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あざらしの談話室2コミュのFreedom-Fighter 26-4

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「閣下、第一戦隊長より交信です」

ちょうどロビンソンは仮眠から目覚めたところだった。通信士からインカムを手渡される。

「ハスティーか、どうだそっちは」

「6番隊は、28名中18名戦死、イノグチ少尉を含む6名が負傷です。なおうち3名は後送の要あり。残りの4名は第一戦隊付としました」

「なるほど。フェリスから後送の件は聞いてる。今そっちにシェードルを送った」

「装甲輸送車…ですか。了解しました」

「滋賀さんにはオレから伝えておこう、君は今のうちに休んでおけ」

「はい…」

「元気がないな、やはり久々の実戦はきついか」

ハスティーは少し黙った。正確には周りを見渡したのだ。臨時第24遊撃隊は出撃前の最終ミーティングをしている。リェスターは奥で仮眠をとっていた。


できれば…慣れたくないです


「そうだろうな…しかし、もっと残酷な現実を受け入れなければならない時が必ず来る。その覚悟はしておかなければならない」

わかってるつもりです…ハスティーはそう答えた。


君は、昔とは違って大切なものがある…護り続けるためにも、死んではならない


「親父…言われなくてもわかってるよ」

ロビンソンとの会話が終わり、臨時第24遊撃隊を見送りしたあと…ハスティーは練習場の屋根によじ登った。あちこちから炎が上がり、煙が上がり…しかし空爆は終わったからか、サイレンが響くくらいで静かなものだった。

「まさか…オーガンシティーが燃えるなんて」

ハスティーには、ショックでならなかった。周りを見渡して…以降言葉を発しなくなった。しばらく街並みを眺めていたが、やがて練習場に戻りソファーに横になった。

ハスティーがソファーに横になって2時間もすると外がじわじわと明るくなりだした。そしてオーガンシティーの実態がはっきりしてきた。

「どうやらオーガン基地にも激しい攻撃があったみたいだ…」

オーガンシティーとメイバルンとのほぼ中間地点の山あいに、OCRGの1〜3番隊と、APURGの第14特務隊の第三、第四戦隊、第24特務隊が駐留していた。

「6番隊はほぼ全滅だと…」

滋賀について歩く境川は、トーンを落とした。6番隊の知らせは少し前にロビンソンからもたらされた。滋賀はひどくショックを受けたらしい。

「今は、ハスティー君に任せてる。しかし、いずれはうちで預かろうと思ってるんだけどね」

現時点で8番隊の動向はわかっていない。昨夜の空爆で甚大な被害が出たのは間違いないようだ。現時点でAPURG第6海兵軍第301戦術海兵師団が確認に向かっている。

「亮平にはいつでも出られるよう待機させてるけど…どうする?」

「ここからは遠い。それなら、中澤の10番隊が近い。それにあそこには久斗が率いる戦車隊もいる」

実際ロビンソンは滋賀に10番隊と戦車隊をOCNUに回せないか聞いていた。OCNUに一番近い場所にいるのが10番隊なのだ。

「しかし心許ない」

昨夜の空爆の心理的影響は計り知れない。詳細はすべて届いていないものの、他の隊には動揺が広がっているらしい。

「6番隊の件は、口外しない方がいいかもしれないね」

境川の言葉に滋賀は静かに頷いた。


随分深刻な顔してますね?


