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あざらしの談話室2コミュのFreedom-Fighter 26-3

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一団が住宅地に入った時、ハスティーのすぐそばの壁に銃撃。ムスタングの指示で散開、全員が物陰に退避した。進行方向右上からであることはすぐにわかった。ツインサクラメントが銃撃元の一軒家に近寄る。次いでルッカがライトを付けて玄関に。フェリスとアカネはライフルを手にルッカの援護にまわる。その時だった…ハスティーとミルフィーが隠れるすぐそばの一軒家、その二階から何かが落ちてきたのだ…


手榴弾だ!


慌ててミルフィーが離れる。ハスティーはそれを掴み思いっきり向かいの一軒家の二階…銃撃があった部屋に投げ込んだ。爆発と共に悲鳴が聞こえた。何かに引火したのか、大きな爆発と共に部屋中が炎に包まれた。しばらくして二階から1人が火だるまで落下。フェリス、アカネ、ルッカはその家から離れる。その向かいの部屋から激しい銃撃…しかしハスティーらは死角に入っていたため、攻撃が来ることはなかった。フェリス、ルッカ、アカネが門塀に隠れて反撃…偵察班も玄関から侵入した。銃撃音が響き渡る。撃ち合いになってるようだ。

「残る4番隊は全周警戒継続!ツインサクラメントは我に続け」

ハスティーが戦闘モードで偵察班の後に続いた。ミルフィーとツインサクラメントもハスティーに続く。

「偵察班は玄関へ!」

すぐに3人が出てきた。が、残り2人は足と腕を撃たれて動けないと。二階からの銃撃音に紛れてうめき声が聞こえる。

「わかった、君たちはミルフィーと共に援護を、ぼくとツインサクラメントで詰める」

そう指示すると、左耳の上についてるヘッドライトをつけた。ツインサクラメントも同様に動く。

「シーライオン1よりエンジェル3、サンドイッチシュート、レディ」

「エンジェル3、ラジャー」

シーライオン1は、ハスティーのコード。エンジェル3は、アカネの第82特殊攻撃隊『STAR-ANGELS』時代のコードだ。インカムでの会話を終えるとライフルを持ち直す。

「懐かしいね、エンジェル3って」

ルッカが呟く。フェリスも向かいの部屋を睨みながら「そうだね」

「あたしがエンジェル4、フェリスは6」

ちなみにエンジェル1はサレンス、エンジェル2はメンフィス、エンジェル5はコトレア、エンジェル7はマール、エンジェル8はアイリスだ。

「DHAのコード、エンジェルを引き継ぐのかなぁ」

フェリスの疑問。現時点では、第24特務隊のコードはエンジェルを引き継ぐ予定だ。しかし、マール、アイリス、コトレアの番号をどうするのか…。

ハスティー、アリシア、マリミーナの順で階段を静かに上がる。ミルフィーが下から階段の先を照らす。姿が見えたらすぐ撃てるように、最後尾のマリミーナが引き金に指をかける。

「…さっきから、撃ってこないね」

外で控えているメンバーが気にし始めた次の瞬間…二階部分が大きな爆発と共に炎が上がった。すぐに全員が建物の外に出てきた。どうやら籠城していた敵は追い込まれて自爆したようだ。

「PMUの中でも過激派に分類される組織だ」

少し離れた場所で腰を下ろしたハスティーが呟いた。PMUと一言で言っても、リジェルバルタのような国単位のものから、ゲリラのような少数単位のものまで多岐にわたる。もっともリジェルバルタの中で生まれた思想ゆえ、リジェルバルタ=PMUが定説になっている。

