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小児風邪対策研究会コミュの風邪症候群に対する免疫

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風邪症候群に対する免疫応答の連続性と収束性

風邪症候群の代表的病原体、ウイルスを中心に概説すると、ウイルスが大量に侵入するか、ウイルスの排泄が遅延すると、くしゃみ、鼻水、咳、下痢、嘔吐などの風邪症状=非特異的免疫応答が、当然ながら、増強します。さらに、増えたウイルスが気道粘膜あるいは消化管粘膜から血液中へ侵入する危険性が高まると、体温上昇、すなわち、発熱します。

自然免疫機構は感染直後から作動し始めます。インターフェロンなどのサイトカインは、感染1日目から上昇して2〜3日目にピークを迎え、感染局所への白血球の遊走や機能活性を制御します。この白血球の免疫応答にも、最終的な特異免疫が獲得されるまで、時間稼ぎとして働く非特異免疫担当細胞が存在します。MHCクラス?抗原と関連して感染細胞を非特異的かつ選択的に処理できるNK細胞がその代表で、感染2日目に活性のピークを迎えます。抗体やキラーTリンパ球が産生される以前から自然免疫によってウイルスは排除されます。さらに、好中球 (多核白血球)も大切です。好中球は一般に、細菌感染症における貪食細胞として知られ、ウイルス感染症における役割は明確ではありませんが、病初期に感染局所への遊走が認められます。

私はウイルス性(無菌性)髄膜炎における髄腔内の炎症過程について臨床研究しましたが、エンテロウイルス性髄膜炎では初期に著明な好中球遊走が観察されます。それまで、この現象は無菌性髄膜炎では初期に好中球遊走が見られることもあると『偶然の現象』として記述されてきましたが、私はそのようには考えません。

エンテロウイルスはエンヴェロープを持たないRNAウイルスのため、細胞性免疫の柱であるキラーT細胞が誘導されません。したがって、エンテロウイルス感染細胞がどのように処理されているのか、という重要な課題が存在し、好中球遊走との関連も推定されます。

細菌性髄膜炎では好中球による貪食作用が大切ながら、好中球の機能亢進や、抗菌剤による大量の細菌処理に伴う過剰な免疫炎症反応が非特異的に無差別に組織傷害を引き起こすことが問題となっていて、ステロイド併用療法などが行われてきました。しかし、エンテロウイルス性髄膜炎では、血液中でも髄腔内でも好中球優位の白血球増多が認められるにも関わらず、神経障害を招くような過剰な免疫炎症反応は認められません。

エンテロウイルス性髄膜炎において初期に遊走してくる好中球は、特異的細胞性免疫であるキラーT細胞が誘導できない免疫系の欠点を補充すべく、偶然ではなく必然に遊走していると思われます。『好中球の適度の機能亢進』によって、非感染細胞よりも修復力の低下した感染細胞が、特異的にではなくて、NK細胞と同様に『非特異的選択的に処理』されていると考えられます。このコントロールされた好中球の遊走と機能亢進にはケモカインや顆粒球コロニー刺激因子などのサイトカインネットワークが関与しています。

http://www.geocities.jp/ygrkt763/asepticmeningitis.html

キラーT細胞が誘導可能な感染症においても、好中球やNK細胞などは「病原体や病原体感染細胞に対する自然免疫応答の連続性の維持」に重要な役割を果たしていると推定されます。

一方、非特異的選択的免疫反応による病原体及び感染細胞に対する制御が行われている間に、特異免疫産生系が急速に活性化されます。先ず、感染したウイルスは抗原提示細胞に取り込まれて消化され、無数の構造蛋白質に分解され、MHC分子と共に細胞表面に提示されます。このうち、ウイルスが細胞に感染するのに必須の構造蛋白が抗原決定基として特異的免疫を誘導します。この際、MHCクラス?とリンクして提示された抗原決定基情報からは、Th1ヘルパー細胞の介助で、ウイルス感染細胞を処理するキラーTリンパ球(特異的細胞性免疫)が誘導され、MHCクラス?とリンクして提示された抗原決定基情報からは、Th2ヘルパー細胞の介助で、フリーウイルスを中和する分泌型IgA抗体とIgG抗体(液性免疫)が誘導されます。この結果、侵入したウイルスに対する二種類の特異免疫が獲得され、フリーのウイルスもウイルス感染細胞も迅速に処理され感染は終焉に至ります。非特異的免疫応答である発熱は、ウイルスの増殖を抑制し、特異免疫産生のプロセスを促進します。

このように、風邪症状は、やたらに出ているわけではなく、体へのウイルスの負荷量を極力減らしながら、ウイルスに対する二種類の特異的免疫が出来るまで時間稼ぎをするために現れています。すなわち、風邪症候群に対する免疫は、風邪症状という非特異免疫を駆使して、ウイルスの侵入を最小限に、ウイルスの排除を最大限にし、気道粘膜や消化管粘膜におけるウイルス負荷を抑制しています。また、同時に、白血球レベルでも、好中球やNK細胞など非特異的免疫担当細胞が選択的感染細胞処理を行っています。このようなマクロ・ミクロの非特異免疫応答により時間稼ぎをしながら、自然免疫から特異免疫へと連続的に進行して、最終的に、分泌型IgA抗体とIgG抗体(液性免疫)とキラーTリンパ球(細胞性免疫)が誘導される特異免疫(能動免疫)の産生過程に収束して終生免疫を獲得します。

ワクチン

病原体や毒素に対して弱毒化という処理を加えて、発病しないで、該当の病原体や毒素に免疫となる処置がワクチン(予防接種)です。既に、麻疹、風疹、水痘、おたふく風邪、ジフテリア、破傷風、百日咳、日本脳炎、ポリオ、結核、Hib菌感染症、肺炎球菌感染症、インフルエンザなど、病原性や病毒性が高い場合や、乳幼児で重篤な合併症や後遺症がある場合、あるいは、胎児感染が問題になる場合など、さらに子宮頸がん発症予防が期待されるHPVワクチン(サーバリックスなどのワクチンが開発され、事前接種で特異免疫を獲得することで、発病を予防したり、あるいは軽症化を図っています。

しかし、このようなワクチンが開発されている病気は極一部で、とりわけ、大部分の風邪症候群ウイルスに対してワクチンは存在しません。およそ200種類以上の風邪症候群は、それぞれ、最低1回ずつ自ら感染を体験して、特異的免疫を獲得して行きます。風邪は引いてはいけないものではなくて、引かなければいけないものです。引かなくなるために引いています。

受動免疫と能動免疫

さて、新生児期には、妊娠終期に母体胎盤で濃縮されたIgG抗体が臍帯経由の移行抗体として血液中に賦与され、さらに母乳経由で消化管粘膜に拡散する分泌型IgA抗体が賦与されます。この結果、母親が経験した風邪症候群ウイルスに対する免疫を含有する受動免疫が血液中及び消化管に獲得されるため、生後半年までは大部分の感染症から守られます。

ここで、免疫系の生体防御機構として、一番に保護しようとしている場所が、気道粘膜ではなく、血液と消化管粘膜である点には重要な示唆があると思われます。続いて、生後半年を過ぎると、受動免疫は消退して、風邪症候群ウイルスと1つ1つ遭遇して自分自身で上述の能動免疫を獲得しなければなりません。実際には小学校中学年(8歳くらい)にはかなりの数の風邪ウイルスを経験して、残りの引かなければならない風邪ウイルスの種類はどんどん減って、風邪を引きにくくなります。

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