ベンチにフリッツが座っていた。

「フリッツ君か…ちょうどいい
、隣いいかな?」

どうぞ、フリッツは笑顔で場所をあけた。境川は作戦会議のためその場を離れた。

「6番隊の件は…ひどいもんですね」

フリッツが先に口を開いた。もはや主要メンバーには周知の事実である。滋賀は6番隊の隊員がほとんど戦闘未経験、当初は3番隊所属で先日のダガイでの戦いで傷付いたメンバーも少なくないという。

「そうだったんですか…そうだ、8番隊の動向は?」

滋賀は首を横に振った。8番隊は26名で、うち18名が女性隊員だ。それも比較的若い年齢層だとか。

「ぼくとサレンスも街に入るよ」

しばらくの沈黙の後、フリッツはそう言った。実のところAPURG隊は第14特務隊、24特務隊をOCNUに集結させる指令が出ていたのだ。ロビンソンがなにやら考えているようだが…。

「まだ未確認ではあるんですが…オーガンシティーの防衛力がかなり削がれてるみたいです」

そう言うと彼は立ち上がった。滋賀もその話は少し前にロビンソンから聞かされていた。もしかしたら本格的に防衛戦闘を始めなければならないかもしれない、と。

「勿論、そんなことをしたら僕らでさえ命を落とします。だから、親父さんは色々考えてるみたいなんですが」

苦笑い。滋賀は笑った。

フリッツ、サレンス、メンフィス、カサネの4人は乗り捨てられた車でOCNUに向かった。ラプターはその日の夜に金沢率いる3番隊と共に市街地に入った。その数時間前…オーガンシティーではAPURG第6海兵軍第301戦術海兵師団とPMU過激派との間で戦闘が始まっていた。

よく訓練されたPMU過激派は約80名、対する301戦術海兵師団は8番隊捜索に出ていたC中隊と、たまたま近くにいたOCRG10番隊、合わせても50名に届くか否かの規模。すでに10番隊の4名、301C中隊の6名が戦死していた。極めて劣勢…せめてもの救いは、立てこもる建物が非常に頑丈だということだ。

「無線も使えない…一体どうしたら」

10番隊を率いる中澤流衣准尉…すでに彼女は気が狂う寸前だった。隊のメンバーは半数が戦闘恐怖症になってしまい、さらに数人が負傷…まともに動けるのはそう多くない。

「流衣、いいかな?」

中澤の元にやってきたのは、神埼千世…10番隊の中でも最年少、15歳の少女だ。しかししっかりしていて、射撃の腕もよくB班班長を任されている。

「CとDはもう機能しない…10番隊はひとつにまとまるべきだ」

神埼の進言に中澤は腰掛けてため息をついた。現状10番隊のAとBの班(合わせて10名)に被害はないが…。

「D班は3名戦死、班長以下2名負傷、C班は班長以下3名戦闘恐怖症、2名負傷…E班は班長が戦死、2名戦闘恐怖症か」

実質戦えるのはAB両班の10名、E班の2名のみだ。定員は25名。損耗率は50を越える。道を挟んで向かいには第301戦術海兵師団C中隊が展開しているが…。

「周とは連絡取れないの?」

中澤は首を横に振った。10番隊には別に久斗 周(ひさと あまね)が指揮する戦車隊がある。3両のサンダーボルト(1両につき4名)で編成された部隊だが、それは今中澤らからちょっと離れたところにいた。崩壊したビルに道を塞がれ迂回中だったのだ。

「どうしよう…これじゃあちょっときつい」

迂回しながら進んでいたのだが、瓦礫の山に行く手を阻まれてしまった。久斗は頭を抱えてしまった。サンダーボルトの主砲でなんとか吹き飛ばすこともできるが、弾薬量がそこまでゆとりある状況ではなかった。万が一弾薬が尽きてしまえば、いくら高性能な戦車もただの鉄屑でしかない。

「久斗隊長、土浦さんが…」

キャタピラを点検していた操縦士が、瓦礫の山をよじ登る少女を見つけた。10番隊の土浦 涼だった。久斗は戦車から降り土浦の元へ…。

「本隊が…やばい…」

「流衣になにかあったの!?」

土浦は10番隊の被害状況を伝えた。10番隊はもはやまともに戦える戦力ではなかった。後退するにも301C中隊共に身動きの取れない状態だ。むやみやたらに助けにはいけない。

