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あざらしの談話室2コミュのFreedom-Fighter 23-5

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その笑顔は、すぐに険しい顔つきに変わった。部隊の将官クラスがやられたのだ。士気に少なからず影響が出るのは避けられない。それだけではない、敵の動きが予想以上に素早かった。うかうかしていたら、一気に潰されてしまう。


すぐに行かないと…


「ハスティー隊長!」

呼ばれたハスティーは、呼び主を見る。ムスタングがいた。それだけではない、同時にここへやってきたOCRGの各隊長がいた。


我々に命令を


ハスティーは驚いた。本来ならOCRGは1番隊隊長にして総司令官の滋賀の部隊であり、APURGの直属部隊ではない。つまり指揮系統には入らないのだ。

「我々、キャンプベルベットに駐屯するOCRG部隊は、最上級部隊の指揮下にあります」

「つまり、僕の指揮下にあると言いたいんだね?」

ハスティーはムスタングの目を見て尋ねた。力強い返事が返ってきた。現状、滋賀の1番隊、境川の2番隊、金沢の3番隊はオーガンシティーとメイバルンの境界地域に、8番隊、9番隊、中澤の10番隊はすでにメイバルンからオーガンシティーに潜入完了、鳴滝の7番隊も前日にキャンプベルベットからオーガンシティーに潜入している。そうなれば手っ取り早く指示を出せる場所はおのずと…。


では、各隊は出撃準備にかかってください


先の状況は読みきれていない、しかしここにいつまでも留まる理由はない。ハスティーはOCRG部隊にオーガンシティー行きを、さらには301戦術海兵師団に第一種戦闘配備に就かせた。そのまま各隊長を作戦室に呼び出した。

「リジェの狙いかもしれないよ?」

そう彼に言ったのは、先に作戦室に入っていたリェスターだった。レジスタンスの存在をリジェルバルタが知らないわけがない、もし作戦が筒抜けになっていたら…

「もし作戦が筒抜けになっていたのなら、悪いが身内に内通者がいる可能性を疑わなければならない」

自慢ではないが、APURGの情報管理はかなり高いレベルだ。それでも漏れる情報がゼロではない。もちろんハスティーもそこらへんはわかっていた。

「301部隊は、第一種戦闘配備のまま、待機してもらいます」

「待って、OCRGの護衛をするべきではないの?」

リェスターは慌てて反論した。が、ハスティーはそれも予想していた。

「確かに僕は彼らに出撃準備を命じました。が、誰かいますか? 僕が準備でき次第出撃せよ、と聞いた人は…」

リェスターは、口を閉じた。確かにハスティーは出撃準備を命令したが、出撃命令は出していない。準備ができ次第出撃命令を出すのか…それも答えは×だった。


潜入ルートは、鳴滝隊と違います


直後に、通信班から連絡が入った。ついさっきの砲撃の詳細だった。すぐに地図に着弾地点を書き入れる。そして「やっぱりな」と小さく頷いた。

「さっきの砲撃は、市街地を砲撃したように見せかけたもので、実際市街地には一発の砲弾も落ちてません。リジェルバルタの砲撃隊は、恐らく市民の避難地を砲撃したんです」

しかし、砲撃は市民に対する警戒警報が発令される前に始まっていた。避難する市民を攻撃するには早すぎるタイミングだ。

「逃げ道を潰した、と?」

ムスタングの言葉に、ハスティーは頷いた。

「心理的な動揺を誘ったんでしょう。それでオーガンシティーが白旗を振れば…」

オーガンシティーの市民は、いざとなればトサノコクとの国境に近い山地の麓にある市営の避難所に向かうことになっていた。それをハスティーは大学時代に聞かされていたのだ。