「大学襲撃事件の時に、聞こえたんだ…」

よさこい練習場で聞いた叫び声だ。

「下っ端がぁ!不穏分子に拘束されやがって!」

「我々に捕虜は存在しないのだ!」

「敵に捕まるは即、死あるのみ!!」

今思い出しても腹立たしい、そんな感じだった。

「あと15分くらいかな」

りょうすけが飲み物を持ってきた。それを受けとるハスティー。

「なにもなければね…」

そう言うと彼は地図に目を落とした。真剣な眼差しで地図と意見交換といったところか…。しかし地図とにらめっこしたところでなにもわからない。前に進むしかないのだが…。

「301Aより連絡、6番隊に甚大な被害を確認。現在生存者をOCNUに護送中」

ハスティーは舌打ちして立ち上がった。

「前進する。すべてに構ってられない、OCNUに直行する!」

焦りがあった。無理もない。全員がハスティーに続いて移動を始めた。幸いにも襲撃も受けずOCNUの裏門から中に入ることができた。


「STUDENT TOWER に拠点を確保、各階の見張らしいい場所から全周警戒」

ハスティーら第一戦隊はあの練習場に入った。ここでしばらく過ごすことになる。部屋は襲撃事件の時から変わっていない。

「301から追加報告は?」

ハスティーが後から到着した通信小隊の隊員に尋ねる。ユグンファ イノグチ少尉率いる6番隊は、総員28名中18名が直撃弾で死亡、6名が負傷したという。

「死亡した隊員のほとんどは焼死です」

ハスティーの目が隊員を睨む。通信隊員も一瞬震えるが…

「爆弾が空中で爆発し、火炎が降り注ぎ、隠れていたビルが一瞬のうちに…」

「…それって、ナパームじゃん」

アリシアが低いトーンで呟く。ナパーム弾とは、焼夷弾の一種で、ゼリー状の油脂を使った爆弾だ。着弾と同時に充填されてるゼリー状の薬剤が信管が作動し爆発、その炎で発火、かなりの高温で広範囲を焼き尽くす。薬剤自体が例えるなら頑固な油汚れになるため、なかなかとれない。ゆえに水をかけただけでは消火はできないやっかいなもの。

「近くにいる者も、火炎が酸素を奪ってしまう。酸欠やCO中毒になる…人を殺すための爆弾だよ」

マリミーナがミルフィーに分かりやすく説明する。当然彼女は口を押さえて黙りこんでしまう。しかしその後の301A部隊の報告には、他のメンバーでさえ言葉を失うほどのものとなる。

「301コマンドより通信…生存者4名1及び負傷者を護送する」

「リェスターさんも一緒かい?」

「到着次第ハスティー隊長の元に向かうとのことです」

「なら、生存者と負傷者も一緒に連れてくるように伝えてください」

ハスティーは、ソファーに横になった。

「懐かしい景色ですね」

ミルフィーが近くに座った。アリシアとメランコリーもやってきた。

「それがハスティーの学生時代?」

間違っても学生時代常にこの体勢ではない。


「私は高校出てから入隊したから、大学生活を体験してみたかったんだよね」

ちなみにアンリエッタもそうらしい。

「あの時は、楽しかったな…」

ハスティーはソファーに座りなおし、背後のカーテンを開ける。暗闇にところどころ炎と、照らし出される黒煙。

「まだあれから1年しか経ってないんだよな」

「じゃあミルフィーと付き合いだしてから1年くらい?」

すかさずアリシアがツッコミを入れた。対象者の顔も、赤く染まってしまった…。そうなってしまってはアリシアの独壇場。根掘り葉掘り聞き出そうとした瞬間、練習場にリェスターが入ってきた。

「ずいぶん寛いでるね?」

「あぁ、すみません…」

ハスティーも思わず立ち上がってしまった。

「いや、いいのよ…思い出の場所なんでしょ? 浸っていられるなら、浸っていた方がいいわよ」

リェスターはその場に座り込み、カーペット敷きの床に大の字に寝転がった。そして一言「落ち着くわ〜」

「…少佐、落ち着いたら、状況を聞かせてもらえますか?」

「それには及ばないわ」

リェスターがそう返したとき、入口に衛生兵に肩を貸してもらいなんとか歩ける状態のイノグチ少尉がやってきた。

「イノグチ少尉をこっちに座らせて!」

メランコリーが衛生兵に指示する。イノグチ少尉に続き、6番隊の生存者、負傷者が次々と入ってきた。最後にマリミーナ、フェリス、アカネ、ルッカが入ってきた。

「重傷者6名…うち3名は重度のやけど。後方搬送の要あり」

フェリスが通信隊員と話している。そして搬送方法を検討してる時、ハスティーとリェスターは手当てを受けるイノグチ少尉に詳細な状況を説明してもらっていた。ミルフィーとアカネは衛生兵の手伝い、フェリスとルッカは8番隊の援護に出るべく準備中、ツインサクラメントは、ハスティーの指示をムスタングに伝達していた。

「作戦継続は厳しいかもしれないね…」

6番隊でまともに動けるのは4名のみ。負傷者のうち3名は後送が決まり、残る3名は動けるものの、最前線には出られない。

「まだなにもできてないのに…すみません」

イノグチ少尉は平謝りだ。しかし6番隊について彼らに非はない。言い方は悪いが、不運だったのだ。

「思い出すのも辛いかもしれないが…報告はしないといけない」

わかりました…イノグチ少尉はそういって、一部始終を話し始めた。


「各班は小休止だ、休めるときに休んでおけ」

6番隊はオーガンシティー中央駅のすぐ南側、商社が入っているビルに拠点を築いた。ビルは4階建てでそこまで高い建物ではなかった。D班に屋上から全周警戒、E班には周辺索敵を指示、時間交代で休憩することにした。

