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あざらしの談話室2コミュのFreedom-Fighter 26-5

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「…ったく、なんでこんなタイミングで遭遇しちゃうわけ?」

アカネ、フェリス、アリシアとミルフィーは商業施設の立体駐車場に潜んでいた。そこには他にも10数人の民間人と、消息不明だったOCRG8番隊もいた。

「まだ痛みますか?」

ミルフィーは重症の8番隊隊員を手当てしていた。

「うん…昔はもっとひどい負傷していたから、それと比べたらまだましよ」

「彩夏、昔からむちゃくちゃだったから…」

フェリスはそばに腰掛けた。手当てを受けていたのは他ならぬ8番隊隊長の川添彩夏だった。8番隊も空襲の際にBとEの全員(10名)が戦死、他は重症者は出ていなかった。が、現在は川添彩夏はじめ彼女の班とC、D班の2名ずつ、計6名しか残っていない。残りの12名は…

「これで全員だ…」

マリミーナとルッカが兵士の遺体を運んできた。そこに12名が揃った。

「あなたたちも、少し休んだら?」

マリミーナは一緒に遺体の回収を行ったD班の2名に声をかけた。その2名は礼を述べてその場に腰掛けた。ルッカも2人に並んで座る。マリミーナは彼女専用のカスタムライフルを構えて歩哨に。

「2人はいくつなの?」

ルッカが気をまぎらわせる意味で質問を投げ掛けた。2人ともOCNUの学生、しかも3年の男子と1年の女子…競泳部の先輩後輩だった。

「名前、聞いてもいい?」

「自分はキタガワ コウスケです。で、こいつはフルカワ アイ…」

ルッカは、その名前をしっかり記憶しようと努めた。戦場での、彼女の息抜きのようなものだ。実際ルッカは共に戦った戦友の名前を一番よく覚えていた。

「ということは、ミルフィーは見たことあるの?」

キタガワもフルカワも、知っていた。以前大学で小さなイベントがあり、よさこいTEAM『White-Wing』の演舞を見たらしい。

「確か…ハスティーさんがビデオカメラで撮影してましたよ」

それを聞いてルッカは思わず吹き出した。あまりに想像できなかったからか、はたまた似合わない、とでも言いたかったのか…。

「でも、皮肉すぎるよね」

周辺に睨みを効かせていたマリミーナが呟いた。そのまま3人を見ずに


戦場で、再会するってのは…ね


「マリミーナさんはどちらの出身ですか?」

フルカワの質問に、マリミーナはためらうことなくリジェルバルタの元空軍パイロットだと答えた。アリシアと共に大学での自動車無差別テロ以降までリジェルバルタ軍兵士だった、そう聞いて2人ともさらに驚いていた。

「2人からしたら…私たちは信用できるか微妙かもね」

そう言うとマリミーナは2人を見た。

「何を信じて、何を疑うかは…自分が信用できる見方で判断したらいいと思う」

「ふふ。素直に信じてって言わないところは、アリシアも一緒ね」

ルッカは笑って武器を手に立ち上がった。そのまま歩哨に立つ。マリミーナはお礼を言ってヘルメットを取った。

「なんで…あいつらは…同じ大学生なのに…」

キタガワが突然吐き捨てるように呟いた。マリミーナもルッカも、黙っていた。4人の前に横たわる仲間達は、空襲で死んだわけではない。空襲後の戦闘で死亡した。しかも、その戦闘相手は以前OCNUに襲撃を加えたあの者達だった。

空襲が終わった後…8番隊は現在地に近い場所にいた。そこで逃げ遅れた民間人の一団を発見、安全な場所へ護送していた。その時に突然背後から数人の武装した若い男らに攻撃されたのだ。

即座にAとC班が民間人を庇い、副隊長のB班とD、E班が向かいの建物の中と外から反撃に転じる。若い男らはB、D、E班と激しい銃撃戦を繰り広げた。しかし各班共にパニックに陥っていて、中には飛び出して明後日の方角に銃撃をする始末。次々と倒れていく光景は地獄絵図だった。

