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ブリーチ小説置き場コミュの新隊長誕生(市丸ギン・松本乱菊)

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「ねえ、乱菊。

 知ってる?

 新しい三番隊の隊長、あの一年で卒業した神童の市丸君だって。」

友人から聞いた。

三番隊の隊長に、幼馴染のギンが就くことになるなんて。

異例の早さで副隊長になったときですら、遠く感じていたのに・・・

ますます遠くなる。

「ふ〜ん。
 
 興味ないわ。隊長なんて・・・」

友達にはそんな事を言ってのけた。

正直それからの言葉のやりとりは覚えていない。

あたしは、どんな顔をしていたんだろう・・・・



気がつくと、いつもの居酒屋で一人で飲んでいた。

「乱菊ちゃん、今日は一人なんて珍しいねえ。」

お店の人が何かを察したかのように、優しくお酒を注いでくれる。

「まあ、たまにはね♪」

軽い笑顔で店員に言う。

「ゆっくりしていってね」

そう言って店員さんが気を利かせて去っていく。

その気配りも、今は嬉しかった。

変に話しかけられるよりも嬉しかった。

心の中で、ありがとう。そう言っていた。



「隊長・・・か・・・」

何よ。

一人でいつも先に行って・・・

あたしはいつも置いてけぼり。

ううん・・・

邪魔なだけなのかもしれない。

一緒に居たのは、ただの夢なのかもしれない。

考えすぎて、頭が壊れそう・・・



「幸福だと思っていた時は、

 もう・・戻らない・・・・か・・・・・」

そう悟ると無償に寂しく感じた。

副隊長になっただけでも、遠く感じた。

天性の才能があるのはわかっていた。

昔から何でも普通以上にこなしていた。

あたしがドジなだけなのかもしれないけど・・・

それに、あれだけ天才少年だの騒がれていたし・・・・

やっぱりあたしみたいな平凡な女と一緒に居たくなかっただけかな・・

「何考えてるんだろう・・あたしは・・・・」

手に額を乗せる。

飲みたいようで、飲みたくない・・・・

複雑な感情。

「おばちゃん、おかんじょー」

そう言って店を出る。




外はいつの間にか真っ暗になっていた。

早く帰らないと・・・

夜になると、たまに一人で居るのが怖くなる。

いつも思い出すのは、

夜、隣に居た幼馴染の姿は無くて、

残っていたのは足跡だけだったってこと。

涙なんか出ない。

感情なんて・・・ない。



考え事をしながら歩くと碌なことはない。

ドンっ!!

っと人にぶつかる。

「あっ・・!

 ご・・ごめんなさいっ!!

 怪我は無いですか?」

そう言って当たった人の服装に目をやる。

白い羽織・・・

隊長??

「!!

 大変申し訳ありませんでしたっ!!」

そう言って、慌てて深く礼をした。



「いや。ええよ。」

なんかどっかで聞いたことある声。

「っ!?!?」

慌てて頭を上げると、そこに居たのは成長した幼馴染の姿。

「ほんま、気ぃつけんと。

 怪我すんで。」

一瞬だけ目を遣って、でもすぐ目を逸らしてしまう。

何故か見れない幼馴染の顔。

「申し訳ありません。

 い・・・市丸隊長」

軽く頭を下げて走り去ろうとする自分。

ただ逃げたいだけ。

この場から。



「・・っな!?!?」

不意に腕を掴まれる。

「たまには、ゆっくり話くらいしてくれもええんちゃうの?

 ら・・・・・

 十一番隊隊員松本サン。」
(十番隊の副隊長の前に十一番隊に居た可能性が高いので、書いただけで信憑性は無いです!!ご了承下さい)
思わず幼馴染の顔を見る。

暗いけどもよくわかる。

二人で居る懐かしい感覚。

何を考えてるのかわからない笑み。

「別に話する事なんてないですから・・

 離していただけますか・・・?
 
 市丸隊長・・・」

そして、出てしまうのは皮肉な言葉。

傷つけてしまうのかもしれない。

けど、これ以上自分が傷つくのが・・・

怖いんだろうな・・

妙に刺のあるような言い方しか出来なかった。
「君に無うても、ボクはあるんや。」

逃げようとする腕の力が抜ける。

幼馴染も手を離してくれる。



この空間、ああ・・・ダメだ・・・

胸の高鳴りがおさまらない。

「ボクな、三番隊の隊長になってん。」

「はい。存じております。」

「何?他に言う事は無いん?」

幼馴染が顔を近づけてあたしの顔をじっと見る。

心なしか、少々困ったような顔にも感じた。

当然避けるように顔を背ける。

「別に・・・・」

「おめでとうくらい言うてくれるんかと思ったのに・・・

 残念やわぁ」

おめでとう・・・?

そっか。

言ってなかった・・・・わね・・・?

緊張が一瞬でほぐれてしまった。

腕を組んで首をかしげる幼馴染。

少し困った顔をしてるのが、昔みたいで懐かしく可愛く思えた。



「新任おめでとうございます。市丸隊長。」

深く礼をして言う。

「・・・・・・・・・・・・・・・

 ちゃうちゃう!!

 今だけ、昔みたいに呼んでぇや。

 それに、礼も無しや。」

悪戯っぽく少年のように笑う青年。

「・・・・・・・・・・」

何を今更・・・・

別にあたしじゃなくてもいいじゃない・・

なんなのよ一体・・・

言葉にならなかった。



何分くらいだろうか、よく覚えていないけど、

無言でずっと、二人とも立っていた。

何を考えているのかわからない。

あんたの心がわからないの・・・

「なぁ、乱菊。
 
 別に隊長になったからって威張ってるわけちゃうよ?

 上に行けば色々あんのや。」

突然口を開き、意味ありげな発言。

久々に聞く、幼馴染の言う、あたしの名前。

懐かしくもあり・・・・・・

そして、寂しくもあり・・・・・



あたしはその場から逃げ出したくて、

無言で走り去ろうとする。

「あ、そや。

 酒はほどほどにしぃや、乱菊。

 ほな・・。」

深追いをしてくることはなく、遠のいていく気配。

立ち止まり、慌てて振り返る。



新しい隊長の羽織をヒラヒラと靡かせながら去っていく幼馴染。

「ギン・・・・・」

自然と零れ落ちる名前。

「おめでとう・・・」

ギンの後ろ姿はどんどん遠ざかる。

彼は振り返る事はなかった。

どうして素直にいえないのだろう。

ただ、一言・・・・

言えばいいだけだったのに・・・

後悔なんてしたくはない。

でも、其のときの行動が正しかったなんてわからない。

後からそう思うだけ。

「酒はほどほどに・・・・・か・・・

 あたしには無理よ。

 ギン・・・」

そう言いながら帰路についた。

「だって、酒は孤独も悲しみも流してくれるから・・・

 たとえ一時でも・・・・」




(おしまい)




コメント(1)

本誌でなんかドキドキムードなんで書いてみましたが、なんか久々に書くと変な感じでもあり、なんかお恥ずかしい・・・

なんだかんだで切なくて、すれ違いの二人になってしまいましたが・・・w

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