「隊長、リジェルバルタは本当に攻めてくるんですかい?」

イノグチの前にA班の隊員らがやってきた。なんでも元暴走族で、生きる意味を見いだすために参加したらしい。

「わからない、でも戦闘になったらすばやく住民を保護しなければならないよ」

イノグチは、さっきから嫌な予感がしていた。やけに外が静かなのだ。

「D班より緊急! 複数の爆音!」

イノグチと談笑していた隊員が窓際に向かう。すでに遠くに火の玉のようなものが落下していた。

「なんすかあれ!」

驚きの声が上がる…落下した先には大きな火炎が上がっていた。

「リジェルバルタの空襲だ!」

誰かが叫んだ。一気に動揺が広がる。班長が口々に落ち着くよう言い始めたその時だった…大きな爆発音がした。至近。感覚的に頭上だった。

おい、上っ!

窓から上半身を乗り出した隊員が叫んだ。次の瞬間、そいつの身体が火だるまになった。もがく…そのまま下に落下していった。一瞬の出来事だった。

「全員窓から離れろ!」

火の粉…いや、火の玉が降り注いだ。一部が窓を突き破り室内に入ってきた。逃げ遅れた者に引火する…すぐに水などで消化するも、全く効果がない。引火した火は瞬く間に全身に行き渡り、火だるまになった者は悲鳴を上げながら暴れるもやがて動かなくなった。

「屋上のD班を呼べ!ここから退避する!」

すぐに3人が屋上に上がる…しかしすぐに帰ってきた。


屋上は火の海です…


チッ、イノグチは舌打ちした。すでに7人が戦死、残るは索敵に出ている隊員を除く19名。急いで外に出ようとするが、つまづいて転倒。さらに6人が直撃弾で吹き飛んだ。ほとんどが壁に叩きつけられて即死だった。

「さっきから何分も経ってないっすよ?! なのにもう…」

そう言ったはさっきのA班の隊員だ。イノグチ以下12名は拠点としていたビルから離れた。しかし直後に直撃弾でそのA班の隊員も焼け死んだ。これで28名中14名…半分が死んだ。

「緊急信号を打ってくれ。我敵空襲にて半数戦死、6名負傷」

通信機を持つ隊員が、作業にかかる。イノグチは周りを見渡す…数が合わない。2人姿見えないのだ。自分のそばには通信隊員と2人いるはずだ。負傷した隊員が3人、それぞれ壁にもたれている。負傷兵もあと3人いたはずだ…置いてきてしまったのか。そう考えたとき、索敵に出ていたE班が担架で2人運んできた。

「隊長、遅くなりました」

「いや、大丈夫だ…連れてきてくれたのか、ありがとう」

イノグチはE班に礼を言う。

「…他の仲間は、やられたのですか」

辺りを見回した隊員は、寂しそうにそう呟いた。すまない、イノグチは詫びた。すると隊員は…

「戦争です、仕方ないです」

後からさらに1人を運んできた。ひどい火傷だ…見るに耐えない状況だった。

「うちの隊には28人いた…でも、14人が死んで、6人が負傷した。まともに動けるのは6人…2人は消息不明だ」

空襲はまだ続いていた。時々強い風が吹き火の粉が飛んでくる…。イノグチはさらに離れるよう指示を出した。その時頭上で爆発が起きた。

「まずい!」

担架で2人はその場から運び出せた。自力で負傷した隊員も2人は逃げ出せた。しかし逃げ遅れた2人が火だるまになった…もがき助けを求めて這いつくばったが、すぐに絶命してしまった。イノグチも右足に軽い火傷を負ってしまった。通信隊員も機材を持って逃げ出す際に転倒、軽い怪我を負った。16名死亡、6人負傷。無傷のE班と負傷兵は、着弾を避けて移動を始めた。途中黒焦げになった者、窒息死した者…まさに地獄絵図そのものだった。オーガンシティー中央駅に程近い場所で捜索に出ていた301A中隊と合流する…。行方不明の2名はC中隊が焼死体を発見した。

「そうか、わかった。6番隊はただいまをもってAPURG第一戦隊に編入、イノグチ少尉以下負傷兵については後送、或いは第一戦隊拠点にて加療とします」

「では、そのように伝達します」

ハスティーは通信隊員を制止した。自ら連絡するといい、通信機を貸してもらった。

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