これから避難する場所が砲撃されていたら、市民は容易に避難所を利用できないでしょう



そうなれば、オーガンシティー市民は退路を封じられてしまう。もっとも、市民の半数はすでに四方に避難している。

「精神的な動揺を誘い、自分達に有利なように進める…と?」

ムスタングの問いに、ハスティーは静かに頷いた。

「リジェも、本気で戦争したら、すぐに息が上がることくらいわかってるはず。なら、短期間でメドをつけなくてはならない…そう考えるはずです」

ハスティーの予想は的を得ていた。が、窮地に立たされると、前の大戦のようなことになりかねない。

「いずれにせよ、ここは早いうちに出た方がいいでしょう」

その後、具体的な作戦が立案された。暗くなり始める薄暮から日付が変わるまでの間に、順次キャンプベルベットを出撃したのちオーガンシティーとトサノコクの境界地域にベースキャンプを張る。

キャンプベルベットにはリェスター率いる第301戦術海兵師団と、APURGの司令部隊が残った。

OCRGの部隊がオーガンシティーに配置完了して3日はなにも起こらなかった。4日目の昼過ぎ、ハスティーの元に遠くボエラニアから暗号電文(あざらし暗号)が届いた。すぐに彼は残っていたマリミーナ、アリシア、ミルフィー、アカネ、フェリス、ルッカを呼んだ。

「みんなには、これからオーガンシティーに行ってもらう」

単に出撃命令だった

「先輩は…どうするんですか?」

ミルフィーはアリソンについて訊ねた。出撃メンバーには名を連ねていた。が、ハスティーの独断で、静養中のキックスのそばに置いておくことにしたのだ。みんな、キックスのことが心配だったが、メンタルを痛めたアリソンのほうが気がかりだった。

「そうだね…リェスターさんもいるし、心配ないか」

ルッカの言葉にみんな頷いたが…

「リェスターさんも出撃してもらう」

女性陣の顔色が変わった。さらに続くハスティーの言葉に絶句することになるのだが…。

「ここには新たにAPURGの海兵遠征軍がやってくる」

驚いた。301部隊とは別に編成が進んでいたとは…。その海兵遠征軍とは、実質的なAPURGの作戦部隊のすべてといってもよかった。


第401海兵遠征軍団…


司令官はアルフレッド=ロビンソン。すべてというより、本隊そのものだ。

「総司令部がボエラニアからここに移るの?」

アカネの推測通りだった。ロビンソンは、かねてから「いずれ司令部を最前線に限りなく近付ける」と言っていた。当初はダガイを第一候補に挙げていたが、リスクが高まったため、第二候補であるベルベットに司令部を置く決断に至った。もっともベルベットも流れ弾が届いて安全な場所ではなくなっているのだが…。

「APURGはどれだけの規模なのかよくわからないね」

フェリスの呟きに、一同深く頷き、それを見たハスティーは苦笑いをするのが精一杯だった。

この海兵遠征軍団は大半が元エルバート海兵隊で占められていた。しかも当初はボエラニアを攻略するための部隊として編成されたのだ。それを事前に察知していたロビンソンは、SSBA-501スタードルフィンを旗艦とする潜水戦隊でエルバート海軍の輸送船を包囲、護衛する水上戦闘艦の足を奪い降伏させた…という。

「…話術に関してはエルバート1うまいからなぁ」

事情を知る数少ない人物、ミリアル=ハスティーは小さく笑った。そして、あの男が一緒にやってくる…ということも知っていた。しかし今となっては情報ひとつがよくも悪くも影響を及ぼす。ただでさえスパイの疑いがあるから…。

翌日からベルベットはたいそう賑やかになった。マリミーナ、アリシア、ミルフィー、アカネ、フェリス、ルッカは臨時独立第24遊撃隊(APURG第24特務遊撃隊『Devil Hant Angels』の直属部隊扱い)とし、リーダーにアカネを指名した。そして第401海兵遠征軍団が到着するまで第1戦隊直属とし、体制が整い次第オーガンシティーに向かわせる。

APURGの活動が活発になればなるほど、リジェルバルタの動きも活発になる。恐らくはリジェルバルタとしてAPURGが侵攻の障害になりつつあると、判断されたのだろう。それはオーガンシティーへの注意を逸らせることに関しては成功ではあるが、ベルベットに拠点を置いてる以上、トサノコクに対する危険が増大することを意味している。トサノコクにしては、再び戦火に巻き込まれるのではないかという懸念もある。いずれにせよトサノコクにしたら『穏やかな話』ではない。

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