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あざらしの談話室2コミュのFreedom-Fighter 26-2

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その日の夜…

ある意味で一番恐れていた事態が起きてしまった。APURGもOCRGもまったく予想していなかったわけではない。だが、予想より遥かに早かった。

「オーガンシティーに航空機複数接近!」

キャンプベルベットに一時的に配備されていた対空レーダーが、リジェルバルタ領を越える航空機の集団を探知した。すぐさま潜入各隊に連絡がまわる。それからすぐに…

「6番、8番隊展開地点付近に着弾、空爆です!」

レーダー監視員から一報が入る。ロビンソンの顔色が明らかに変わった。リジェルバルタ軍による夜間空爆だ。しかもオーガンシティーに対する徹底的な空爆作戦が決行されたのだ。エルバート軍もあらゆる砲台による迎撃に出るが、ほとんど効果がなく。逆にそれがリジェルバルタ側にバレ…レーダー誘導による攻撃で破壊される。事前によく練られた作戦だった。

市内のあちこちから着弾による閃光が見えた。街並みが闇夜に照らし出される…4番隊のベースキャンプから燃え上がる炎が確認できた。りょうすけもせいごも、それをただ見ているしかなかった。

「4番隊総員出撃用意! 班長の指示で市内に移動せよ!」

伝達班が各班を回って指示をだしている。その最中、ムスタングはハスティーと打ち合わせを行っていた。

「えぇ、少数による班行動で、ムスタング大尉にはこの辺りに展開してもらいたい」

「OCNUですか…確かに籠城するにはいいかもしれません。でも、防衛は至難の技ですよ」

「わかってます。なので、あとから10番隊と戦車班を合流させます」

時々風を切って落下する音が聞こえる。そして閃光と共に爆発音。あそこでは何が起きているのか…怖くて震えるAPURGの女子大生隊員がいた。

「ミルフィー、大丈夫!?」

木陰に座り込み、怖さに震えるミルフィーを見つけたマリミーナが駆け寄る。続いてアリシア、ルッカ、アカネ、フェリスもやってきた。

「隊長殿はなにをしているんだ!」

マリミーナを見てしがみつくミルフィーを見た、アリシアが不機嫌顔。ちなみにハスティーはムスタングと打ち合わせ中。

「ずいぶん派手にやってるね…」

アカネはオーガンシティーに降り注ぐ火の粉を見てそう呟いた。

「昔、リジェルバルタの空軍が散弾式ミサイルを開発してるのは知ってたけど…前回のと違って、今回は精度が高いみたい」

アリシアが腕くみして街を見ている。時折閃光が彼女達を照らす。あちらこちらから火災が発生、黒煙が上がっていた。

「6番隊も、8番隊も、あのなかに?」

フェリスの呟きにルッカが頷いた。6番隊のユグンファ=イノグチ少尉、8番隊の川添 彩夏少尉は、いずれも元トサノコクのレジスタンス。小隊を指揮した経験を買われて抜擢された。フェリスやアカネは、前の大戦で川添少尉と面識がある。心配になるのも無理はない。

「あの隊にサポートはついてないでしょ?」

アカネの手が自然とライフルを手にする。戦場経験はブランクがあるが、勘はまだ忘れていない。

「…リェスターさんのA中隊が向かってると」

マリミーナの胸に顔を埋めていたミルフィーが言った。それでも不安は残る。


臨独24遊は第一戦隊に合流、OCRG4番隊も指揮下に


打ち合わせを終えたハスティーがやってきた。OCRG4番隊及びAPURG臨時独立第24遊撃隊は、APURG第一戦隊として出陣することが決まったようだ。

「フェリスとアカネとルッカは、OCNUに着いたら、301A中隊に合流。6番隊及び8番隊のサポートに」

ハスティーの指示に驚くアカネとフェリス。するとアカネは

「臨独24遊隊長として、マリミーナとアリシアの帯同を求めます。ミルフィーについては、第一戦隊直属として…」

ハスティーは少し考えた。そして、アカネの進言を採用した。

「ツインサクラメントは白兵戦スキルも高い。帯同したほうが安心だな」


私も行きます


全員が発声源を見る。ミルフィーだった。彼女は続けて「大学周辺の土地勘は誰よりもある」と言った。なにより彼女の中で自分の街を守りたいという気持ちが強かったから。ハスティーはさらに考えた、考え抜いた結果…


臨独24遊は全員出撃だ


ミルフィーを道案内に指名した。アカネが即座に反論しかけたが彼女はぐっと内にしまいこんだ。ハスティー自身、公私混同は好きではないというのを思い出したから。

「ミルフィーは戦闘経験がない。みんなでフォローしてやってくれ」

日付も変わり、午前2時過ぎ…空爆が収まったのを見計らって出撃命令が出た。4番隊は、ハスティーの第一戦隊を先頭に山を降りた。街にはあちらこちらから火が上がり、無惨な街並みを闇夜に照らしていた。近付けば近付くほど、焦げ臭さが増していく。隊員らは途中から口鼻を覆いながら市街地に入っていった。

「だめだ、回り道していかないと…」

やがて一団がたどり着いた場所は、オーガンシティー駅の隣駅、リーグスだった。大学に行くには駅を通過しなければならなかったが、駅舎は炎に包まれ、周りの建物にも延焼していた。