「やはり瓦礫を吹き飛ばすしかない…」

久斗は全車両に射撃準備を指示した。瓦礫の山から距離を取り…合図と共に一斉射撃。大きな爆発音と共に瓦礫が四方八方に飛び散った。

「全車前進!」

久斗座乗の戦車を先頭に一列縦隊で動き出した。さらにフォーメーションデルタで射撃しつつ一気に10番隊、301C中隊の近くまで進んだ。そして両隊と敵陣の射線上に止まり、潜んでいる建物に自由射撃を開始した。

「流衣さん、今のうちに!」

土浦の叫びに中澤は部下に戦車を盾に後退を指示した。301C中隊も同様に後退を開始した。後退が完了したのを見計らい久斗隊も後退射撃、なんとか全滅は避けられた。

「涼が来なかったら、みんなやられてたかもしれない」

中澤は土浦を褒め称えた。ほどなくして301C中隊隊長のトム=リーエス大尉が10番隊を訪問、活躍に感謝した。さすがに普段は寡黙な土浦もみんなから誉められて照れ笑いした。

「中澤隊長、我々は一度OCNUまで後退せよと指令が届いている」

リーエスは中澤にベルベットから届いた命令を伝えた。合わせて6番隊が全滅に近い損害を被ったこと、8番隊が未だに消息不明であることも伝えた。

「彩夏が…?」

中澤も久斗も8番隊の川添彩夏をよく知っていた。久斗は自分達も8番隊捜索に出るべきだと主張した。リーエスは久斗の気持ちを酌みつつも、久斗の戦車隊は我々を護衛する任務が課せられていること、8番隊捜索には臨時第25特務隊がその任に就いていると言った。それでも食い下がる久斗が一歩前に出たとき、リーエスの後ろに姿を表した乗用車に目を丸くして、すぐに土浦の後ろに隠れた。

「フリッツさん!」

土浦の明るい声。車から降りてきたのはフリッツ、カサネ、メンフィスと…

「サレンスじゃないか、何年ぶりだ」

リーエスと握手するサレンス。実はリーエスは元エルバート海兵隊、しかも『STAR-ANGELS』の支援隊隊長をしていた。彼もまたエルバートの体質に嫌気がさして退役、しばらくは自身の好きな絵描きをしていたが、ロビンソンの強い求めに応じて再び戦場に帰ってきた。サレンスからすれば尊敬の対象だ。

「大丈夫かい?」

フリッツが土浦の元に歩み寄る。そして背後で顔を青くしてる久斗と目が合った。


あぁ、なるほどね


以前中澤がしてくれた、サレンスと久斗のエピソードを思い出したのだ。幸いまだサレンスは気付いていないみたいで、久斗はこそこそと自分の戦車に引きこもってしまった。

「涼さんが呼びに行ってくれてなかったら、今頃私たちは全滅でした」

「そっか、いい仕事したんだね」

神崎とカサネが楽しく話をしている。それを少し離れた場所で見ていたメンフィスが、ふと空を見上げた。そこには…

「あれは…」

咄嗟に散開退避を叫んだ。すぐに連続した爆発音が響く。全隊すぐに近くの建物に退避した。

「なんでこんな白昼に戦闘機が!?」

メンフィスが見たのは、リジェルバルタ軍の戦闘機だった。爆発音は方角的にオーガン基地だ。まさかと思った。しかしすぐに通信が入り、そのまさかが現実になった。


オーガン基地に空爆、ただちに全隊は退避行動に移れ


ベルベットからの指令だった。フリッツはそばにいた301C中隊の通信手に無線を借りた。

「24TS4、25DA、301C及びOC10と共にOCNUに退避する」

フリッツはサレンス、中澤、リーエスにサインを送る。首を縦に下ろす。フリッツを先頭に総員がOCNUに移動を開始した。ちょうど同じ頃臨時第25特務隊にも一時後退の指示が出ていた。しかし彼女らにはすぐに指示に従えない理由があった…。

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