科学的な根拠に基づいた筋トレコミュのBCAAは筋肉の量を増やす

筋肉を増やすに欠かせないのはBCAAである。この記事でBCAAとその効果について詳述していく。

BCAAは分岐鎖アミノ酸という意味で、ロイシンとイソロイシンとバリンといった必須アミノ酸（体内で合成できないアミノ酸）を意味する。BCAAは英語でBranched-Chain Amino Acidsと呼ばれている。BCAAはコルチソルのレベルを抑える作用を持つため、筋肉を作るうえで非常に重要なサプリメントである。

■　BCAAは次の効果を持つ

1. 筋肉の成長を促す
2. トレーニング時のエネルギーレベルを高める
3. トレーニング後のコルチソルレベルを下げるだけではなく、回復も促進する働きがある

BCAAは他のサプリメントと同じように摂取するタイミングがとても重要である。適当にとっても効果が薄れてくるか全く現れないことがあるので、ここでBCAAの摂取タイミングについて詳述していく。

BCAA の効果が最大限に現れるために、１日に４回とることが一番理想的だと言われており、その中でもトレーニング後に摂取するのがもっと重要なタイミングである。トレーニング後のプロテインシェイクにBCAAを混ぜて飲んで見てください。運動後のプロテインと同じようにBCAAも筋肉内のたんぱく質の合成過程を促進し、筋肉の成長を促すわけである。または、運動後にBCAAを摂取することで、コルチソルのレベルが上昇するのも防ぐことができる。コルチソルは運動後や空腹時に上昇し、筋肉の分解を進めるホルモンである。さらに、このコルチソルというホルモンは筋肉の成長を促すテストステロンの働きをも妨げると言われている。

トレーニング直後にBCAAを摂取するもうひとつの利点としては、BCAAには筋肉痛を低下させる作用があるということが研究を通じて明らかになっている。したがって、BCAAは筋肉の分解を防ぐだけではなく、トレーニングの数時間後あるいは翌日に現れる遅発性筋肉痛も予防する効果を持っていることになる。

さて、二番目に大事なBCAA摂取タイミングはトレーニングを開始する直前である。トレーニング直前にBCAAを摂取することによって、トレーニングに必要なエネルギーを貯蔵することができるため、さらにエネルギッシュかつ高強度なトレーニングが可能となる。誰でも知っているように筋力あるいは筋肉を増やすには高重量でのトレーニングが必要であるが、トレーニングを開始する時にエネルギーが不足していれば、全力を尽くしたトレーニングにはならない。そこで、 BCAAをトレーニング直前に少量取れば、トレーニングに必要なエネルギーが貯蔵される。

次に大事なタイミングは起床後である。寝ている間も多少エネルギーが利用され、最後の食事から８時間以上も経過しているから、体はエネルギーを得る目的で筋肉を分解していく。換言すると、筋内のたんぱく質がエネルギー源として使用されていく。日々激しくトレーニングをしているにも関わらず、筋肉がつかない理由はここにある。なので、大変なトレーニングで得た筋肉を異化作用（筋肉の分解）からできるだけ守るには、起床後は必ずBCAAをとるようにしましょう。

それでは、BCAAを摂取する４番目のタイミングは寝る直前である。先ほど起床後にBCAAが必要であることについて説明してきたが、寝る直前に摂取するのも朝目が覚めたときに摂取するのと同じくらい大事なタイミングである。寝る直前にBCAAをとることによって、寝ている間も筋肉に必要なアミノ酸が提供されていくから異化作用（筋肉の分解）を恐れる必要はなくなる。実は人が休養中つまり寝ているときに筋肉が作られていくので、そのときに必要な栄養素がなければ、筋肉も増えていかない。

■BCAAの摂取量

国際スポーツ栄養学協会の年次総会（２００６年）で発表された研究によれば、BCAAを７５０ミリグラム１日４回摂取するだけでもかなりの効果があることがわかっている。したがって、BCAAを７５０ミリグラムという非常に少ない量を摂取するだけでもかなりの効果が期待できるが、本格的に筋肉を増大させるためには、もう少し大目つまり５グラムくらいが一番ベストだといわれている。BCAAの一回あたりの摂取量を問題なく１０グラム程度に増やしてもさらに効果がUPするが、それ以上だとBCAAの効率が落ちる。つまり、体がそれをうまく吸収しきれないので、無駄になってしまう。

サプリメントとして初めてBCAAを飲む方は、いきなり５グラムの量ではなく、最初は１−２グラムで胃をならすことをお勧めする。胃が慣れてきたら１回当たり５グラムのBCAAを飲むようにしてください。

本記事の序文ではBCAAはロイシン、イソロシシンとバリンといった３つのアミノ酸を含むサプリメントであるということ書いた。この３つの必須アミノ酸（体内で合成できないアミノ酸）は筋肉の成長を促す役割を担うアミノ酸であるが、その中でも重要なのはロイシンである。BCAA（分岐鎖アミノ酸）を含む商品やサプリメントの栄養成分表を見れば、ロイシンという必須アミノ酸のほうがイソロシンやバリンに比べて２倍となっている場合が多い。このロイシンというアミノ酸は筋細胞内のたんぱく質の合成過程をスタートさせる引き金の役割を持つため、ほかの２つのアミノ酸（イソロイシンやバリン）よりも量が多くしてある。もちろん、すべての商品は必ずしもこういう割合となっているとは限らないが、もし効果のあるBCAAを買いたければロイシンとイソロイシンやバリンの割合を確認したほうが無難でしょう。

■BCAAの形態

BCAA は２種類ある。パウダーと調剤がある。パウダーは１日に５グラムを４回摂取するに便利だと思う。またどこかに旅行する際に、パウダーよりも調剤のほうが便利かもしれない。調剤はそのまま口の中に入れて溶かすだけでいいし、しかもパウダーの形態だとさまざまな味も最近発売されている。

残念ながら、サプリメントはまだかなり高いため、１日に４回もBCAAを摂取することが難しいという人が多いと思う。もちろんBCAAを４回も摂取できれば幸いだが、２回を摂取することでもかなりいい効果が得られる。あるいは、トレーニングした日に４回摂取し、トレーニングがない日に２回摂取することでも、かなりの節約になる。

BCAAにそれほどお金をかけずに、少し節約したい場合は、下記のとおり摂取してみてください。

■　トレーニングがある日

1. 起床後 → WheyプロテインあるいはBCAA
2. 運動直前 → BCAA
3. 運動直後 → WheyプロテインとBCAA
4. 就寝前 → BCAA

■　トレーニングがない日　

1. 起床後 → Wheyプロテイン
2. 運動直前 → BCAA
3. 運動直後 → WheyプロテインとBCAA
4. 就寝前 → Casein（カゼインはWheyと違って吸収の速度が遅いので、寝る前に摂取することで、寝ている間に筋肉を作るために必要なアミノ酸を補給できる）

※ 日本ではあまりカゼインだけというサプリメントは僕は見かけたことはない。カゼインはWheyと違ってかなりまずい（味がほとんどない）からだと思う。５０％Wheyと５０％カゼイン（ゴールドジム社製）なら売られており、味と溶け具合も抜群である。ただし、欧米ではカゼインだけというサプリメントもかなり普及している。僕はフィンランド製のカゼインをよく飲む。