「火災で空気が乾燥してる…離れないと衣服に引火する」

「ムスタング少尉、駅の左手に地下道がある。そこに向かいましょう」

「他にルートは?」

「あそこに高架橋があります…」

ハスティーがムスタングとルートの確認をしてると、せいごとりょうすけが話に加わってきた。聞くとこの辺りに土地勘があるらしい。

「しかしあの高架橋は木造じゃなかったか?」

ハスティーは橋を渡る途中に燃えてしまわないか心配だった。

「じゃあ確認して渡れそうなら渡ろう」

ムスタングの指示でせいごとりょうすけのいる班が様子を見に行く。念のためツインサクラメントが護衛に就いた。その橋は駅舎を過ぎてすぐの場所にあった。階段のそばにせいごが駆け寄る。りょうすけと他3人の隊員があとに続く。

「ずいぶん古い橋ね」

マリミーナは手すりを触る。せいご曰く生まれる前からあったんだそうな。アリシアはひとり先に階段を登り詰めていた。髪が風でなびく。時折燃えカスが飛んでくる。

「アリシア!渡れそう?」

下からマリミーナが叫んでいた。

「たぶん大丈夫!」

そう叫び返した次の瞬間、橋の支柱が大きな音を立てて崩れだした。慌ててせいごらは橋から離れるが…


アリシアっ!!


マリミーナの悲鳴にも似た叫びが辺りに響いた。アリシアは一目散に走り出す。来た道を全速力で引き返すも、身体は橋ごと落下しはじめた。しかしそこは運動神経がずば抜けていいアリシア=サクラメント。切れた橋のワイヤーを掴みそのままぶら下がるように着地したのだ。勢い余ってでんぐり返しを決めるも、ほぼ無傷。

「危なかった〜」

アリシアは、笑っていた。しかし危機感ゼロというわけではない。彼女は元からこういう性格なのだ。

「大丈夫か?」

せいごが手を差しのべてアリシアを起こす。笑みを浮かべ礼を言う。マリミーナもやや顔を青くして駆け寄ってきた。そんな今にも泣きそうな双子の妹に、姉はピースサイン。ホッとしたのか妹はその場に座り込んでしまった。

橋が使えない以上、大学を目指すには地下道しかない。報告を受けてハスティーは地下道の入口を目指した。通常明かりがあるのだが、空爆で停電が起きているために、中は真っ暗だ。

「…ここを通らないとだめですか?」

ミルフィーは意外に怖がりだ。しかしハスティーは…


気になるんだ、この地下道が


「避難してる人がいるかもしれない、と?」

ムスタングの指摘通り。逃げ込むには適している。ハスティーが先頭に、一団は地下道の中に入り始めた。ライト片手に進む…真ん中くらいまで来たところで、ハスティーの足が止まった。すぐ後ろを歩くミルフィーが息を飲んだ。明かりに照らされたところに、人が壁にもたれて座り込んでいた。ムスタングが確認する。

「複数の銃創…亡くなっているね」

4人の成人男性の射殺体。殺されてからそんなに時間は経っていないようだ。すぐに担架が用意される。4番隊にはちょうど4人分の組立式担架が配備されていた。一個隊に4〜6つが配備される。4番隊は6つの班があるが、うち4班が担架を配備、残り2班は偵察班として簡易通信機が配備されている。隊の班によっては簡易通信機と担架両方配備されているようだ。

遺体を担架に乗せ、前後で護衛するように地下道を出る。その先には、燃え尽きた建物が目に飛び込んできた。街灯もなく暗く静まり返った場所を大学に向かって歩く。

「ハスティー、いいかなぁ?」

先頭を歩くハスティーのところにりょうすけが近付いてきた。そしてひとつの薬莢を手渡す。

「地下道で拾ったんだ…」

地下道にあるということは、地下道で4人が射殺されたんじゃないか、そうりょうすけは言いたいらしい。

「じゃあ、エルバート軍がやったと?」

にわかに信じがたい。すると話を聞き付けたアリシアが会話に加わってきた。そして薬莢を見て一言


これ、リジェルバルタの四式小銃のだよ


アリシアは元リジェルバルタ軍。だからわかるらしい。マリミーナも呼んで確認するが、同じ答えだった。しかもリジェルバルタ軍でもポピュラーな携帯火器とのこと。

「そういえばこないだの大学襲撃事件の時に、門にいたやつも持ってたよね」

アリシアとマリミーナが突破したあの時だ。ハスティーの顔色がわずかに変わった。あれからサバゲ同好会の幹部の行方はわかっていない。前にアンリとコリーがエルバート軍に内定に出た時も情報は掴めなかった。もしやつらがまだ市内に潜伏していたら…4人の民間男性を射殺したのがリジェルバルタ軍の四式小銃だったら…


総員全周警戒に移行!


ハスティーが叫ぶ。ムスタングも偵察班に指示を出す。遺体は殺害されてから時間が経っていない。だとすれば近くにいる可能性も少なくない。暗闇の中どこから狙われてもおかしくない。しっかり狙われたら、ハスティーでさえ即死だ。

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