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静かな墓地。コミュの草生す

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萱葺き屋根。

腐りかけた物干し台の手すり。

南側に開けた谷あいの村。

遠くの送電線鉄塔に稲光。

水路に魚が見えた。

ある日見た長い列。

ただ一度だけ見た樽のような柩。

列が止ったところ

毎日泥の中を這い蹲って生業としたところ。

古い桜の木が綺麗な花を咲かせる墓地。

コメント(3)

その田んぼを見渡せるところが村の墓地。

「何処へ遊びに行ってた?墓参り行くよ」と、かかさ。

ひよこ「ソウ山。ギンヤンマがいたよ」

火の点いた線香の束を握って尋ねた。

「かかさ。これはどこんち(のお墓なの)?」

「それはね・・」かかさ。

「これは?あれは?」

「ほれ、お線香あげなさい」と、かかさ。

よくある形の自分の家のお墓のすぐ前。
すこし、土が盛り上がって漬物石のような石が二個。

線香刺しにしたイタドリの茎の中で線香が数本よれよれになっていた。

「かかさ、ここにも線香あげますね」

「ああ・・」

十数件しかない村にそれ以上の数の墓。
獣道のような道を登ると綺麗に手入れされた田んぼ

ひよこ「かかさわーい(嬉しい顔)ソウ山にはギンヤンマがいたよ、
ずいぶん奥のほうまで田んぼがあったよ」



「お役人さんが気が付かない田んぼも有った方が良かったかもしれないね・・。
み〜んな年貢で持ってゆかれてしまうんだからね・・・。」

ひよこ「ふ〜〜〜ん・・そうかぁ」

僅かな面積を惜しむように、畦には大豆や小豆が植えられ
土が流れるほどの斜面に這うカボチャや地這いウリ・・。

樽のような桶で運ばれていったおじさんは、
あんな綺麗なところを自分の最後の風景に決めたのか・・・。

薄暗くなり涼しい風に揺れる稲の上を、ギンヤンマ。
わーい(嬉しい顔)「ととさ、かかさ。行ってまいります。
    真面目で立派なオトナになるのです・・ひよこ」

江戸に働きに出た。

奉公先の番頭どんに言われて役所からもらった「人別帳」の写しを持って・・。

見てはいけない物を見た・・。

おらには兄様は一人しかいないよ。
おらは三男・・・?ひよこ
兄様もなんだか様子が変だよ。

兄様はおらと違って男前の大きな男だもんな〜〜ひよこ
ひよこ「なんだかしらね。どうでもいいや」と思いつつ
忠臣蔵のハカマのように大きなお下がりばかり着ていた日々を思った。

ろくでなしなのでパンダみたいな顔で、道端にのびていたりー(長音記号2)
気を失ったりしているうちに見かけは子供じゃなくなったみたい・・。


三面張りになった水路のたんぼ。
村を通らなくとも墓に行ける道が切られた。
枕元でハゲタカやリカオンの顔で言い争いをしていた親戚と言う名の他人は
直接墓に行けるようになった。記憶も人々もみんな膨張する宇宙のように希薄になって行くようだ。

おらはもう聞けない・・
「かかさ、これは何処の墓だかや?」・・・、

おらの知らなかった兄様は目の前で動く兄様とは兄弟なのかな・・。
おらの知らない兄様の墓は此処には無い。

「かかさ・・トンボが減ったね・・。」

「ああ・・」

おらのお墓の前で泣いてくれる人もきっと無い。

おらには墓さえ無い。海に向かうんだ。

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