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Bitter & happinessコミュの4 −高1・冬−

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『私ね、高校の時に好きな人がいたの…。初恋の人ね。
その人は、クラスでいつも中心にいて、友達も沢山いて…、女の子からも人気があったの。
私なんて相手にされないって思ってたわ。

でもね、卒業式に自分の気持ちを伝えようって決心して、彼に手紙を書いたの。
……そしたらそれを渡す前にクラスのみんなにバレちゃってね…。

次の日、教室に行ったらひどいことになってた。
黒板に落書きと私が書いた手紙が張り出されていた』

過去の思い出に浸るように先生は遠くを見据えてた。
『それで…、どうなったんですか?』

『…もちろん、彼には振られたよ。私の予定通り、卒業式の後でね。
大体、うまくいくなんて思っていなかったから。
それをすっきりさせるつもりが、最悪のシナリオで私の初恋は終わってしまったわ…』

ヒステリックになっていた私は、半分位しか話を聞けていなかったけど、ここからの話は私の脳裏に強く残ってる。

『山崎さん、いい事ばかりの人生と、辛い事もある人生。どちらがいいかしら?』

『……………。』
答える気にはならなかった。100人に聞いたら、きっと100人がその答えを言うと思ったから。

『人はね、考える力があるからとても難しい生き物だけれど、人生がいい事ばかりだったらきっと、それが幸せだとは感じられないわ。
辛いことがあるから、幸せだと感じられる時もあるんじゃないかしら?
確かに私の高校生活の最後は最低で、今でも悔やまれる。
でも、だからこそ大学で今の彼と知り会えて、私は幸せだって思えたんだと思うのよ』


『…それなら、私はこの先、幸せになれるって言うんですか?』
と睨みを利かせて放った言葉は、その温かな笑顔で砕かれた。

『必ず、あなたは幸せになれるわ。
だからね、今だけが自分の人生と思わないで。』

と、チョコレートを半分片折り割って、残りの銀紙に包まれたそれを私の手に握らせた。

『チョコレートも同じ。苦みがあるから甘みもあるの。甘いだけのチョコなんて、おいしくもなんともないわ。
山崎さんはなんだか私と似ている気がするの。
元気出してね』

と言うと、カリッとチョコレートをかじり、
それじゃっ!
と手を振って廊下へと出て行った。

(勧めといてあんたが食べるのかよ…)
と一人でぶつぶつ言いながらチョコレートを食べてみると
『にがぃ……』

甘みも感じられないビターなチョコレート。
いつしか涙は自然と止まっていた。

先生は私に、人生を教えてくれた。
もし、あの時声をかけてもらっていなかったら、今の私はないかもしれない。

だから今度は私が、先生がそうしてくれたように迷い悩んだ人を救いたくなったんだ。

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