そこに銃撃音を聞いた臨時第25特務隊が現れ、マリミーナ、アリシアが得意の突撃フォーメーションを展開、アカネ、フェリスの援護射撃で押し返し現在に至る。

「残存は退却しただろうけど…どうしたもんかな」

一方で立体駐車場の上層階に退避するメンバーらは、今後の予定を話し合っていた。OCNUに後退するのは決まっているが、保護した民間人、遺体をどうやって運んだらいいのか… 。結論が出ないまま1時間。屋上で周辺警戒に当たっていた8番隊のメンバーが慌てて降りてきた。


エルバート軍がこっちに…


すぐさまアカネ、フェリス、アリシアが戦闘体勢に移る。ミルフィーは民間人を落ち着かせる。

「ミーナ、ルッカ、エルバート軍が近付いてる」

アカネが向かいの建物に潜む2人に呼び掛けた。2人もキタガワ、フルカワを伴いアカネらが見える場所まで出てきた。

「そこからは見えるの?」

マリミーナが尋ねる。すると双眼鏡で観察していたフェリスが…


先頭の装甲車にエンジェルマーク


耳を疑った。エルバート軍でエンジェルマークを掲げるのは、かつての『STAR-ANGELS』だけだ。しかし同部隊はエルバート軍でもトップシークレット扱い。ただ、逆に掲げる部隊があっても不思議ではないのだが…。

装甲車はやがて停車。そして中から人が降りてきた。


あれは…!


アカネはインカムに、見えた人物の名前を告げた。


リュージェ=サマーランド


ルッカはそれを聞いて、ライフルを構えたまま装甲車に向けて歩きだした。慌ててマリミーナが後につく

リュージェ…第282後方輸送隊の隊長。かつて『STAR-ANGELS』の護送も務めたこともある部隊だ

ルッカはさらに装甲車に近寄った。車両から降りたその人物は、持っていたライフルを装甲車に置いてルッカに近寄った。

「ルッカ…生きてたのね」

「あんたこそ、まだエンジェルマーク掲げてるのね」

2人は抱き合った。再会の抱擁だ。それを見てアカネ、フェリスも下に降りた。マリミーナは念のため周囲警戒体勢に、アリシアもマリミーナに続き、ミルフィーは民間人とその場に留まった。

「アカネ、フェリス…よかった…」

リュージェは2人とも抱擁。そして現状の説明を受けた。

「そういうことね…ロビンソン閣下が逃亡して、反逆者として扱われた。でも私はそうじゃないと信じてたよ」

リュージェは部下に周辺警戒を指示した。

「民間人と戦死者を大学に搬送するのね。それならうちの装甲車と装甲輸送車を使えばいい」

リュージェは仲間のよしみからか、協力を快諾した。さらにかつての仲間の近況を聞いてきたのだ。

「OCNUにハスティーがいるよ。あと、フリッツとサレンスも向かってるはず」

「サレンスにもフリッツにも会いたいな」

リュージェはハスティーらより5つも年上だ。中でもハスティーとサレンスとは仲がよかった。さらにフリッツには異常な程の愛情を持っていた。

「フリッツは…仲のいい女の子いるんだよ? あ、ハスティーにもね?」

アカネのそれに、リュージェはかなり驚いていた。そして一刻の猶予もない、とOCNUに向かうことを提案したのだ。リュージェの個人的都合は横に置いといていいとして、民間人や戦死者をいつまでもここに置いておくのも…ということで、すぐさま移送の準備がなされた。

リュージェの隊…エルバート軍海兵隊第282後方輸送隊は元々ロビンソンが指揮していた第3海兵遠征軍の所属だった。が、第3海兵遠征軍は解体され、新設された第31海兵遠征軍に所属する。このときはたまたま街中を警戒中だった。

「あまり大きな声では言えないんだけど…オーガン基地は壊滅的な損害を受けたの」

移動中、リュージェの装甲輸送車に乗り込んだアカネは衝撃的な話を聞かされた。防空飛行隊は戦力の約80%を失い、さらに基地施設にも重大なダメージを受けていた。もはやオーガンシティーにまともな守備力は残っていなかった。

「リジェに攻め込まれたら…」

アカネの言葉にリュージェは頭を振った。それ以上会話は続かなかった。

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