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アイヌ料理コミュの調味料を使おう

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アイヌの人々が広く使う味覚の単語は、甘い、塩っぱい、酸っぱい、からい、苦い、渋いの六つです。
それに、うまい、まずい、味がよい、味が悪い、口になじむ、喉にさわるなどの表現が付け加えられます。

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甘み ― 鳥獣・魚類の脂が中心


特別な甘味料があるわけではない。また、いたやかえでなどの甘い樹液を採取して煮詰めてもほとんどそのまま飲用にしてしまうので、長期的な保存や活用はありえない。

アイヌの人々にとって甘みというのは、砂糖や樹液の甘さや花の蜜ではなく、動物、植物の各種それぞれが持っている特有の甘さを指している。同じ「甘い」でもほのかな甘口である。
甘みを増やそうとしたり、まろやかさを出そうというときの調味料には油脂を使う。
油脂は植物から採取することはなく、すべてが動物である。

陸獣では、羆、蝦夷鹿、狸、犬。
海獣では、アザラシ、トド、イルカ、シャチ、クジラ、マンボウ、ネズミザメ、チカザメ、オナガザメ、アオザメ、シュモクザメ、ホンザメ、エゾアブラザメ、カスザメ、ネコザメ、青海亀、赤海亀。
鳥類では、白鳥、しぎ。
魚類では、イワシ、カタクチイワシ、ニシン、スケトウダラなどである。

ほかに雑魚や雑多な動物を煮立ててしぼり汁をつくり、そこに浮いた脂を使用することもある。
明治になってからは、牛、馬、豚、鶏の油脂もとっている。
油脂の香りや舌触り、そして甘さはそれぞれ異なるので、調理法によって複数の味覚を味わうことができる。
その他の甘み


特殊な甘みを出すものに珪藻土(けいそうど)がある。

一見、白粘土のように見えるが、地層から露出しているものを掘り出して天日で乾燥したあとよく見ると、小さなあわ粒のようなものの固まりになっている。
これは珪藻(藻類の一綱。植物のプランクトン)の死骸であるが、両手で揉むだけで微粉状になり、舌にのせるとサクサクとして香ばしいような甘みがある。喉越しもよく、おもに和え物の甘みつけに使われる。

粉は小麦粉の代わりにしたりゆるめの汁をきつくしたいときなどに用いられる。
塩味 ― 海水を使って


昭和に入る前から固形の塩も入手できるようになっていたが、長い間、塩分はおもに海水を使用していた。
海水を煮詰めても固形の塩はできないので、汁物などはもっぱら海水でつくる。塩味が強ければ水で調整する。

また、山で短期間暮らすときは、日ざしの強い夏の潮だまりの海水や、それを煮詰めた濃縮の海水に、わらやすげの束か、それで編み上げたものを何度も浸しては干して持っていく。
山ではそれを煮立てた鍋の中で湯くぐし(湯通し)して塩味をつける。

山での暮らしが長期になる場合は、容器に炉灰と水を入れてかき混ぜ、そろ上澄みを用いることが多い。真夏に干し上げた昆布を少量持参することもある。
昆布に海水の塩分が付着しているからだが、荷物になるので多量に持っていけないし、何よりも山の神は海のものを嫌うという信仰に基づき、海のものは出来るだけ持ち込まない。
昆布を持参するのは浜に近い山小屋までということになる。

基本的に陸海獣の肝臓や心臓の刺身、軟骨や筋などのたたきを食べ、それらの新鮮な血液を服用しているので、必要な塩分量は摂取されている。
酸味 ― 植物を使って


酢を知る以前はもっぱら植物がもつ爽やかな酸味を味わっていた。おもな植物は、すいば、おおいたどり、うらじろいたどり、すかんこ(ひめすいば)、山ぶどう、ちょうせんごみし(赤ぶどう)などがある。


すいば
春に若芽を摘んで水洗いし、細かく刻んだあとに刃物でさらにたたくと、納豆のように糸をひく。これを熱いひえ飯とともに食べると、特有の酸味が春であることを伝えてくれる。

おおいたどり、うらじろいたどり
若芽だけを摘んで少し固めに茹でておひたしにする。また先端から一尺程の長さの茎をとってきて、葉の付け根を下方に引っ張って外皮をむき、小口から細かく刻んで水と一緒に煮たてる。汁が半分くらいになったら鍋をおろし、すりこぎでよく潰してから再び火にかけて水分をとばす。淡い緑色がさめた色合いになったら脂を少量入れ、酸味をやわらげる。どろりとしたものをそのまま食べる。

すかんこ
家のまわりや道端にたくさん生えているので、子供たちはおやつがわりにとって食べる。また、すいば、いたどりなどと取り混ぜて生のまま食べ、酸味を味わうこともある。

ちょうせんごみし、やまぶどう
ちょうせんごみしの赤い実や、山ぶどうの完熟しきらない実には酸味があるので実を潰して汁を搾り、焼き魚や澱粉を含む根茎類を茹でたものにかけて食べる。山ぶどうの若葉やつるにも同じような酸味があるので、不要な部分を取り除いて水洗いし、そのままかあるいは細かく刻んで食べる。いたどりとおなじように煮たてることもある。
からみ


