     第二囘


 さて、ここまで述べた事は僅か十七頁の間の『はじめに』に當る部分であるが、ここからが、

 『第一章 假名遣以前』

 となつてゐて、文字を持たなかつた日本がどのやうにして漢字を自國のものとして行つたかが述べられてゐる。


 さうしてそれは、

 「卑弥呼や邪馬台国の時代の日本人は、みずからの言語を書き表す固有の文字をまたなかった。だが、大陸との交流によって、漢字という文字を知り、それは日本語をも表記できるということを知り、自分たちもそれに倣った。異民族の文字である漢字を借りるという知恵を得た」

 と述べ、

 「日本語の音と共通する漢字の音をあてるという方法であった。日本語のアを表記するのに「安」や「阿」などをつかい、カを表記するのに「加」や「可」などをつかい、シを表すのに「志」「之」「斯」などをつかう。このばあいも漢字のもっている意味は関係しない。日本語のココロを「許己呂」、カハを「可波」、サクラを「左久良」と表記するごときである」

 と、その流れを傳へてゐる。


 かういふ中國の漢字の音を日本の發する言語と類似する音とを合はせて表記した漢字を眞假名と言ひ、この眞假名を『上代特殊假名遣』といふが、著者は假名遣には、

 『記述假名遣』

 と、

 『規範仮名遣』

 の二種類があるとしてゐる。


 これは筆者も知らなかつたが、この假名遣の違ひは、

 「規則でない仮名遣とは、たとえば「上代特殊仮名遣」「西鶴の仮名遣」「古文書の仮名遣」などというふうにいうときのそれである。これらは、特定の時代や文献や書き手における仮名のつかわれざまを指していう。国語学ではこれを」

 と『記述仮名遣』について述べ、

 「歴史的仮名遣・現代仮名遣のような、規則としてつくられたものを」

 と『規範仮名遣』について語り、これらには嚴然とした區別があると述べ、

 「右の二つをけっしてこんどうしてはいけない。もっとも、記述仮名遣はふつう、過去の文献に見える仮名表記を史的に考察するときの問題、すなわち国語史という学問研究の場で扱われることであって、われわれ自身の書記言語レベルの議論にはなりにくい。だから、普通の仮名遣の発想がもちこまれて、そのために混乱するというようなことは、あまりない。とはいっても、上代特殊仮名遣(上代の真仮名の特殊なつかい分け)などというのを一知半解に聞きかじったものが、得意になってこの用語をつかうと、その場の議論はいっぺんに混乱する」

 とまでいふのである。


 さうして、

 『第二章 生みの親は定家――仮名遣の誕生』

 では次のやうに述べてゐる。

 「たとえば、九世紀における仮名のつかわれ方をさして「歴史的仮名遣」と呼ぶ国語学者がいる。歴史的仮名遣は仮名のつかい方の規範につけられた名称であるから、規範仮名遣のなっかた九世紀の日本人が歴史的仮名遣を念頭において仮名をつかっていたわけではない。この時代の仮名のつかい方(記述仮名遣)をもとにして定めたのが歴史的仮名遣(規範)であるから、結果的に表記が一致するだけの話である。さしたる害がないとはそういうことなのだが、空海や紀貫之の仮名表記をさして歴史的仮名遣といったら、思考の方向としては逆を向いていることになる」

 しかし、生半可な知識かも知れないが私見を述べれば、この意見は一見尤もなやうに思はれるかも知れないが、歴史的假名遣は明治政府によつて制定された假名遣の名稱であるから、それ以前の假名遣はさうは呼ばず、契沖や本居宣長らによつて調査された「古事記」や「日本書紀」、また「萬葉集(まんえふしふ)」の眞假名で表記された「上代特殊仮名遣」といふ可きで、もし九世紀の假名の使はれ方を指して「歴史的假名遣」と呼ぶ國語學者がゐるとしたら、その事の方が噴飯ものである。

 況(ま)して、

 「空海や紀貫之は歴史的仮名遣をつかっていたわけではない」

 といふが如きは、さもさうであるかのやうに誘導する爲の扇動(agitation)以外のなにものでもないやうに思はれる。


                                                續く


     初めからどうぞ

二十三、『かなづかい入門』を讀んで
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=75678956&comm_id=4699373



     續きをどうぞ

二十三、『かなづかい入門』を讀んで 第三囘 「攝取本」より
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=75721789&comm_id=4699373

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

小説・評論:孤城忍太郎の世界 更新情報

小説・評論:孤城忍太郎の世界のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング