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小児風邪対策研究会コミュの主な感染免疫応答の場は消化管粘膜

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ガス交換という生死を担う通路をカバーしている気道粘膜は病原体を含めた異物の侵入や定着を咳反射や去痰機能などの防御反応で、迅速に食い止めていて、原則、無菌環境であり、気道そのものへの病原体侵入を端緒とするウイルス性肺炎は稀です。

むしろ、常在菌を含めて、常に病原体と広い面積で接触し続け、かつ、病原体との接触時間が長引きやすいのは消化管粘膜です。既述のように、新生児が母乳を通じて分泌型IgA抗体が受動免疫として賦与されるのは気道粘膜ではなくて消化管粘膜であるのもこの理由によると考えられます。

胃は、その強力な酸性環境により、大部分の病原体を処理する第一次非特異的免疫担当臓器です。胃を通過して腸に侵入する病原体を効率よく追い出すのは腸の第一次非特異的免疫反応、すなわち下痢です。さらに小腸粘膜は、腸に侵入した病原体に対する粘膜免疫を担う重要な感染免疫担当機関としても大切です。受動免疫として母乳に含まれる分泌型IgA抗体によって消化管粘膜がコーティングされる生後半年以降、消化管粘膜での病原体との免疫応答を通じて能動免疫を獲得します。

小児麻痺の予防接種で有名なポリオワクチンに使用されている3種類のワクチンウイルスはエンヴェロープのないエンテロウイルスのため、胃酸抵抗性です。この性質を利用して経口接種で小腸に到達させてパイエル板で感染免疫反応を誘導してポリオウイルスに対する免疫を獲得させています。

一方、大部分の病原体は胃液によって消化されていますが、一部の病原体は胃を通過して小腸に侵入します。消化管は、元来、栄養物の消化吸収が一義的な役割ですが、適度の免疫負荷となるように、消化管に侵入した病原体の過剰な蓄積を防ぐためには、本来の栄養物の消化吸収の役目を犠牲にして下痢する必要があります。

他の病原体も例外ではありませんが、通常、胃酸抵抗性でなければ、殆どの病原体は小腸に到達しません。しかし、増殖力の高い病原体であれば、わずかでも消化管に到達すれば、急速に増えて、消化管粘膜で免疫応答を引き起こします。このとき、消化管からの病原体排泄が遅延すれば、過剰な病原体増殖を許し、さらに過剰な免疫応答を引き起こします。消化管内に侵入した病原体の負荷量を適正に保ち、迅速に特異免疫を誘導して感染を終焉に導くための時間稼ぎとして、消化管の感染防御反応としていかに下痢が大切かは自明の理です。

病原体排除プロセスの進行の停滞を最も反映する風邪症状が異常な高熱です。さらに消化管への病原体負荷が過剰になると、消化管粘膜や血管内皮細胞から血中へのサイトカインの過剰放出に基づいて、発病2日以内の病初期からサイトカインストームと言われる病態に陥ります。インフルエンザであれば、重症肺炎・脳症を含む重大な組織・臓器障害を引き起こす危険があります。インフルエンザが引き金ですが、ウイルスそのものではなくて、むしろ、過剰な免疫応答で引き起こされていると考えられる病態を、血中に侵入したウイルスを中和するIgG抗体のみを産生する現在の不活化ワクチンやウイルスのみをターゲットにした抗ウイルス剤で防ぐのが難しいことは明らかです。

有力な原因の1つ推定されている、サイトカインストームを沈静化すれば良いわけですが、サイトカインは生理学的にも重要な働きがあり、ただ抑制すれば良いと言うものではありません。また、サイトカイン相互の重要な関係としてPleiotrophy(1つのサイトカインが多様な生理活性を示す)とRedundancy(複数のサイトカインが同様の生理活性を示す)が存在します。すなわち、1つ1つのサイトカインが多種多様なマルチファンクションを示し、また、同様の生理活性を示すサイトカイン同士が協調して働いています。このようにサイトカイン同士の極めて複雑なネットワークが存在するため、特定のサイトカインの制御だけでサイチカインストームをコントロールできるわけではありません。

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