南蛮(唐辛子)なような辛みを持つものは無いが、山椒、鼻にツンとくる辛さのアイヌワサビ、オランダカラシを薬味としてよく用いる。

山椒
山椒は秋の終わり頃、密生する房の果皮が深い緑から褪せた色になってくる。この頃房と葉を採取して別々に干し上げ、それぞれ容器に入れて保存する。人によっては干して実や葉を手のひらでもんで調合したりもする。刺身につけて食べたり、汁の風味として利用することが多い。

アイヌワサビ
根を微塵切りのようになるまで刃物でたたく。おもに刺身の薬味として用いる。

オランダカラシ
雪が溶け始める頃、春一番に食べられる野草として待たれる。手の切れるような冷たい水の中から摘み取り、水をはった容器に放して食卓に出す。そのまま水を切りながら少しずつ口に運ぶ。

ひめざぜんそう
同じ辛みでも舌に突き刺すようなものに、ひめざぜんそうがある。根茎に毒を含んでいると言われるが、浦河地方では春先に最も多く採れる植物である。
ひめざぜんそうを食べることを人間に教えたのは羆の神様だとされている。春先に羆が食べることに由来するのだろうが、羆の子を飼育する村の人々は、飼料としてもたくさん採ってくる。
また生えている場所によっては、辛みが無いばかりか甘みの強いものもある。それらは採った場所を覚えておき、毎年春になると湯がいて水でさらしておひたしのようにして食べる。
ひめざぜんそうの多くは、湯がいて干して保存しておく。干しあがりが早く、よくしなって折れたり切れたりすることはない。食べるときは水にもどし、一寸くらいに粗く切って鍋に入れ、ひめざぜんそうがかぶるくらいの水を入れて煮立てる。生のものを使うときは水洗いして同様にする。煮立てるうちに煮汁は深緑色になる。このとき葉を食べても固くて噛み切れず、突き刺すような刺激が口の中に残るばかりか間もなく舌の感覚を失い、ときにはろれつも回らなくなることがある。煮汁を途中で変えても同じ結果になる。ところが煮汁が完全に無くなるまで煮詰め、そこに脂をさしヘラで混ぜるようにして炒めると、光沢が出て泥臭いにおいも消え、香ばしい脂の匂いが食欲をそそる。
さっと刺すような刺激はあるが、脂の甘みと歯触りがなんとも言えずうまい。ピリッとする感覚は春の季節を感じさせる。
またひめざぜんそうは駆虫薬とも言われ、嫌いな人でも一碗だけは丸のみにしてでも食べる。
苦み


苦いものといえば薬用にする熊の胆がある。陸海獣や魚類の胆は苦く誰もが好むものではない。
またキハダの実を初めて食べた人は決まって「苦い」という。しかしアイヌの人々にとっては、「苦い」という範にもなりうるが「ほろ苦い」という表現のほうが妥当である。キハダはミカン科なので、実を口の中で潰すと確かにミカンの皮に似た芳香もする。結実したころは大豆くらいの大きさで、表皮はスダチや青ミカンのような色をしている。生育地によって、あるいは一本ごとの樹によって味は異なる。同じ房の中でも完熟、未熟があり、苦いもの、甘いもの、薄いものなど様々である。良質の実がなる樹を覚えておき、人々は毎年秋になるとその実をとりに行く。
キハダの実は、多くは和え物に用いられるが、風邪や喘息、喉の荒れに効くので、じっくり煮詰めて保存しておき、そのときどきに舐めたり、お湯で溶いて服用する。
渋み


渋みという味覚の名はあっても誰もが好む物ではない。例えばエゾノリュウキンカの生の古根をかじると、口のほかに喉やその近くに渋みを感じ、すぐに吐き出してしまう。うがいをしても二、三時間は口中の渋みは抜けないし、抜けてもほかの味を十分に感じることができない。そんなときは脂を舐めたり脱脂した脂肪層を噛んだり、味のいい干し昆布を食べたりする。
薬味


香辛料は色々な料理に添えらる。季節を追うものと通年使えるものとがある。

季節を追うものに早春のアイヌワサビ、オランダカラシなどの草の芽、
春から晩夏にかけては、えぞおおばせきゅう、セリ、三つ葉、ハマボウフウ、イブキボウフウ、マルバトウキなどのセリ科の植物、
早春から晩秋にかけては、行者ニンニク、ノビル、蝦夷ネギ、アサツキなどのネギ類、
芳しい香りをもつハッカ草、なぎなたこうじゅがその代表的なものである。

人によっては、ここにあげなかった植物の実や茎葉、根や樹皮を好みに応じて用いる。

通年の薬味としては、陸海獣や魚類の脂、それに珪藻土、植物では山椒がある。

ほかに広く用いられるものとしては、早春の干しワカメを粉砕または粉末にしたもの、遠火で焼いたり、油で揚げて砕いたり粉末にした厚身のだし昆布、カワカジカ、イワナ、オショロコマ、ヤマメ、ししゃも、ちか、ワカサギ、イトヨ、エゾトミヨ、どじょう、フナなどの川でとれる魚の焼き干しを臼でひいて粉末にしたものを、好みで色々な料理にふりかけにすることもある。

ほかに白身の魚を多く使い、干し筋子や、スケトウダラ、マダラ、ウラタナゴ、ソイなどをよく用いる。

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